先週末8日(金)の午後、静岡市の七間町通りにある上川陽子さんの後援会事務所で新年会が開かれました。事務所1階が「みんなの広場」として開放され、地産地消カフェと地元産品の販売拠点に生まれ変わったのです。
昨年末に陽子さんから「新装開店お披露目を兼ねるから、地酒の鏡開きでお祝いしたい」と依頼を受け、静岡市内の地酒なら満寿一さんでしょうとお応えし、蔵元に新年8日に樽酒が用意できるかどうか確認し、事務所関係者を通して用意してもらうことに。陽子さんの再出発のお祝いも大事ですが、わたし的には新年 に満寿一の樽酒で乾杯できることのほうが嬉しくて(苦笑)、はせ参じたのでした。
昨年の衆院選で苦杯をなめた陽子さん。私は今、ちょうど取材で静岡県内の子育て・少子化問題に取り組んでいますが、陽子さんは少子化問題担当大臣として日本と世界を飛び回っておられたんですよね。当時、根本的解決は“婚活”だから、何かいいアイディアない?と、独身女性キャリアのSさん(当ブログ読者にはおなじみ?台湾珍道中のパートナー)と私にふられて、2人でエ~ッと目を見合わせたこともありました(笑)。
その後、少子化担当大臣は小渕優子さんや福島みずほさんといったメジャーな女性議員が務めますが、少子化問題って、すぐには答えが出ない難しいテーマだし、今の民主党の子育て給付金みたいなバラマキ政策が有効とも思えない。この問題こそ、与野党の党利党略に関係なく、中長期的視点に立って取り組んでほしい。お飾りポスト扱いじゃなくて、本当に力のある人に担当してもらって、ある程度腰を据えて取り組んでほしいと思います。ひいきめじゃなくても、陽子さんは適任者だったと思うんだけどな…。
さて、新年会のあいさつで、陽子さんがNHKの『坂の上の雲』を観て大いに感動したという話をされました。大久保利通を尊敬するだけあって、目立つヒーロー(乃木や東郷など)よりも、先を見据え、現実との折り合いもきちんとつける秋山兄弟のような実務型実力者に惹かれるんだと思いました。
「何より感動するのは、時代の大きな変革時に、国を憂いてまっすぐに行動する志士たちの高潔さです」と声を詰まらせる陽子さん。まっすぐに行動することの難しさは、国政の場にいた人でしかわからないリアルな実感でしょう。
二世議員でもなく、大きな地盤もない中、まっすぐに政治家を目指して政策会社を立ち上げ、ナントカ旋風もない無風選挙区から一人立ち上がって、当選3期で大臣を務め上げ、これからその実力が開花するというときに苦杯をなめた…。その陽子さんが語る幕末維新の志士への思いは、今、日本でこの人しか感じ得ない思いなのかもしれない、とさえ想像されます。
『坂の上の雲』も『龍馬伝』も、我々はテレビの一視聴者として目に映る範囲でしか感じるものはありませんが、現役の政治家のみなさんの見方というのは、想像できないほど深いものがあるはずです。陽子さんの表情から、それがなんとなく伝わってきました。
話は変わりますが、『坂の上の雲』は“鉄板”の原作があるだけに、人物の骨格が初めからこうだ!と決まっていて、わかり易いといえばわかり易いですね。同じ原作者の『竜馬がゆく』も、わかり易い竜馬像で、複雑な時代背景を描くには奏功しているのかもしれません。
私は歴史が好きでも、(作家の個人史観による)歴史小説や時代小説ではなく、資料や論文を読むほうが好きで、(勝者が都合よく改竄している可能性もある)史料に残っていない行間を想像で埋める作業に愉しみを感じています。歴史ドラマを観るときも、あまり丁寧に説明されたり、キャラを作為的に押しつけられると愉しめなくなってしまいます。
その点、新しく始まった『龍馬伝』は、龍馬や半平太のキャラが不安定で、どうにでも解釈できるシーンもあったりして、これがどんなふうに意味づけられ、キャラが変貌していくのか(キャラを変貌させる時代背景=人間関係をどう描くのか)、長い目で愉しめそうだと思いました。
そういえば陽子さんは大臣時代、新設された公文書担当大臣も併任し、後世の人々に公平な行政資料を残す政策に取り組んでおられました。
のちの政治家や歴史家は、19世紀末と20世紀末をどう比較評価するんでしょうね…そのための一助を、陽子さんが担ったのは確かな事実として残るはずですが。
陽子さんが立ち上げたみんなの広場、ぜひこちらをご覧くださいね。