夢のような「船形」(西賀茂船山)・・・まるであの世へ帰って行くお精霊船のようです
(つづき)
お客さまお一人お一人と親しくご挨拶を交わし、初炭となりました。
夕去りの茶事が好きです・・・
できたら懐石はなるべく明るい所で目からも味わって頂きたいと思っています。
また、夕暮れ時に障子の色が刻々と変化していく様子、中立で腰掛待合や露地の灯火のゆらめきを楽しんで頂きたいです。
それから初炭、最初に炭を置くか、懐石の後にするか、趣向や動座の都合により自由に決められるのでとても助かります。
今回は懐石を待合の椅子席で召し上がっていただくために動座すること、またつづき薄茶(後炭なし)なので初炭で風炉中を拝見してほしくて、朝茶事のように初炭を先にしました。
風炉は唐銅道安風炉、釜は桐文真形釜、高橋敬典造です。
炭斗は淡々斎好みの蛍籠、八幡市の石清水八幡宮から連れ帰ったキリギリスを初使いしました。
5年ぶり(?)に陽の目を見た竹細工のキリギリス
香合は屋形舟、大徳寺別院・浮見堂の古材で作られていて誠中斎作、
京都在住の折、恩師N先生から頂戴した思い出深い香合です。
香は沈香を焚きました。
茶事一番の難関は懐石です。
盆休みで食材の入手が難しく、作った料理が傷まないように一入気を遣います。
何度も火を入れたので、色も悪く、味も濃くなってしまったかも・・・。
それでも優しいお客さま方は美味しい!と言って完食してくださり、もう感謝です。
懐石献立(懐石は暁庵ですが、半東Uさんとツレにいろいろ手伝ってもらいました・・・)
向付 マグロ山かけ 大葉 山葵 かけ醤油
飯 一文字
汁 絹豆腐 ジュンサイ 茗荷 赤味噌 辛子
煮物椀 海老と枝豆の真蒸 椎茸 紅葉麩 三つ葉
焼き物 鯛の塩焼
炊き合せ 里芋 揚げ茄子 青楓麩 オクラ
もう一品、冷たいものをお出ししたくなり・・・
卵豆腐 海老 茗荷 オクラ
箸洗 葡萄ピール
八寸 山芋のサーモン巻 枝豆の松葉刺し
香の物 沢庵 胡瓜 小茄子
湯斗 こがし湯
酒 越後桜
「高砂百合」 (季節の花300)
主菓子「さゆり」を縁高でお出ししました。
「さゆり」はピンク色の百合の蕾の練きり、最近ご贔屓の石井製(旭区都岡)です。
中立のご挨拶で、後座の迎付は手燭交換でいたしたく・・・とお願いしました。
ここで思いがけないハプニングが!
「雨が降り出したみたいです!」と詰Fさまの声で外を見ると、大粒の雨が降り始めていました。
まさに今から腰掛待合へお出ましになる時でした。
天気予報を疑わず、雨の用意をしていませんでした。
利休七則・・・「降らずとも雨の用意」を失念していたのです。
「いつまでも何をしておるのじゃ。喝!」
利休さまのお叱りの声が耳元で聞こえましたが、玄関に予備の蹲踞を用意していなくてあとのまつりです。
待合から足元行燈に照らされた腰掛待合や露地の風情を垣間見て頂き、そのまま手燭を持って茶道口から席入していただきました。
昨年は茶事の最初から雨、今年は中立だけ雨・・・・う~む!
(つづく)
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