ヒトリシズカのつぶやき特論

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医薬品産業の発展に重要な「レギュラトリーサイエンス」についての講演を拝聴しました

2013年09月13日 | イノベーション
 ここ数年、日本政府や日本の医薬品業界などが今後の医薬品産業の発展に必要と説明している学術分野の「レギュラトリーサイエンス」についての講演を拝聴しました。

 日本政府はここ数年、日本の成長戦略の柱の一つに医薬品や医療機器分野での製品化・産業化を掲げています。日本の輸入・輸出でみると、医薬品や医療機器分野では、輸入超過になっているとの見方が多いからです(正確には、実データでの議論が必要なようです)。

 日本企業による医薬品や医療機器の製品化・事業化を増やすためには、「レギュラトリーサイエンス」という知識・考え方を持って開発・製品化を進めることが重要と説明されています。この動きに対して、医薬品や医療機器などに関連する学会などは「レギュラトリーサイエンス」の議論を深めています。また、内閣府での総合科学技術会議でも議論されているそうです。

 この「レギュラトリーサイエンス」について学ぶために、医学系大学産学連携ネットワーク協議会(medU-net)が開催した「レギュラトリーサイエンス キックオフ講演会」を拝聴しました。



 講演の講師は第一三共の代表取締役会長の庄田隆さんです。「医薬品産業とレギュラトリーサイエンス」という題目でお話しされました。

 Webサイトで「レギュラトリーサイエンス」という言葉を調べると、「科学技術の成果を人と社会に役立てることを目的に、根拠に基づく的確な予測、評価、判断を行い、科学技術の成果を人と社会との調和の上で最も望ましい姿に調整するための科学」と定義づけられています。

 行政府では、ライフイノベーションを推進するには、企業や大学。行政などの産学官で、レギュラトリーサイエンスの学術分野を深めることによって、医薬品、医療機器の安全性、有効性、品質評価などを、科学的合理性と社会的正当性に関する根拠に基づいた(薬事法などの)審査指針や基準の策定などにつなげ、医薬品や医療機器の承認審査を迅速・効率的に行うためには、レギュラトリーサイエンスの研究を進め、精通した人材の養成を推進すると表明しているそうです。お役人の表現なので、硬い表現になっています。

 このレギュラトリーサイエンスの重要性については、庄田隆さんは「予測・判断材料が限られた中で、リスクと便益を評価・判断し、社会に適用することを学際的に解明していく」ことと大まかに表現します。

 講演内容は多岐にわたりました。その断片的な内容紹介です。日本の製薬企業などの国内市場シェアは約6兆円、海外市場では約4兆円の合計10兆円市場を確保しているそうです。しかし、10年先の創薬による新製品を確保できるかどうかは不安があるそうです。大学・公的研究期間などが担当する基盤研究によって、疾患(病気)のメカニズムの解明、創薬候補(ターゲット)の探索とその評価を、創薬企業と共同で研究する仕組みが日本ではまだ少ないそうです。

 そして、創薬研究開発の中間的な段階の「臨床試験」での研究成果と、出発点の基盤研究へのフィードバックなどの仕組みが弱いと指摘します。ここを10年間程度で拡充しないと、先行する欧米企業と競争できないようです。

 庄田隆さんは、日本の大学と日本の製薬企業の研究者が同じ研究テーマを共有し、相互作用をもたらすには、同じ研究施設で共同研究する拠点型オープンイノベーションを実現するやり方を目指したいと説明します。

 実際に、日本では北海道大学と塩野義製薬、京都大学とアステラス製薬、京都大学と武田薬品工業、京都大学と大日本住友製薬、京都大学と田辺三菱製薬、京都大学と塩野義製薬、大阪大学と大塚製薬、大阪大学と帝人ファーマがそれぞれ拠点型オープンイノベーションを始めているそうです。

 この拠点型オープンイノベーションの推進では、レギュラトリーサイエンスの進化と適用が必要なようです。レギュラトリーサイエンスの重要性は、医薬品や医療機器分野に加えて、農薬分野や食品分野でも重要になるそうです。

 今回は、レギュラトリーサイエンスという学術分野の重要性の一端を聞きかじった程度です。