リスタートのブログ

住宅関連の文章を載せていましたが、メーカーとの付き合いがなくなったのでオヤジのひとり言に内容を変えました。

最後は娘自慢

2020-08-30 05:29:01 | オヤジの日記

安倍晋三先生、お疲れさまでした。
お辛かったでしょう。これからは、難病の治療に専念してください。


昨日の土曜日は、色々なことがあった。

昨日の敵は今日も敵。
午後4時半、ウォーキングに出かけた。
せいぜい5キロから6キロだから、歩数にして7千歩か8千歩だ。
国立の大学通り。10日ほど前、そこを歩いていたら、フレンチブルドッグ3匹を散歩させている女性がいた。マスクをしているから年齢はわかりづらい。25歳から36歳くらいだろうか。
ブチャイクな顔が可愛いね。フレンチ君は、フガフガ言いながら、私の足にまとわりついてきた。可愛いね、ブッチャイクだね。
ヨシヨシとボディを撫でようとしたら、3匹のうち1匹が、意外な行動に出た。私の足の横で右足を上げると、足に向かってシャー。
そんなことって、アルゼンチン?
愛用のスポーツサンダルが、オシッコまみれですよ。マーキングされちまった。俺は君の縄張りか。
飼い主さんが慌ててタオルで拭いてくれたが、生温かい感触は、右足にずっと残っていた。

その3日後くらいだろうか。同じ時間にウォーキングをした。すると、またフレンチブルドッグ3匹と出くわした。
フガフガ言いながら、嬉しそうに近づいてきた。そして、その中の1匹に即座に、マーキングされた。
そうか、俺は、君の縄張りだったんだな。
飼い主さんに聞いてみた。散歩は、いつもこのコース、この時間ですか。
「そうですね。ほぼ毎日」
そうか、では、私が時間とコースを変えれば、マーキングから逃れられるということだな。
ということで、土曜日はいつもより15分早くウォーキングを始めた。幸いにもフレンチ3人組には遭遇しなかった。
ほっとした私は、大学通りの木のベンチに座って、コンビニで買ったクリアアサヒを飲みはじめた。
至福の時間。暑かったが、体から力が抜けますな。オシッコの匂いもしないし。

というのは甘い考えだった。
クリアアサヒを飲んでいたら、前からフレンチ3人組がフガフガ言いながら、嬉しそうに近づいて来るではないか。俺をロックオンしたな。
飼い主さんは必死に押さえていたが、フレンチ3人組の馬力には勝てない。1匹が私の足めがけてやって来た。
マーキング態勢だ。しかし、私も馬鹿ではない。咄嗟に両足を上げて、攻撃を防いだ。
空振りだね、フレンチ君。君の負けだ。
フレンチ君は、恨めしそうな顔で私を見上げ、腰をフリフリ去っていった。
昨日の敵は、今日も敵。
次はいつこの敵に遭遇するだろうか。


そのあと、ケツに入れたiPhoneが震えた。ディスプレイを見ると、立川の同業者サノさんだった。
普段は、すぐに出ることはしないのだが、少しいい気分だったので出た。
「ああ、Mさん、ちょっと相談したいことがあるんですけど、いいですか。いま用事があって国立まで来てるんですよ。申し訳ないですが、出てこられますか」
いいけど、俺、家族の晩メシを作らないといけないので、6時20分までがリミットですよ。
「いいです、十分です。僕はいまロイヤルホストにいるんですよ」
奇遇ですな。私はいまロイヤルホストの下の街路樹にあるベンチで休んでいるんですよ。
国立のロイヤルホストは、2階にあった。見上げると窓際の席に座っていたサノさんが、手を振っていた。私も手を振った。
恋人同士か。

中に入ると、サノさんがメシを食っていた。
サノさんのはす向かいの席に座った。マスクはつけていた。マスク警察が怖いので。
「お先にいただいてます」サノさんは、すでにロースカツらしきものを食っていた。
「Mさんは食べないんですよね。でも、何か軽くつまんでください。僕が払います」
ありがとうございます。キリンラガーと生ハムを頼んだ。
それで、ご相談というのは・・・。
「実は、山梨で本格的に在宅ワークを始めようと思っているんですよ」
サノさんには、とても美人の彼女がいた。モデルのSHIHOさんに似ているので、私は彼女をSHIHO人形さん、と密かに呼んでいた。
彼女は、ご両親と一緒に山梨で農家をしていた。ご両親は野菜農家、奥さんは、トマトの栽培専門。色々なトマトを作って、数カ所のイタリアンレストランに卸し、道の駅に陳列しているという。
サノさんは、山梨で在宅ワークをするにあたって、すでに取引先の了解を得ていた。いいではないか。順調ではないか。
それのどこに問題が?
「実は僕には、彼女との間に子どもがいるんです。もうすぐ6歳になります。来年小学校に上がるので、ここはケジメをつけるべきだと思いまして、入籍と同居を決意しました」
いいですね。いい決断です。子どもさんがいるのには、ビックリしたけど。
ただ、困ったことに、娘さんがサノさんに懐かないのだという。月に1回、彼女が娘さんを連れて事務所にやって来るのだが、抱っこしようとしても完全拒否。レストランに食事に行って大好きなオムライスが目の前にあっても、まったく手をつけない。
帰り際にバイバイをしても、横をプイッと向く。父親だと認めてくれないのだという。
「どうしたら、いいんでしょう」

それは、子どもとしては仕方ないでしょう。いつも家にいない人間に「お父さんだよ」と言われても子どもの理解を超えています。
一緒に生活して、毎日顔を合わせて、サノさんが奥さんやご両親と仲良くしている姿を見せたら、ああ、この人は特別な人なんだって、徐々にわかってきますよ。
最初は、ママをとられた、と嫉妬するかもしれませんが、それは仲良くなる過程だと思ってください。サノさんが、奥さんを大事にし、ご両親を大事にしている姿を毎日見たら、きっと気持ちがほぐれてきます。
ただ、焦らないことです。僕は君のパパだよ、お父さんだよというのは、やめた方がいです。娘さんの頭に徐々にサノさんの存在が浸透していくのを待ったらどうですか。
サノさんは、奥さん、ご両親と仲良くしている姿を見せるだけでいいんです。
大事なのは、娘さんの気持ち。その気持ちを乱さないようにしてください。

サノさんが、テーブルに手をついて、深く頭を下げた。
キリンラガーを飲むのは、久しぶりだったが、やっぱり美味いね。生ハムも適度に熟成していて美味かった。
サノさんは気分を良くしたのか、粗挽きソーセージのグリルを追加で頼んだ。
私は、そこでバイバイした。

家に帰ると、キッチンからいい匂いが漂ってきた。
覗くと娘が、オムライスを作っている最中だった。
「おお、今日の晩ごはんは、ボクが作る。おまえは、パソコンの前で屁でもしていろ。昨日、あまり寝ていないのをボクは知っているぞ。少し休め」
ブフォッ。

サノさんの娘さんが、こんないい子に育つことを私は祈る。


結局、最後は娘自慢。