しばらくお休みしていた「折々のことば」が再開された。考えさせられることばばかりで、楽しみにしている。同時にことばのむずかしさを感じずにいられない。
今日のことば。
なにかを知るということは、身軽に飛ぶことではなく、重荷を負って背をかがめることになるのです。(福田恆存〈つねあり〉)
人は何かを知ることでもっと遠くへ行ける、もっと新しい世界が開けると思うが、それはいま以上に「大きな未知の世界を、眼前にひきすえた」ということなのだと、劇作家・評論家は言う。人はそこに開けてくる光景に無関心でいないと心に刻んだのであり、だから他人の言葉にも深く耳を傾けるようになると。『私の幸福論』から。
私たちは世の中のことがわかりたくて一生懸命勉強するす。しかし、ひとつのことが理解できた瞬間に次のわからないことが生まれる。そして、そのわからないことが次元の違うわからなさであることがよくある。
宇宙のことも、原子のことも、命のことも、言葉のことも、人間のこともわかったと思ったことが次の苦しみを生み出す。
その重荷は人間の宿命なのかもしれない。
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