東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻教授の藤田誠さんの研究グループは、結晶化しにくい高分子などの物質を見かけ上、結晶化した状態にする“結晶スポンジ法”という手法を実用化するメドをつけた話の続きです。
多少難解な内容の前振りです。現在、物質・分子の構造を解析する観察・分析手法は現在、NMR(核磁気共鳴)、MS(質量分析)、Xray(X線結晶構造解析)の3つの手法が利用されています。この中で、X線結晶構造解析は結晶構造を構成する各原子の位置などが分かることから、結晶構造解析では一番利用したい分析手法です。
ところが、観察対象の物質・分子の試料をつくるには、まずその対象物質・分子を高純度にある程度の量を精製して集め、かつ結晶化する必要があります。生物の身体をつくっているタンパク質などの高分子は、分子量が大きく、構造が複雑なために結晶化しにくいかものが多く、構造解析できていないものもあります。
この成功例が2008年にノーベル化学賞を受賞したボストン大学名誉教授の下村脩さんが見いだした緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein=GFP)の発見でした.しかし、緑色蛍光タンパク質の精製と結晶化に苦労しています。
この難問に対して、藤田さんの研究グループは例えば、M6L4(Mは金属)などの構造の金属錯体が自己組織化という現象によって、“かご状”の空間を規則正しい3次元構造をとることを利用するアイデアを考えました。このかご状空間の中に、分析したい対象分子を入れると、見かけ上は結晶化したと見なせることが利用できると考えたのです。


「分析したい分子がかご状空間に、すわりのいい状態・位置で3次元的に固定されると、見かけ上は結晶化したと見なせる現象を利用すれば、X線結晶構造解析手法が利用できることを確認した」と藤田さんは説明します。計測したい対象分子が、錯体のかご状の3次元構造に吸われることから、この手法を「結晶スポンジ法」と名付けています。
「かご状空間が規則正しい3次元構造をとる金属錯体は、コバルト、イオウ、炭素、窒素の錯体など、10種類程度が実用化できる見通し」だそうです。現在は、かご状空間が約1ナノメートルの間隔で3次元に並び、かごの中は0.5ナノメートルから0.8ナノメートルの空間になっているそうです。かごの中に、疎水性の高分子が入ると自由エネルギーが下がる状態になっていると考えています。
このため、かご状空間の大きさによって、測定できる高分子が決まります。創薬や農薬、食品などの研究開発シーズとなる高分子は分子量が大きく、複雑な構造のものが多いのです。このため、かごの空間が大きい3次元構造をつくる実用化も求められていきそうです。
藤田さんの研究グループは“結晶スポンジ法”について、権威ある学術誌Natureの2013年3月28日号に「結晶化を必要としないX線結晶解析」の内容を書いた論文(表題=X-ray analysis on the nanogram to microgram scale using porous complexes)を掲載しました。この結果「欧米の“メガファーマ”と呼ばれる大手製薬企業などからの問い合わせが殺到した」そうです。
藤田さんは、「結晶スポンジ法の基本原理はある程度前から部分的に学術面では研究されてきたので、包括的な基本特許は存在しない。しかし、いくつかの実用的な錯体などを基にした特許を出願している」と説明します。
「結晶スポンジ法という構造解析する観察・分析手法の実用化を図るには、計測機器としてのプロトタイプを開発することが重要」と、藤田さんは考えているそうです。今後の進展に期待したいです。
多少難解な内容の前振りです。現在、物質・分子の構造を解析する観察・分析手法は現在、NMR(核磁気共鳴)、MS(質量分析)、Xray(X線結晶構造解析)の3つの手法が利用されています。この中で、X線結晶構造解析は結晶構造を構成する各原子の位置などが分かることから、結晶構造解析では一番利用したい分析手法です。
ところが、観察対象の物質・分子の試料をつくるには、まずその対象物質・分子を高純度にある程度の量を精製して集め、かつ結晶化する必要があります。生物の身体をつくっているタンパク質などの高分子は、分子量が大きく、構造が複雑なために結晶化しにくいかものが多く、構造解析できていないものもあります。
この成功例が2008年にノーベル化学賞を受賞したボストン大学名誉教授の下村脩さんが見いだした緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein=GFP)の発見でした.しかし、緑色蛍光タンパク質の精製と結晶化に苦労しています。
この難問に対して、藤田さんの研究グループは例えば、M6L4(Mは金属)などの構造の金属錯体が自己組織化という現象によって、“かご状”の空間を規則正しい3次元構造をとることを利用するアイデアを考えました。このかご状空間の中に、分析したい対象分子を入れると、見かけ上は結晶化したと見なせることが利用できると考えたのです。


「分析したい分子がかご状空間に、すわりのいい状態・位置で3次元的に固定されると、見かけ上は結晶化したと見なせる現象を利用すれば、X線結晶構造解析手法が利用できることを確認した」と藤田さんは説明します。計測したい対象分子が、錯体のかご状の3次元構造に吸われることから、この手法を「結晶スポンジ法」と名付けています。
「かご状空間が規則正しい3次元構造をとる金属錯体は、コバルト、イオウ、炭素、窒素の錯体など、10種類程度が実用化できる見通し」だそうです。現在は、かご状空間が約1ナノメートルの間隔で3次元に並び、かごの中は0.5ナノメートルから0.8ナノメートルの空間になっているそうです。かごの中に、疎水性の高分子が入ると自由エネルギーが下がる状態になっていると考えています。
このため、かご状空間の大きさによって、測定できる高分子が決まります。創薬や農薬、食品などの研究開発シーズとなる高分子は分子量が大きく、複雑な構造のものが多いのです。このため、かごの空間が大きい3次元構造をつくる実用化も求められていきそうです。
藤田さんの研究グループは“結晶スポンジ法”について、権威ある学術誌Natureの2013年3月28日号に「結晶化を必要としないX線結晶解析」の内容を書いた論文(表題=X-ray analysis on the nanogram to microgram scale using porous complexes)を掲載しました。この結果「欧米の“メガファーマ”と呼ばれる大手製薬企業などからの問い合わせが殺到した」そうです。
藤田さんは、「結晶スポンジ法の基本原理はある程度前から部分的に学術面では研究されてきたので、包括的な基本特許は存在しない。しかし、いくつかの実用的な錯体などを基にした特許を出願している」と説明します。
「結晶スポンジ法という構造解析する観察・分析手法の実用化を図るには、計測機器としてのプロトタイプを開発することが重要」と、藤田さんは考えているそうです。今後の進展に期待したいです。