暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

不協和音・・・杉浦邦恵「公園」

2020年06月23日 | お茶と私

          (杉浦邦恵「公園」・・・新聞記事より)

(つづき)

クシャクシャの新聞の記事が突然心に飛び込んできました。

日本経済新聞(2020年6月12日)のコラムに杉浦邦恵「公園」が載っていて、

「これ、いいなぁ~!」 

一目見てなにか惹きつけられるものがありました。

「茶事の不協和音」が頭にこびりついていた時だったので、無意識のうちに「作品の持つ不協和音」に反応したようです。

 

 (凌霄花(ノウゼンカズラ)が高所で咲いているのを発見)

 

6月某日、恩師N先生をお訪ねした時のことです。

N先生と同郷(愛媛県今治市)ということで社中のAIさんに同行をお願いしたら、予想以上にお話が盛り上がり、3人で楽しい時間を過ごしました。

「お茶事に使ってください」

帰りがけに角皿2枚を頂戴し、包んでくださった新聞紙にその記事が載っていたのです。(前置きが長くなりましたが、とても偶然とは思えず、「不協和音」へのN先生の示唆のようでもあり、今は応援のように感じています・・・)

 

  (碑文のあるお地蔵様・・・さんぽ道にて)

 

日本経済新聞のコラムは「女性写真家の開拓精神・十選」と題して、批評家の竹内万里子氏が杉浦邦恵「公園」について次のように書いています。

 やや大きさの異なる2つの矩形(くけい)が、左右に接している。右側はモノクロ写真、左側はアクリルを塗ったカンヴァス。写真の風景に奥行きを感じても、視線を左に逸らした途端に黄緑色の表面に跳ね返されてしまう。次第に2つのイメージの間で宙づりになる。

 この作品を制作したのは杉浦邦恵(1942年愛知県生まれ)。63年に単身渡米し、シカゴ美術学校で写真を学んだ。表現としての写真の可能性にいちはやく注目し、実験的な手法によって制作を行っていく。・・・後略 

 

記事を読んで、ますます「公園」の制作者・杉浦邦恵さんに興味を持ち、彼女自身のお話をユーチュブで聞くことができました。

 

「出来上がった作品を打ち砕いて、さらに先へ行くのが、高みを目指そうとするのが、アーティストだと思う。一時、写真を離れて、絵を描いていたことがあるが、絵だけでは自分の思うような表現が出来ないことがわかった。

ある日、写真と絵を組ませてみた。

昔の写真のカンヴァスを、描いた絵の横にピタッと並べたり、アクリルを塗っただけのカンヴァスと並べてみると、そこには何とも言えない緊張感があり、非常に新鮮な感じがして、創造力を刺激するものだと気づいたのです。

それで、写真と絵を並行して、新しい仕事を始めようかと考え始めました」

 

杉浦邦恵さんのお話は、「不協和音」の大きなヒントになりました。

まだ、自分自身の答え(とりあえず朝茶事のこと・・・)は見つかっていませんが、今まで経験した朝茶事や朝会、朝の感動した出来事など、先ずは自分の記憶の原点に戻ってみるつもりです。

持てる力を全開して考えてもなかなか答えは出ず、ある日突然、まったく別のことをしている時(音楽を聴いたり、料理したり、庭の草むしり、散歩、それとも夢の中かしら?)に下りてくるような気がします・・・。

 

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