両社がバイデン大統領に書簡を送った:
ロイターによれば「日本製鉄による米USスチールの買収計画を巡り、両社が9月8日付でバイデン米大統領に書簡を送付したことが分かった。日鉄の広報担当者がロイターの取材に答えた。書簡の詳細については言及を控えたものの、書簡は日鉄の橋本英二会長兼最高経営責任者(CEO)とUSスチールのデビット・ブリットCEOらの署名入りで送付したという。」と報じた。(筆者注:原文のまま)
JIJIはさらに「書簡は買収阻止を表明すると報じられているバイデン氏に対し、容認するよう求めたものとみられる。」と付け加えていた。私は極めて尤もな動きだと理解し解釈している。それは、トランプ氏の反対は予想できていたことで、それに対してハリス陣営も何分にも最激戦区であるペンシルベイニア州に関連する案件なので、早速同調したのだろうと読んでいる。
バイデン大統領も、事がここまでに至れば反対に回らざるを得なかったのではなかろうか。アメリカの鉄鋼産業界の苦境を大統領が認識していない訳がないし、そこに日本製鉄が援助に乗り出したのではないのか。
だが、私は民主党側の状況は兎も角として、トランプ氏が何処までUSスティールの経営状態を承知なのだろうかと、本気で疑っている。彼は労働組合員からの支持に依存している以上、USWが日鉄に買収された後に雇用に危機に遭わないようにと、単純に考えたのだとすら考えている。
トランプ氏に「アメリカと日本では労働組合の在り方が全く違うという知識と認識がある」とはこれまでの実績から判断すれば、とても思えない。アメリカでは「職能別組合」であり、日本では「企業内組合」であって、全く異文化なのであると、私は20年ほどもアメリカの労働組合と接触してきたからこそ言えるのだ。
バイデン大統領もハリス氏も異文化の実態を承知で反対なのだろうか、日本製鉄経営陣がアメリカ式に簡単に組合をレイオフ(layoff=一時解雇)することなどあり得ないとはご存じなのだろうか。
私はトランプ氏が異文化の存在まで弁えた上で反対しているとは思ってもいないし、日本製鉄ともあろう会社が企業社会における異文化の存在を認識せずに買収を企てたとは考えらない。一部には「買収を歓迎している声が上がっている」との報道すらあった。
日本製鉄の企てがアメリカ大統領選挙戦の巻き添えに遭うことがないように、バイデン大統領の良識ある判断に期待したいのだ。言いたくはないが、トランプ氏の知識不足による暴走はもうこれきりに願いたいものだ。
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