今日は大晦日、今年のトリは除夜釜です。
暮れも押し詰まった27日に除夜釜へお招き頂きました。
「除夜」とは大晦日のこと、大晦日の夜に釜を掛け、
今年一年を静かに振り返り、我が身についた塵を祓い清め、
無事に新年を迎えられることに感謝しながら茶を点て、
客にふるまい、我ものむ・・・そんな除夜釜に憧れていましたので、
とても嬉しいお招きでした。
13時にお宅へ伺うと、いつもと違い雨戸が閉められていました。
ほの暗い待合へ入ると、丸行灯が柔らかい光りを投げかけています。
床には「富士越しの龍」、今年の干支にちなむ軸が掛けられ、
書院棚には伏見人形の辰が飾られ、ちょっぴり寂しそう。
火鉢の黒い藁灰と紅い輪胴の火に見惚れていると
奥様が甘酒を運んでくださいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/fb/41ac1a5ca5bc2b53285ef95d12f2af32.jpg)
六畳の本席へ入ると、二つの灯りがありました。
早や暗闇に慣れた目にはとても明るく感じられるから不思議です。
正面の床に和歌が書かれたお軸を小灯(こともし)を頼りに、
一字でも読めたらとAさんと目をこらしましたが・・・。
寂蓮法師の歌で、筆は南山陰士とあとで伺いました。
ふりそむる今朝だに人の待たれつる
深山の里の雪の夕暮
朝早くから除夜釜の準備をされ、天気を心配しながらも
雪の夕暮の風情を愛で、客を待ちわびているご亭主のお姿が重なります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/a3/64859473d1862f2ad95d8dfef030900b.jpg)
向切の炉の傍に雀瓦をのせた菊灯台(了入造)が置かれています。
雀瓦の蓋は外されていて、夜咄の茶事の後座の設えでした。
炉には炭火が赤々と炉縁を照らし、大きな姥口の釜が掛けられ、煮えがついています。
仙叟好みの柏釜は寒雉造、正面に柏葉の文様があるそうですが・・・。
「大したことはできませんが、一年間の感謝の意を込めて
毎年除夜釜を掛けさせていただいております。
一年間いろいろお付き合い頂き、ありがとうございました・・・」
とご亭主はお心こもる挨拶をされて、待合や本席の設えについて
お話してくださいました。
それから興味深い茶のあかりのお話もたくさん・・・。
お菓子が運ばれました。
塩芳軒の「雪もち」、黒糖餡が珍しい大好きな一品です。
菓子器は、永楽和全の菓子鉢、豊楽焼の高坏、椰子の実手で、
どれも存在感がありますが、久しぶりに豊楽焼に遭遇して感激しました。
豊楽焼は焼物ですが、塗が表面に施されていてキンマになっています。
ごろんと不安定な椰子の実が面白く、青海苔味の丸い干菓子が入っていて
美味しく頂きました。
「薄茶を差し上げます」
水指が運び出され、薄茶点前が静かに始まりました。
総勢九名の薄茶を二服ずつ、さらさらと、なごやかにお話ししながら
美味しく点てて下さって至福のひと時でした。
ひしゃげた形の水指は、古田織部の指導を受けた初期の高取で、
内ヶ磯(うちがそ)焼というそうですが、ひしゃげた形の蓋も見事でした。
次々と薄茶が点てられる茶碗がどれも趣き深く、愉しく拝見させて頂きました。
主茶碗は八代大樋、それから替は暦手(道八造)、
八代焼と尾戸焼の茶碗も渋い味わいで、印象に残りました。
私のは三人の合作という凝った茶碗でしたが、聞きもらして残念・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/22/158f4ca3d6a3d1f4eeb169477122466a.jpg)
待合へ戻り、豪華なお弁当とご亭主手づくりの汁椀に舌鼓を打ちました。
お酒はえーと、熱燗の灘の・・・?です。
そして、待合の設えがガラリと変わっていたのにびっくり!
暗い床の中釘に何やら箒らしきものが?・・と思っていましたら、
「箒と言われると悲しいかな・・・。
払子(ほっす)と言って煩悩を振り払う力を持つ仏具です・・・」
もう一つ、伏見人形が辰から巳へ変わっておりました。
こうして、壬辰年から辛巳年へバトンタッチされ、
「先今年無事 目出度千秋楽」です。
水屋は奥様と次男さんでした。
ご家族であたたかくおもてなし頂き、感謝しております。
ありがとうございました!
皆さま、どうぞ佳い年をお迎えくださいませ。
来年も宜しくお付き合いのほどお願い申し上げます。
(写真はありませんで、詩仙堂その他です)
暮れも押し詰まった27日に除夜釜へお招き頂きました。
「除夜」とは大晦日のこと、大晦日の夜に釜を掛け、
今年一年を静かに振り返り、我が身についた塵を祓い清め、
無事に新年を迎えられることに感謝しながら茶を点て、
客にふるまい、我ものむ・・・そんな除夜釜に憧れていましたので、
とても嬉しいお招きでした。
13時にお宅へ伺うと、いつもと違い雨戸が閉められていました。
ほの暗い待合へ入ると、丸行灯が柔らかい光りを投げかけています。
床には「富士越しの龍」、今年の干支にちなむ軸が掛けられ、
書院棚には伏見人形の辰が飾られ、ちょっぴり寂しそう。
火鉢の黒い藁灰と紅い輪胴の火に見惚れていると
奥様が甘酒を運んでくださいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/fb/41ac1a5ca5bc2b53285ef95d12f2af32.jpg)
六畳の本席へ入ると、二つの灯りがありました。
早や暗闇に慣れた目にはとても明るく感じられるから不思議です。
正面の床に和歌が書かれたお軸を小灯(こともし)を頼りに、
一字でも読めたらとAさんと目をこらしましたが・・・。
寂蓮法師の歌で、筆は南山陰士とあとで伺いました。
ふりそむる今朝だに人の待たれつる
深山の里の雪の夕暮
朝早くから除夜釜の準備をされ、天気を心配しながらも
雪の夕暮の風情を愛で、客を待ちわびているご亭主のお姿が重なります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/a3/64859473d1862f2ad95d8dfef030900b.jpg)
向切の炉の傍に雀瓦をのせた菊灯台(了入造)が置かれています。
雀瓦の蓋は外されていて、夜咄の茶事の後座の設えでした。
炉には炭火が赤々と炉縁を照らし、大きな姥口の釜が掛けられ、煮えがついています。
仙叟好みの柏釜は寒雉造、正面に柏葉の文様があるそうですが・・・。
「大したことはできませんが、一年間の感謝の意を込めて
毎年除夜釜を掛けさせていただいております。
一年間いろいろお付き合い頂き、ありがとうございました・・・」
とご亭主はお心こもる挨拶をされて、待合や本席の設えについて
お話してくださいました。
それから興味深い茶のあかりのお話もたくさん・・・。
お菓子が運ばれました。
塩芳軒の「雪もち」、黒糖餡が珍しい大好きな一品です。
菓子器は、永楽和全の菓子鉢、豊楽焼の高坏、椰子の実手で、
どれも存在感がありますが、久しぶりに豊楽焼に遭遇して感激しました。
豊楽焼は焼物ですが、塗が表面に施されていてキンマになっています。
ごろんと不安定な椰子の実が面白く、青海苔味の丸い干菓子が入っていて
美味しく頂きました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/d3/1acf1847040a5f89d5c76166e66a964b.jpg)
「薄茶を差し上げます」
水指が運び出され、薄茶点前が静かに始まりました。
総勢九名の薄茶を二服ずつ、さらさらと、なごやかにお話ししながら
美味しく点てて下さって至福のひと時でした。
ひしゃげた形の水指は、古田織部の指導を受けた初期の高取で、
内ヶ磯(うちがそ)焼というそうですが、ひしゃげた形の蓋も見事でした。
次々と薄茶が点てられる茶碗がどれも趣き深く、愉しく拝見させて頂きました。
主茶碗は八代大樋、それから替は暦手(道八造)、
八代焼と尾戸焼の茶碗も渋い味わいで、印象に残りました。
私のは三人の合作という凝った茶碗でしたが、聞きもらして残念・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/22/158f4ca3d6a3d1f4eeb169477122466a.jpg)
待合へ戻り、豪華なお弁当とご亭主手づくりの汁椀に舌鼓を打ちました。
お酒はえーと、熱燗の灘の・・・?です。
そして、待合の設えがガラリと変わっていたのにびっくり!
暗い床の中釘に何やら箒らしきものが?・・と思っていましたら、
「箒と言われると悲しいかな・・・。
払子(ほっす)と言って煩悩を振り払う力を持つ仏具です・・・」
もう一つ、伏見人形が辰から巳へ変わっておりました。
こうして、壬辰年から辛巳年へバトンタッチされ、
「先今年無事 目出度千秋楽」です。
水屋は奥様と次男さんでした。
ご家族であたたかくおもてなし頂き、感謝しております。
ありがとうございました!
皆さま、どうぞ佳い年をお迎えくださいませ。
来年も宜しくお付き合いのほどお願い申し上げます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_fine.gif)
(写真はありませんで、詩仙堂その他です)