(耕雲亭隣接の和食レストラン「源氏香」・・・向かって左側)
耕雲亭隣接の和食レストラン「源氏香」の広間で一同揃って祝い膳を囲みました。
全員が席に着いたところで暁庵とN先生が新年のご挨拶をし、N先生の音頭で盃を高く上げて乾杯し、祝い膳を賞味しました。
初釜へ馳せ参じてくださったお客様に「何をお話したらよいかしら?」と考えましたが、「五百生のお茶のご縁」のお話をしました。
聞法因縁五百生(もんぽういんねんごひゃくしょう)
同席対面五百生(どうせきたいめんごひゃくしょう) (仏語)
私たちは前世のことはわかりませんが、五百ぺん生まれ変わりした長い深い因縁のおかげで、尊い仏の教えを聞くことができました。そして今、席を同じくし、顔を合わせることができました。なんとありがたく不思議なお茶のご縁であろうか・・と思います。どうぞこのご縁を大切にし、今年もお茶を楽しみながら精進いたしましょう。
・・・というようなことをお話したような・・・
「源氏香」心づくしの献立を記載します。
御椀 清汁仕立 花葩餅しんじょう
鶯菜 梅人参 木の芽
上段 祝儀肴 鶏松風 海老切竹 梅花百合根 常緑黒豆 金箔
祝小付 紅白膳(寿海苔 数の子) 防風
御造り 鮪 鯛 褄一式 山葵 加減醤油
下段 口取り 厚焼玉子 海老芝煮 金柑密煮
からす鰈煮焼 蒲鉾 巻き生姜
煮物 飛龍頭 梅麩 菜花 共地餡 柚子
揚げ物 ふぐ香り揚げ 青唐 レモン
物相飯 菜飯(じゃこ有馬煮) 香の物
甘未(デザート) 牛乳ぷりん ラズベリーソース
飲み物 酒 ノンアルコール飲料など
(富士山と三保の松原)
宴がたけなわになった頃に金剛流をお習いのEKさまに一指し舞っていただきました。
謡曲「羽衣」です。
「解説」もしてくださり、誰でも知っている物語ですが、天女が白竜に「いや疑いは人間にあり、天に偽りなきものを」言うところでは思わず「はっ・・」とし、EKさまが天女のように見えました。
EKさまはキリリとした袴姿で登場し、まるで天女のように軽やかに舞ってくださいました。
おめでたい絵柄の舞扇がさながら羽衣が優雅に空間をたなびいているように思え、初春の寿ぎの舞を楽しむことができ、感謝でございます。
能「羽衣」について(「能」より抜粋)
昔話でもおなじみの、羽衣伝説をもとにした能です。昔話では、天女は羽衣を隠されてしまい、泣く泣く人間の妻になるのですが、能では、人のいい漁師・白龍は、すぐに返します。
羽衣を返したら、舞を舞わずに帰ってしまうだろう、と言う白龍に、天女は、「いや疑いは人間にあり、天に偽りなきものを」と返します。正直者の白龍は、そんな天女の言葉に感動し、衣を返すのです。
天女の舞はこの能の眼目で、穏やかな春の海、白砂青松、美しい天女の舞い、そして遠く臨む富士山。幸せな気分にしてくれる能といえるでしょう。
余興としてクジ引きをしました。当たりくじは松1本、竹2本、梅5本です。
松と竹は菓子折(石井製)ですが、梅は暁庵近くの本村神明社の「えんむすび」のお守りです。
「えんむすび」というと男女の縁結びを思い浮かべますが、このお守りはステキな「お茶のご縁」をその方の努力で結んでほしいと願って選びました。
また、梅が当たった方には今思うことや、今年の抱負などを語っていただき、それぞれの方のお話が今なお生き生きと心に残っています。そのお一人HYさま(一級建築士です)から耕雲亭の数寄屋建築について小間で説明してくださるとのご提案があり、お世話になりましてありがとうございます。
・・・こうして祝い膳を囲む会食も終わりとなり、最後にT氏に締めをお願いしました。
T氏の音頭で勇ましく元気に「三本締め」をし、終了です。
つづく)