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分野を超えた新たな知識に挑む
chap8壊れ易い記憶
記憶は変化し易い脆弱なものである。記憶は、時を経て薄れたり、消えたりするだけではなく、新たな経験を通じてそれを思い起こすたびに変容するものなのである。199
記憶はスナップ写真のように、じっと探されるのを待ちながら、一つのとろに留まっているのではない。記憶は、手で触れられるようなものではなく、むしろ雲や蒸気のように頭の中をふわふわ漂っているのである。
消費者が作り出す記憶というものは、その人の感情や身体を刺激を代弁するために作り出す物語の断片である。
消費者の記憶は、彼らが住み、生活している社会的、文化的世界の中で形成される。したがって社会と文化は記憶の内容に関して大きな影響力を持っている。 200
●記憶の種類
学習と記憶は密接な関わりを持つプロセスである。
意味記憶:周りにある言語屋記号の意味を思い出そうとする時に起こる。
⇒「何を」「どのように」に関する記憶
エピソード記憶:出来事の時間、場所、状況に関わる記憶である。
⇒「いつ」「どこで」「だれと」などに関する記憶
手続き記憶:後天的に学習した能力を含む「ノウハウ」のようなもの
広告における特定の製品の名前やイメージは、その施品やサービスの重要な特徴に付いて消費者が覚えていることを想起させる。
●記憶の想起に影響を与える要素
①自分にとって意味がある
⇒自分ごと化
②ムードにあってる
③感情と繋がっている
⇒ある出来事や製品に強い感情が絡んでいる
④行動を伴う
⇒製品や出来事のおかげで、望ましい行動結果が得られる
⑤既存の概念と一貫性がある
⑥重大な結果をもたらす
⑦他とは異なる経験である
⑧驚くような経験である
⑨物語に発展する
⇒製品や出来事が記憶の中にある他の事柄を想起させる
⑩頻繁に起こる
⇒製品や出来事が反復的である 210
フォワード・フレーミング:
マーケッターは将来起こりうる経験に対する期待を消費者に抱かせる。
chap9 記憶・メタファー・物語
記憶のプロセスを、内的プロセスと外的プロセスが化学反応をこすようなものだと考えていれば、非常に複雑でダイナミックなものとして理解できるだろう。内と外とのダイナミックな相互作用を通じて、我々が記憶と認識しているものが生成される。225
メタファーはある事柄を他の事柄に喩えて表彰したものであり、我々の記憶に影響を及ぼす。
また、記憶は過去の経験を表彰したものである。
物語は過去、現在、未来の出来事を表彰したものである。
⇒記憶は物語であり、物語は記憶によって構成される。223
⇒「我々は物事を物語化することによって記憶する。物語を語るということを、我々はなにげなく行っているわけではない。それは、何かを記憶しようとすれば、必ず行わなければならない不可欠な行為なのである。我々が作り出す物語は、自分たちが持っている記憶そのものなのである。」224
⇒企業がマーケティングを通じて、消費者に物語の題材を提供し、その題材に関する新たな物語を語りかける。
<においと記憶>
心地よい匂いは、そのブランドに関する記憶を際出せる特別な「記憶マーカー」として機能するのである。
⇒消費者に取ってなじみの薄いブランドでも、心地よい匂いと関連づけることによって、馴染みの他のブランドよりもよく思い出せるようになった。229
▼
顧客関係を担当するものは、顧客が自社とのやり取りに関する記憶をどのように保存、検索、再生するか、その過程を把握する必要がある。232
<ブランドと記憶>
成功しているブランドは、様々な約束を盛り込んだ物語を消費者に提供する。たとえば、<コカコーラ>は、消費者にリフレッシュを約束した物語を提供する。