「辞めるのが私の美学だ」と頭を下げた政治家が、最近いた。
しかし、明確な美学を持っているのなら、金は簡単に受け取らないだろうし、たとえ受け取ったとしても、政治資金規正法に則って適正に処理しただろう。
そもそも美学を持っている人は、「チョット記憶が・・・・・」などと慌てたりしない。
そして、一昨日のことだが、ひとつの美学を持った女の人の会話を聞いた。
得意先で打ち合わせをした帰り、神田のパスタ屋でひとり遅いメシを食っていた。
1時を過ぎていたにもかかわらず、店内はほぼ満席だった。
この地域では時間差で昼メシを食う人が多いのかもしれない。
客の9割が女性。
男は、私を含めても3人だけだった。
男は「一人メシ」だったが、女性は2人以上のグループが店内を占めていた。
ひとりボロネーゼを食う私の横のテーブルに、二人組の女性がいた。
その人たちの会話が、私の耳に入ってきた。
盗み聞きをしたわけではない。
私はメシの最中は、本を読んだりスマートフォンをいじったり音楽を聴いたり、テレビを見たりする習慣がない。
メシを食うことに集中する。
ただ、左耳は生きているので、自然に会話が耳に入ってくることがある。
だから、盗み聞きではない。
「ひとりでランチを食べる人って、わたし大っ嫌い!」
それを聞いた私は、ドキッとして、思わず左のテーブルに目を移動させた。
30歳前後の地味な女性ふたりが、「何かのパスタ」を食べていた。
「そうよねえ、一人でランチなんて、信じられないわよねえ」と、もう一人が同調した。
そして、二人で「美学」を語るのだ。
「ランチを一緒に食べる人なんて、普通はいくらでもいるでしょ」
「そうよ、まともな人なら、絶対一人でランチなんて、ありえない!」
「親からどんな教育を受けたのかしらねえ」
「なんか欠陥だらけの人って感じがするわよね」
親からまともな教育を受けたこともなく欠陥だらけの私は、それを聞いて体を縮こまらせた。
やけくそになって、ボロネーゼにタバスコをぶちまけた。
「もし私の彼氏が一人でランチを食べていたら、ちょっと幻滅だわ」
「私もそんな寂しいひと嫌だなあ。ランチを一緒に食べる友だちもいないなんて人格疑うし」
お二人はご存知ないかもしれないが、世の中には、牛丼チェーン店というのがあって、そこでは多くの人たちが「ひとり」でメシを楽しんでいる。
さらに、ご存知ないかもしれないが、「立ち食いそば屋」という安くてマズイ店もあって、そこを利用する人も大抵はひとりだ。
マクドナルドなどのファストフード店も「おひとりさま」がたくさんいらっしゃると思う。
ランチには利用しないかもしれないが、スターバックスなどのカフェでひとり食後の飲み物を楽しむ方もいらっしゃる。
このおふたりは、きっとそれも「信じられな~い!」んでしょうか。
なかなか素晴らしい美学をお持ちだと感心した。
だが、最後に、このうちのお一人が、「究極の美学」を披露したのである。
「回転寿司なんかも、一人で入っている人がいるけど嫌よね」
「ラーメン屋もイヤね」
「食べ放題だって嫌だわ」
「カレーもイヤ」
「トンカツも!」
「焼肉もミジメだわ」
「え? なんで? 私、昨日の夜は、一人焼肉をしたわよ。焼肉はいいんじゃない?」
「・・・・・・・・・・」
「一人焼肉の専門店が帰り道にあるから、そこはしょっちゅう利用するわよ。だって、一人焼肉専門って言ってるんだから、一人じゃないとダメでしょ!」
「・・・・・ああ・・・・・そうね・・・たしかに・・・そうよね」
「人間は一人でご飯を食べたくなる時があるの。そういうときの焼肉はいいのよ」
「そうよねえ」
素晴らしい美学を聞かせていただき、ありがとうございました。
勉強になりました。
ついでに、政治家の皆様方も、このように毅然とした態度で美学を貫いていただきたいと思います。
しかし、明確な美学を持っているのなら、金は簡単に受け取らないだろうし、たとえ受け取ったとしても、政治資金規正法に則って適正に処理しただろう。
そもそも美学を持っている人は、「チョット記憶が・・・・・」などと慌てたりしない。
そして、一昨日のことだが、ひとつの美学を持った女の人の会話を聞いた。
得意先で打ち合わせをした帰り、神田のパスタ屋でひとり遅いメシを食っていた。
1時を過ぎていたにもかかわらず、店内はほぼ満席だった。
この地域では時間差で昼メシを食う人が多いのかもしれない。
客の9割が女性。
男は、私を含めても3人だけだった。
男は「一人メシ」だったが、女性は2人以上のグループが店内を占めていた。
ひとりボロネーゼを食う私の横のテーブルに、二人組の女性がいた。
その人たちの会話が、私の耳に入ってきた。
盗み聞きをしたわけではない。
私はメシの最中は、本を読んだりスマートフォンをいじったり音楽を聴いたり、テレビを見たりする習慣がない。
メシを食うことに集中する。
ただ、左耳は生きているので、自然に会話が耳に入ってくることがある。
だから、盗み聞きではない。
「ひとりでランチを食べる人って、わたし大っ嫌い!」
それを聞いた私は、ドキッとして、思わず左のテーブルに目を移動させた。
30歳前後の地味な女性ふたりが、「何かのパスタ」を食べていた。
「そうよねえ、一人でランチなんて、信じられないわよねえ」と、もう一人が同調した。
そして、二人で「美学」を語るのだ。
「ランチを一緒に食べる人なんて、普通はいくらでもいるでしょ」
「そうよ、まともな人なら、絶対一人でランチなんて、ありえない!」
「親からどんな教育を受けたのかしらねえ」
「なんか欠陥だらけの人って感じがするわよね」
親からまともな教育を受けたこともなく欠陥だらけの私は、それを聞いて体を縮こまらせた。
やけくそになって、ボロネーゼにタバスコをぶちまけた。
「もし私の彼氏が一人でランチを食べていたら、ちょっと幻滅だわ」
「私もそんな寂しいひと嫌だなあ。ランチを一緒に食べる友だちもいないなんて人格疑うし」
お二人はご存知ないかもしれないが、世の中には、牛丼チェーン店というのがあって、そこでは多くの人たちが「ひとり」でメシを楽しんでいる。
さらに、ご存知ないかもしれないが、「立ち食いそば屋」という安くてマズイ店もあって、そこを利用する人も大抵はひとりだ。
マクドナルドなどのファストフード店も「おひとりさま」がたくさんいらっしゃると思う。
ランチには利用しないかもしれないが、スターバックスなどのカフェでひとり食後の飲み物を楽しむ方もいらっしゃる。
このおふたりは、きっとそれも「信じられな~い!」んでしょうか。
なかなか素晴らしい美学をお持ちだと感心した。
だが、最後に、このうちのお一人が、「究極の美学」を披露したのである。
「回転寿司なんかも、一人で入っている人がいるけど嫌よね」
「ラーメン屋もイヤね」
「食べ放題だって嫌だわ」
「カレーもイヤ」
「トンカツも!」
「焼肉もミジメだわ」
「え? なんで? 私、昨日の夜は、一人焼肉をしたわよ。焼肉はいいんじゃない?」
「・・・・・・・・・・」
「一人焼肉の専門店が帰り道にあるから、そこはしょっちゅう利用するわよ。だって、一人焼肉専門って言ってるんだから、一人じゃないとダメでしょ!」
「・・・・・ああ・・・・・そうね・・・たしかに・・・そうよね」
「人間は一人でご飯を食べたくなる時があるの。そういうときの焼肉はいいのよ」
「そうよねえ」
素晴らしい美学を聞かせていただき、ありがとうございました。
勉強になりました。
ついでに、政治家の皆様方も、このように毅然とした態度で美学を貫いていただきたいと思います。