衰えたりとはいえどもイチローはイチロー。
鈴木一朗氏は、40歳を過ぎてもメジャーリーグで数多くのヒットを放ち、数字を積み重ね、全身をバネにして守り、そして走り続けている。
尊敬するしかない。
先ごろ、日米通産安打記録が、メジャーリーグ伝説の安打製造機タイ・カッブの記録を超えたということが、ヤフーのスポーツニュースに載っていたのを読んだ。
ただ、ややこしいことに、「日米通算なんだからメジャーリーグ限定のタイ・カッブを超えたはおかしかろ」というアメリカ・マスコミサイドの指摘もあった。
アメリカが偉大なタイ・カッブの記録を神聖なものとして扱いたい気持ちはわかる。
「球聖」と呼ばれた人なのだ。
日本で言えば、ミスター・ベースボール長嶋茂雄氏を神格化するのと同等といえばいいか。
だから、私も「日米通算はオマケ」だと思っている。
鈴木一朗氏は、日本で数多くのヒットを打ち、さらにメジャーリーグで今も現在形でヒットを打ち続けている。
その偉業を通算で語るのは、鈴木一朗氏としても本意ではないのではないか、と私は思うのだ。
メジャーリーガーの鈴木一朗氏の記録は、メジャーリーガーとして評価すべきだ。
そして、日本プロ野球機構の一員だったイチロー選手の記録は、日本人選手として評価すべきだ。
そんな単純なことも忘れて、「通算」を都合よく強調するマスメディアの軽薄さには、いつものこととはいえ、辟易させられる。
ただ個人的に気になる報道として、何人かの勘違い人間の主張する「イチローの日米通算安打が認められるのなら、タイ・カッブやピート・ローズのマイナーでの記録も加算すべきだ」という白痴的な意見は、あきれるほど理論が破綻していて笑うことすら愚かしいと思った。
ここで、はっきりしていることは日本のプロ野球は米国のマイナーリーグではないということだ。
日本のプロ野球は、日本の最高峰の野球組織である。
つまり、メジャーリーグが、アメリカの最高峰の野球組織であるというのとイコールだ。
マイナーリーグの記録を加算するという根拠は、まったく的外れの言いがかりである。
それを言うなら、イチロー選手の日本での2軍の成績も加算していいことになる。
そうでなければ、辻褄が合わない。
彼が残した2軍での213本のヒットも加算すべきだろう。
日本プロ野球機構リーグと米国のマイナーリーグを混同するようなフェアでない議論を吹っかける「言いがかり」は、論理の欠落した野球ファンには話の種としては面白いだろうが、正当な比較論を組み立てられない理論は、私としては興ざめせざるをえない。
日本と米国の野球は、機構が違うのだから合算することに意味はない。
それでいいのではないか。
記録には、さまざまな側面がある。
たとえば、こんなマジックもある。
20世紀前半のヤンキー・スタジアムのあからさまなマジックのことだ。
米国が誇るホームラン王、ベーブ・ルース氏が数多くのホームランを記録した昔のヤンキー・スタジアムは左打ちのベーブ・ルース氏に有利なように右翼は90数メートルしかなかったという。
(王貞治氏が記録した世界最高本塁打数のうちの何割かに貢献した後楽園球場の右翼が、実際は80数メートルしかなかったのと同じマジックか)
そして、信じられないことだが、ヤンキー・スタジアムの右中間は130メートルだったが、センターは148メートル、左中間は152メートルもあったというのだ。
(今のメジャーリーグの球場の平均的広さは、センターが125メートル前後、左中間が117メートル前後だ)
ベーブ・ルース氏がライトに球を打ち上げたときは、ホームラン。
センターや左中間にヒットを打ったときは3塁打になることが多かったという。
ベーブ・ルース氏は、決して足の速いほうではなかったが、センターから左中間が異常に広かったため、まるで今の俊足の選手のように3塁打を連発したらしい。
そして、メジャーリーグの最高安打記録を持つピート・ローズ氏は、晩年の6年間は選手兼監督だった。
つまり、プレーイング・マネージャー。
自分がヒットを積み重ねられるように、監督としての権限を最大限使い、選手ピート・ローズとしてヒットを積み重ねたという。
監督としては6年間の勝率が.520。
地区優勝は一度もない。
年間の勝利数の平均が70勝程度の平凡な成績だった。
要するに、選手ピート・ローズを長生きさせるための監督業だったといわれても仕方がない。
そういった無理やり作った記録さえ「世界記録」として残るメジャーリーグの歴史を振り返り、大真面目に異議を唱えるのはバカバカしいが、真実だけは知っておくべきだと思う。
野球は、アメリカの国技のひとつだから、アメリカ・マスコミは国威発揚のためなら荒唐無稽なストーリーも平然と書くだろうが、それに鈴木一朗氏を巻き込まないでほしいと私は思うのだ。
あくまでも、鈴木一朗氏のメジャーリーグだけの記録を正当に評価して、彼を「伝説の人」にして欲しい。
タイ・カッブ氏はともかく、無理な設定で記録を積み重ねたベーブ・ルース氏、ピート・ローズ氏が偉大な選手だったと認知させるようなメジャーリーグの方式を鈴木一朗氏には、当てはめないでほしい。
鈴木一朗氏のことは、メジャーリーグに途中から参加して「伝説の人」たちに近づく成績を積み重ねたことだけを純粋に評価してほしいと思う。
そして、日本のマスメディアは、アメリカ型の国威発揚的で一時的な打ち上げ花火のような報道はせずに、鈴木一朗氏のメジャーリーガーとしてのヒストリーを正確に伝えてほしい。
さまざまな媒体で意図的にばら撒かれる非論理的な雑音より、鈴木一朗氏が、筋肉崇拝傾向の強いアメリカのメジャリーグで成功した数少ない日本人であるという事実が、私には何よりも意義深いことだと思うからだ。
鈴木一朗氏は、40歳を過ぎてもメジャーリーグで数多くのヒットを放ち、数字を積み重ね、全身をバネにして守り、そして走り続けている。
尊敬するしかない。
先ごろ、日米通産安打記録が、メジャーリーグ伝説の安打製造機タイ・カッブの記録を超えたということが、ヤフーのスポーツニュースに載っていたのを読んだ。
ただ、ややこしいことに、「日米通算なんだからメジャーリーグ限定のタイ・カッブを超えたはおかしかろ」というアメリカ・マスコミサイドの指摘もあった。
アメリカが偉大なタイ・カッブの記録を神聖なものとして扱いたい気持ちはわかる。
「球聖」と呼ばれた人なのだ。
日本で言えば、ミスター・ベースボール長嶋茂雄氏を神格化するのと同等といえばいいか。
だから、私も「日米通算はオマケ」だと思っている。
鈴木一朗氏は、日本で数多くのヒットを打ち、さらにメジャーリーグで今も現在形でヒットを打ち続けている。
その偉業を通算で語るのは、鈴木一朗氏としても本意ではないのではないか、と私は思うのだ。
メジャーリーガーの鈴木一朗氏の記録は、メジャーリーガーとして評価すべきだ。
そして、日本プロ野球機構の一員だったイチロー選手の記録は、日本人選手として評価すべきだ。
そんな単純なことも忘れて、「通算」を都合よく強調するマスメディアの軽薄さには、いつものこととはいえ、辟易させられる。
ただ個人的に気になる報道として、何人かの勘違い人間の主張する「イチローの日米通算安打が認められるのなら、タイ・カッブやピート・ローズのマイナーでの記録も加算すべきだ」という白痴的な意見は、あきれるほど理論が破綻していて笑うことすら愚かしいと思った。
ここで、はっきりしていることは日本のプロ野球は米国のマイナーリーグではないということだ。
日本のプロ野球は、日本の最高峰の野球組織である。
つまり、メジャーリーグが、アメリカの最高峰の野球組織であるというのとイコールだ。
マイナーリーグの記録を加算するという根拠は、まったく的外れの言いがかりである。
それを言うなら、イチロー選手の日本での2軍の成績も加算していいことになる。
そうでなければ、辻褄が合わない。
彼が残した2軍での213本のヒットも加算すべきだろう。
日本プロ野球機構リーグと米国のマイナーリーグを混同するようなフェアでない議論を吹っかける「言いがかり」は、論理の欠落した野球ファンには話の種としては面白いだろうが、正当な比較論を組み立てられない理論は、私としては興ざめせざるをえない。
日本と米国の野球は、機構が違うのだから合算することに意味はない。
それでいいのではないか。
記録には、さまざまな側面がある。
たとえば、こんなマジックもある。
20世紀前半のヤンキー・スタジアムのあからさまなマジックのことだ。
米国が誇るホームラン王、ベーブ・ルース氏が数多くのホームランを記録した昔のヤンキー・スタジアムは左打ちのベーブ・ルース氏に有利なように右翼は90数メートルしかなかったという。
(王貞治氏が記録した世界最高本塁打数のうちの何割かに貢献した後楽園球場の右翼が、実際は80数メートルしかなかったのと同じマジックか)
そして、信じられないことだが、ヤンキー・スタジアムの右中間は130メートルだったが、センターは148メートル、左中間は152メートルもあったというのだ。
(今のメジャーリーグの球場の平均的広さは、センターが125メートル前後、左中間が117メートル前後だ)
ベーブ・ルース氏がライトに球を打ち上げたときは、ホームラン。
センターや左中間にヒットを打ったときは3塁打になることが多かったという。
ベーブ・ルース氏は、決して足の速いほうではなかったが、センターから左中間が異常に広かったため、まるで今の俊足の選手のように3塁打を連発したらしい。
そして、メジャーリーグの最高安打記録を持つピート・ローズ氏は、晩年の6年間は選手兼監督だった。
つまり、プレーイング・マネージャー。
自分がヒットを積み重ねられるように、監督としての権限を最大限使い、選手ピート・ローズとしてヒットを積み重ねたという。
監督としては6年間の勝率が.520。
地区優勝は一度もない。
年間の勝利数の平均が70勝程度の平凡な成績だった。
要するに、選手ピート・ローズを長生きさせるための監督業だったといわれても仕方がない。
そういった無理やり作った記録さえ「世界記録」として残るメジャーリーグの歴史を振り返り、大真面目に異議を唱えるのはバカバカしいが、真実だけは知っておくべきだと思う。
野球は、アメリカの国技のひとつだから、アメリカ・マスコミは国威発揚のためなら荒唐無稽なストーリーも平然と書くだろうが、それに鈴木一朗氏を巻き込まないでほしいと私は思うのだ。
あくまでも、鈴木一朗氏のメジャーリーグだけの記録を正当に評価して、彼を「伝説の人」にして欲しい。
タイ・カッブ氏はともかく、無理な設定で記録を積み重ねたベーブ・ルース氏、ピート・ローズ氏が偉大な選手だったと認知させるようなメジャーリーグの方式を鈴木一朗氏には、当てはめないでほしい。
鈴木一朗氏のことは、メジャーリーグに途中から参加して「伝説の人」たちに近づく成績を積み重ねたことだけを純粋に評価してほしいと思う。
そして、日本のマスメディアは、アメリカ型の国威発揚的で一時的な打ち上げ花火のような報道はせずに、鈴木一朗氏のメジャーリーガーとしてのヒストリーを正確に伝えてほしい。
さまざまな媒体で意図的にばら撒かれる非論理的な雑音より、鈴木一朗氏が、筋肉崇拝傾向の強いアメリカのメジャリーグで成功した数少ない日本人であるという事実が、私には何よりも意義深いことだと思うからだ。