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「陶磁器・パヤオ」シリーズ・3

2016-01-23 07:10:30 | 北タイ陶磁
<続き>

<ウィアン・ブア窯群の陶磁>

●ウィアン・ブア陶磁の概要
ウィアン・ブア窯群①で見られるのは盤、皿の類が多い。口径と高台径が大きく、高台幅は狭く、ほとんど平らである。口縁は鍔縁で、その端部は丸く巻いており、シーサッチャナーライのトゥーリアン窯に見られる“MONの盤”によく似ている。
ウィアン・ブア窯群の陶磁は釉薬が掛っている。硬く焼いた形態のもので、無釉のものは稀である。釉薬をかけるのは器の内側のみで、見込みの印花文を装飾するためである。文様は象、馬、魚、ハムサ(鳥)、シンハ(獅子)などの動物で、釉薬をかける前に見込み中央に、スタンプにて印花文様を表現している。
ウィアン・ブア窯群の一つであるGao Ma-Fuang古窯址付属資料館に立つと、その陶磁の概要を把握することができる。下の写真は、その資料館の正門を写したものである。
そこは窯址の発掘調査と共に物原も発掘され、それが発掘当時のそのままの様子で展示されている。
下の写真は、その資料館に展示されている、緑がかった褐色釉の青磁印花双魚文盤の物原廃棄物である。


●胎土
胎土の多くは黒色系統の粘土②である。しかし、白や淡黄色の土も少しであるが散見される。黒色系統の土は砂が多く含まれるため、粗い肌となる。それを成形するには厚めに作る必要がある。
従って、胎土の木目細かく、砂の含有量が少なく、薄く成形できるカロンの陶磁の質が良い。カロンの胎土は茶色かかった白である。
ウィアン・ブア窯群の原料となる粘土は、メータム渓谷の近くの採掘場から採られたものだと考えられる。このメータム川③は村中を流れ、窯はこの流れから遠くないところに作られている。

注釈
①ブア村一帯の窯群を“ウィアン・ブア窯群”と呼ぶことにする。ブア村には中世に環濠都
 市が存在した、それをウィアン・ブアと呼ぶことから名付けたものである
②これが、他のタイ北部諸窯と異なる特徴である
③メーは川、タムが川の名称。従ってタム川と表記すればよいが、便宜上メータム川と表
 記する



                          <続く>