国語の授業で『千と千尋の神隠し』の分析的読解をやってみようと思い、準備しています。キーワードごとに分析していこうと考えています。まだ構想段階ですがメモ的に書いていきます。
まず一つ目のキーワードは「川」。
この映画で「川」がカギになっています。
最初のほうの場面で、父親と母親が車をおりてかつてテーマパークだったところへ坂を上っていく場面があります。そこに小川があります。これはわざわざ人口の川をテーマパークのために自然に似せて作ったのです。その川の存在は人間の偽善を表現しているようにも思われます。
夜になり、船に乗った神々が渡ってきます。よく見ると、向こう岸は千尋たちが通りぬけてきた時計台のある建物です。とすると船に乗った神々が渡ってきたのは、あの人工の小川が水量が増えて広がったものであることがわかります。
三途川とは、此岸(現世)と彼岸(あの世)を分ける境目にあるとされる川です。川は生と死の境目というイメージがあります。その川が埋め立てられたり、氾濫すれば生と死の境は失われてしまいます。人類に大きな不幸をもたらすことになるかもしれません。『千と千尋の神隠し』にはその警告が隠されているのかもしれません。
千尋は小さいころ川で溺れてしまいます。ハクの本当の名前は「ニギハヤミコハクヌシ」であることが思い出され、ハクは千尋の溺れた「コハク川」の神であることがわかります。
しかし、そのコハク川も埋め立てられて今はマンションが建っているということです。これは製作者が自然が失われていくことを憂えているように感じられます。
その根拠となるのは川の神の登場です。川の神はオクサレ様というヘドロのような存在として登場します。ものすごく臭い。オサクレ様を千尋が相手するのですが、千尋はオクサレ様に何かがささっていることに気が付きます。それを引っこ抜くとそこから大量のごみが出てくるのです。これは人間の出したゴミです。人間の出したごみが昔ながらのきれいな自然を汚し、人間が自然を破壊している、そのことを訴えているのだと思われます。これがこの映画の大きなテーマとなっていることは明らかです。
オクサレ様が千尋にくれたニガダンゴがストーリー展開に大きな影響を与えてくれます。自然の偉大さを感じさせてくれます。
雨が降り、川が氾濫し海になるという表現も、地球温暖化に対する警告ととることができます。
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