知能と政治的態度の相関についておもしろい研究データを紹介している。オーストラリアの心理学者の研究の結果である。
① 12歳時点の数学能力と言語運用能力は、17歳時点の「リベラル」度と強い相関関係にあった。逆にいうと、数学能力と言語運用能力の低い子どもは、5年後に権威主義的である傾向が強かった。
② 12歳時点で知能の高かった子どもは、パーソナリティの5大因子のうち「経験への開放性」と強い相関関係にあった。知能の高い子どもほど、新奇なアイディア、価値、感覚に対して柔軟だった。また12歳時点で知能の高かった子どもは、17歳時点で宗教的価値をあまり重視していなかった。
このことから、数学能力や言語運用能力の高い、高学歴の朝日新聞を読むインテリ層はリベラルになりやすく、学力の低い層が保守的になりやすいことが伺える。そしてそういう保守層は新聞よりもネットとのつながりが高くなるのであろうと予測できる。ネットの世界は右翼的な保守派のほうが強く、反朝日傾向が強くなるというのは納得できる。
トランプ支持層も低学歴であることが紹介されている。低学歴層は、能力主義を推進するリベラルな政策を嫌い、トランプを支持するのだ。
最後に筆者は重要な指摘をする。結論部分を引用する
そう考えれば、リベラルが“知的”で“良心的”な理由がわかるだろう。彼らは高い知能によって「良心」を利己的に使う方法を知っているからこそ社会的・経済的に成功し、だからこそ嫌われるのだ。
リベラル層は確かに正しいことを言う。しかしその「正しさ」の陰に、知らず知らずに自分のために理屈を作り上げてしまっているように見える。事実としてそういう部分もあるだろうし、そういう思い込みもある。しかしインテリ層が胡散臭いと思われているのはまぎれもない事実である。
学校の教員が嫌われるのもこのためであり、モンスターペアレンツが生まれるのも胡散臭い教員の理屈に打ち勝つためには強硬な態度をとらざるを得ないからなのだ。
まとまりのない振り返りになったが、『朝日ぎらい』は学ぶところが多く、そして学んだことをもとにたくさんのことを考えさせられた。
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