スピンオフ銭明日編集長

モットーは"年を重ねる毎に幸せになる"銭明日編集長の日記

残 照

2021年02月26日 | Weblog
 残りわずかとは、ネット通販のことでも、バーゲンセールのことでもない。
 自分が生まれた時、生家には祖母、両親、姉と二人の兄が居たので7人家族であったようだ。
 あれから3/4世紀が過ぎた今、5歳違いの兄と自分の二人だけになってしまった。順番に欠けているから自然なのだが、人は必ず消え去って行く。
 今宵二人きりになった兄の誕生日を祝った。その兄も傘寿の歳になった。


 自分が盛岡に落ち着いたのも、会社を起業したのもこの兄の影響が大きい。
 社会に出て何を目指すのかもなく、東京や仙台でその日暮らしをしていた自分が、薄氷を履みながら何とかなったのも、この兄のお陰であった。
 何年か前、気まずい仲になったこともあるが、今は兄が居なくなるのを思いたくもない。


 幼少の頃、兄は野鳥捕りの名人だった。その頃から自分は兄の後ろ姿に着いて来たことになる。
 兄は学業も優秀で社会人に出てからも常にトップランナーを走って来た。盛岡に落ち着いてからも兄の名声に触れる事が多かった。
 次第に自分の中で最大のライバルは兄になっていた。


 兄の後ろ姿を追いかけながら、経営者の道を切磋琢磨しながら歩いて来た。
 兄弟に流れているDNAは潔さにも繋がり、今はおたがい後進に道を譲った世捨て人となっている。
                                          =おわり=