僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

「パトスとエロス」 エルメス

2009年03月20日 | ケータイ小説「パトスと…」
留美子は8年前に死んだ。でも生きていたら丁度そんな素敵な女性になっているに違いない。
紫陽花に囲まれた鎌倉で微笑む留美子が辰雄の胸を温かくした。


明日電車で会ったら本当に似ているのか確かめてみよう。そう思うと少し嬉しくなった。
意味もなくバレーボールのレシーブ、トス、アタックの真似をしながらステップを踏んで歩いたりした。


翌日の朝、期待に膨らんだ辰雄の思いはコットンの花のように赤く染まってしおれてしまった。

エルメスの彼女は辰雄の電車に乗らなかったのだ。

次の駅で途中下車して一本次の電車を待ってみたが、やはり彼女はいなかった。
木曜日だったが、お店勤めだったら平日休みって事もあるし、早番とか遅番とかの勤務シフトもあるだろう。

きっとそんなタイミングで外れただけだ、と自分を納得させ諦めるまでに何駅分の時間がかかったのだろう。
気がつくとまたいつもの可憐な花を見逃してしまっていた。


その翌日、今日こそ逢えるだろうと期待は昨日よりずっと膨らんでいた。










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