前回に引き続いて、自転車ネタ。
オンボロアパートから10キロ圏内の得意先だったら自転車で行くから、自転車で移動する距離は誰よりも多いと思う。
そして、その分だけ自転車のトラブルに巻き込まれることも多い。
ただ、私はそんなとき、自分だけが正しい、と主張するつもりはない。
私が悪い場合も多々あると思う。
では、今回のことはどうだったのだろう。
その事件のことを書こうと思う。
東京稲城市の同業者との打ち合わせを終えて、多摩川原橋を渡り調布市に入って少し進んだところの交差点に差し掛かったときのことだった。
信号が点滅していたので、止まった。
そして、体をリラックスさせるために、首をゴキっと左右に鳴らし、両手をハンドルから話した。
そのとき、白いワゴン車が私の前を通り過ぎたところで止まった。
車の横に「○○工務店」と書いてあったのが見えた。
その車の運転席から「危ねえだろうが!」という罵声が聞こえた。
その罵声が私に向いていると思わなかった私は、知らんぷりをした。
だが、運転席の男が車から降り、険しい顔を作って私に向かって歩いてきたのだ。
え? オレ?
そして、男がもう一度「危ねえだろうが!」と怒鳴った。
危ない?
何が?
私は信号が点滅していたので、自転車を普通に止めて、リラックスするためにハンドルから手を離しただけである。
誰にも迷惑をかけていない自信があった。
しかし、目の前の160センチで小太り、怒り肩の男は私を睨んで、仁王立ちをしたのだ。
そして、言った。
「おまえよお、赤信号で無理やり渡ろうとしたろうがよぉ!」
「冤罪」というのは、日常にいくらでも転がっているものだ。
そして、それがたまたまいま私に当たったのだと、私は思った。
私は、自分で言うのも変な話だが、温厚な方だと思っている。
なるべく人様と波風を立てないように生きてきた。
だが、意味もなく私を睨むやからに対しては、睨み返すことを選んできた。
だから、このときも睨み返した。
160センチの男と180センチの私。
下と上で睨み合った。
そして、今度は胸ぐらを掴まれた。
なんで?
「なんで赤信号で渡ろうとしたんだよ。なに考えているんだ! おまえ!」
年齢は60歳を過ぎていると思われた。
だから、私の先輩だ。
しかし、私はその先輩に向かって失礼にも、おまえ、何か勘違いしていないか、と反論したのである。
どう考えたって、どう見たって、私の自転車は車道には、はみ出していない。
冷静に考えれば、わかる話ではないか。
だから、おまえ、俺の自転車は、いまどこに止まっている、と男に聞いた。
その「おまえ」が、相手の怒りに火をつけたのだろう。
私の胸ぐらを掴む手に力が入った。
殴るつもりなのかもしれない。
しかし、むしろ殴られたほうがわかりやすのではないか、と私は冷静に判断した。
そうすれば、この男を200メートル先の下石原の交番まで連れて行って告発することができる。
とは思ったが、他のことも頭に浮かんだ。
おまえの車には、ドライブレコーダー(車載カメラ)はないのか?
私がそう言うと、男が「ある」と素直に答えた。
あるのなら、それを見てみろよ。
それを再生すれば、俺が赤信号を渡ろうとしていないのがわかるだろう。
しかし、私のまっとうな主張に、男は首を振った。
「カメラより、俺の目の方が正しいんだよ!」
理屈になっていない。
こういう場合は、第三者の目こそが有効な判断材料になる。
他に誰も見ている人がいないときは、機械の目に頼るのが一番合理的ではないのか。
だから、私は、なぜレコーダーを見ないのだ。おまえ、本当は自分の目に自信がないんだろう、と問い詰めた。
男が少しひるんで、私の胸ぐらをつかんでいた手を離したとき、近くに若い男が寄ってきた。
「どうしました?」
30歳前後のサラリーマン風の男だった。
私は事情を説明した。
私の説明を聞いた男は、「ああ、それはわかりやすいですね。ドライブレコーダーを見れば全てわかりますもんね」と頷いてくれた。
「なんだよ、面倒くせえなあ、じゃあ、いいよ!」
男は、怒鳴ったあとで素早く身を翻し、自分の車の運転席まで早足で歩いて行って、すぐに車を発進させ我々の目の前からいなくなった。
私と30歳前後のサラリーマン風の男は、間抜けなかたちで交差点に取り残された。
いったい、あれは、なんなんでしょうね、と私は呟いた。
しかし、そのとき、サラリーマン風の男が、私にとって意外なことを言って、私を非難がましい目で見たのである。
「ああいうときは、適当に謝っておけば良かったんじゃないですか。それで相手の気が済むなら、僕ならすぐ謝りますけどね。オタク、大人気ないですね」
そんな捨て台詞を残して、足早に横断歩道を渡っていった。
そうなのか。
自分が悪くなくても、謝っておけば波風が立たないと判断して、誰もがこの場合、謝るのが普通なのか。
そうなのかぁ・・・・・・。
俺は、大人気ないのかぁ。
すこぶる落ち込んで反省させられた日だった。
オンボロアパートから10キロ圏内の得意先だったら自転車で行くから、自転車で移動する距離は誰よりも多いと思う。
そして、その分だけ自転車のトラブルに巻き込まれることも多い。
ただ、私はそんなとき、自分だけが正しい、と主張するつもりはない。
私が悪い場合も多々あると思う。
では、今回のことはどうだったのだろう。
その事件のことを書こうと思う。
東京稲城市の同業者との打ち合わせを終えて、多摩川原橋を渡り調布市に入って少し進んだところの交差点に差し掛かったときのことだった。
信号が点滅していたので、止まった。
そして、体をリラックスさせるために、首をゴキっと左右に鳴らし、両手をハンドルから話した。
そのとき、白いワゴン車が私の前を通り過ぎたところで止まった。
車の横に「○○工務店」と書いてあったのが見えた。
その車の運転席から「危ねえだろうが!」という罵声が聞こえた。
その罵声が私に向いていると思わなかった私は、知らんぷりをした。
だが、運転席の男が車から降り、険しい顔を作って私に向かって歩いてきたのだ。
え? オレ?
そして、男がもう一度「危ねえだろうが!」と怒鳴った。
危ない?
何が?
私は信号が点滅していたので、自転車を普通に止めて、リラックスするためにハンドルから手を離しただけである。
誰にも迷惑をかけていない自信があった。
しかし、目の前の160センチで小太り、怒り肩の男は私を睨んで、仁王立ちをしたのだ。
そして、言った。
「おまえよお、赤信号で無理やり渡ろうとしたろうがよぉ!」
「冤罪」というのは、日常にいくらでも転がっているものだ。
そして、それがたまたまいま私に当たったのだと、私は思った。
私は、自分で言うのも変な話だが、温厚な方だと思っている。
なるべく人様と波風を立てないように生きてきた。
だが、意味もなく私を睨むやからに対しては、睨み返すことを選んできた。
だから、このときも睨み返した。
160センチの男と180センチの私。
下と上で睨み合った。
そして、今度は胸ぐらを掴まれた。
なんで?
「なんで赤信号で渡ろうとしたんだよ。なに考えているんだ! おまえ!」
年齢は60歳を過ぎていると思われた。
だから、私の先輩だ。
しかし、私はその先輩に向かって失礼にも、おまえ、何か勘違いしていないか、と反論したのである。
どう考えたって、どう見たって、私の自転車は車道には、はみ出していない。
冷静に考えれば、わかる話ではないか。
だから、おまえ、俺の自転車は、いまどこに止まっている、と男に聞いた。
その「おまえ」が、相手の怒りに火をつけたのだろう。
私の胸ぐらを掴む手に力が入った。
殴るつもりなのかもしれない。
しかし、むしろ殴られたほうがわかりやすのではないか、と私は冷静に判断した。
そうすれば、この男を200メートル先の下石原の交番まで連れて行って告発することができる。
とは思ったが、他のことも頭に浮かんだ。
おまえの車には、ドライブレコーダー(車載カメラ)はないのか?
私がそう言うと、男が「ある」と素直に答えた。
あるのなら、それを見てみろよ。
それを再生すれば、俺が赤信号を渡ろうとしていないのがわかるだろう。
しかし、私のまっとうな主張に、男は首を振った。
「カメラより、俺の目の方が正しいんだよ!」
理屈になっていない。
こういう場合は、第三者の目こそが有効な判断材料になる。
他に誰も見ている人がいないときは、機械の目に頼るのが一番合理的ではないのか。
だから、私は、なぜレコーダーを見ないのだ。おまえ、本当は自分の目に自信がないんだろう、と問い詰めた。
男が少しひるんで、私の胸ぐらをつかんでいた手を離したとき、近くに若い男が寄ってきた。
「どうしました?」
30歳前後のサラリーマン風の男だった。
私は事情を説明した。
私の説明を聞いた男は、「ああ、それはわかりやすいですね。ドライブレコーダーを見れば全てわかりますもんね」と頷いてくれた。
「なんだよ、面倒くせえなあ、じゃあ、いいよ!」
男は、怒鳴ったあとで素早く身を翻し、自分の車の運転席まで早足で歩いて行って、すぐに車を発進させ我々の目の前からいなくなった。
私と30歳前後のサラリーマン風の男は、間抜けなかたちで交差点に取り残された。
いったい、あれは、なんなんでしょうね、と私は呟いた。
しかし、そのとき、サラリーマン風の男が、私にとって意外なことを言って、私を非難がましい目で見たのである。
「ああいうときは、適当に謝っておけば良かったんじゃないですか。それで相手の気が済むなら、僕ならすぐ謝りますけどね。オタク、大人気ないですね」
そんな捨て台詞を残して、足早に横断歩道を渡っていった。
そうなのか。
自分が悪くなくても、謝っておけば波風が立たないと判断して、誰もがこの場合、謝るのが普通なのか。
そうなのかぁ・・・・・・。
俺は、大人気ないのかぁ。
すこぶる落ち込んで反省させられた日だった。