新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

早朝から「ウンザリ」させられた話

2024-06-09 07:33:53 | コラム
カタカナ語排斥論者は嘆く:

今朝ほどのこと。配達された産経新聞を開くと3頁目の総合欄に大きく「カスハラ対策 線引き微妙」と太字の見出しが出てきた。この事態を嘆かなければカタカナ語排斥論者の名が廃ると奮起する前に「産経新聞さんよ、お前もか」と落胆させられた。まさしく「早朝からウンザリ」だった。

既に取り上げて論じてあったことで「カスタマーハラスメント」とは、正統な日本語にすれば「お客等による迷惑行為」の事なのである。さらに“customer harassment“とカタカナ表記のまま英語の単語を並べてしまえば、英語としては意味を為さないとしか言えないのだ。“harassment by customer“とでもすれば意味を為していると思う。このような事態を招いてしまった英語教育の先生方には反省していただければとも考えた。

そもそも“harassment“とは「人を悩ますか絶えず困らせるような厄介なこと」という意味であり、アメリカで1990年前後だったかに、“sexual harassment“を問題として取り上げるようになってから聞こえてきた言葉である。「カスハラ」として遣われているような「顧客が係員または販売員を、暴力を用いて口撃か攻撃する」ようには遣われない。「敵地を攻撃する」という意味はあるが。ジーニアス英和辞典をご参照を。

私の解釈は「お客等による迷惑行為」では新聞紙上で見出しに使うには長すぎるし、漢字が多いと読んで貰えなくなるというようなおかしな配慮をして、如何にも時代の先端を行っているかの如き(全然行っていないのだが)「カスタマーハラスメント」を選択したのだろうと思っている。新聞ならば紙面に入らない心配も尤もだが、テレビならば「お客等による迷惑行為」と言うのに何秒も要するのか。何とも情けない国語の冒涜行為ではないのか。

新聞社もテレビ局も天下の一流大学出身の知性も誇りも高き立派な方々が、日夜研鑽を積まれて率いておられるのだと信じている。それならば「カスタマーハラスメント」では英語としておかしく、視聴者を誤った方向に導くし(カタカナにすれば「ミスリード」か)、我が国の学校教育の重要な学科である「英語」の水準向上に逆行するくらいの配慮が出来なかったのか。

私はこのような英語の単語の使い方を誤って、カタカナ語が粗製濫造されて、方々で濫用され誤用されている事態の方が、「政治資金規正法改正」という自由民主党内の無様な失態を付け焼き刃で正常化しようとすることよりも、国家の文化として修正されるべき重要な事案ではないのかとすら考えている。