小笠原・父島*1989年3月*島内散策
父島での時間は意外と短い。
おがさわら丸の1サイクルでの旅程だと、
丸々1日フリーの日は、二日間しかありません。
島内を移動する手段としては、レンタカーとか、レンタルの原付バイク、路線バス。
われわれ姉妹はこの時運転免許を持っていなかったので、
離れたところへは路線バスで行きました。

日にちは前後しますが、父島に着いた日は、
午後から徒歩で大村界隈を散策
しました。
小笠原ビジターセンター、聖ジョージ協会、郵便局、大村海岸、生協(お店)など・・・。
自分の旅の目的は、父島ってどんなとこだろう?という、
「なんとなく」的な部分が大きかったので、
あまりガツガツと動き回りませんでした。
父島へはダイビングや釣り目的で来ている人も多くいたし、
「秘境が好き」みたいな人はそのまま母島へ行く船に乗るし・・・で、
いわゆる自分たちのような観光客はあまり街中で見かけませんでした。

それでも、太平洋に浮かぶ島に来たのですから、
ぜひとも「ビーチ」には行ってみたい。
宿の近くの大村海岸は内地に比べたら十分きれいですが、
もっと、白砂のさらさらした所に行こう
というわけで、
翌日、比較的行きやすい「小港海岸」へバスで行くことにしました。

いざ、バスに乗り込むと・・・バスといってもマイクロバスだったような
・・・。
乗客は少なかったです。観光客は我々姉妹だけかも?
バスで30分も乗ったかどうか・・・で小港に到着
。
前述しましたが、我々が父島にいる間、ほとんど曇天
で、
好天ならば小港海岸で泳いでもいいかなぁと一応水着は用意してあったけれども、
この日はトレーナーを着るくらいの涼しい気候だったので、
海水浴をするには勇気が必要だったのでした。
父島の中では小港海岸は一番一般的な海水浴場なので、
他に泳いでいる人がいるかと思ったけれども、
・・・そもそも人がいません
。ここは小港海岸ではないのか
自分の感覚の中では、海水浴のできるビーチには、
お店やせいぜい自動販売機くらいあるだろうと思ってしまうのですが、
そういうのもないし・・・。

小港海岸からさらに歩いて行くと、もっときれいなビーチがあるというので、
気が向いたら行ってみようと妹と言っていましたが、
小港海岸があまりにも寂しくてすっかり不安になってしまい、
ここから歩いてどこかへ行くうちに迷って帰れなくなっても困るので、
早々に小港海岸をあとにすることにしました
。
この頃、まだペットボトルもなくて、飲み物も特に用意していなかったし、
食べ物もお菓子程度しか持っていなかったし。


小港海岸の少し南の「中山峠」という展望台で紺碧の海を臨みまして、
その後、どうせバスを待つなら道路を歩いてみようとてくてく進んで行くと、
「亜熱帯農業センター」があり、蒸し暑い温室の中の花を見て回り
。

そこからバスに乗って、境浦へ・・・。
ここには戦争の遺物「座礁船・濱江丸」がありました。

画像ではわかりにくいけれども、さびに覆われたような色合いでした。
後に読んだ有吉佐和子さんの「日本の島々、昔と今」によると、
第二次世界大戦中からあと、小笠原の住民は本土に強制疎開させられたそうだ。
欧米系の住民は戦後小笠原に戻りましたが、
島が日本に返還されたのは1968年のこと。
1989年のこの時はまだ20年余りしかたっていなかったのです。
曇天のせいもあるかもしれませんが、
島に漂う空気が「南の島の明るい陽気な雰囲気」ではなかったのは、
こうした歴史のせいもあるのかもしれません。


アオウミガメの研究機関である「海洋センター」で水槽を眺め、
てくてく歩いて、大村に戻ってきました。
気づいたらお昼ご飯を食べる間もなく・・・というかお店も途中にないし、
かなり空腹をかんじておりまして・・・。
外食できるところはあまりないのでしたが、
ある民宿(ペンション)がランチの営業をしていて、
そこで遅い昼ご飯にようやくありつけました
。
我々がバスと徒歩でまわる観光客だと知って、
そこのご主人が「ウェザーステーションまで
で連れて行ってくれる」と、
親切にもおっしゃってくださり、好意に甘えてしまいました。
ウェザーステーションは距離はそう遠くはないようですが、
坂をグーッと上がったところにあるので、車は有難い

ウェザーステーションから太平洋の水平線を西に望み、
もし、夕日が沈む頃なら最高だろうなぁと思いをめぐらせる。
そこから、三日月山展望台へ行くことにして、
帰路は歩いて帰りますと、ご主人にお礼を言って別れました。
三日月山展望台からは大村を眼下にし、二見港がよく見えます。
撮影した写真がどれもスモーキーブルーの空なのが惜しまれる
。
ちなみに、夕日の時間ではなかったせいか、
ここでも観光客に会わなかったなぁ。


バナナ荘に戻ったところで、バナナ荘の宿泊者たちに、
「夜、カメ肉を食べに行かないか」と誘われたわけですが・・・。
(そのことについては
←こちら)
のんびり過ごすというより、盛りだくさんの1日でした。 ~つづく~