杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

杯が乾くまで3杯目

2010-12-31 11:20:51 | 日記・エッセイ・コラム

 『杯が乾くまで』も3杯目になりました。短文かつスピーディーなツイッターやブログが流行る中、ローカルライターの自慰的長文ダラダラ日記におつきあいいただき、本当にありがとうございます。

 

 私はふだん仕事で、不特定多数の読者に発信する文章を、各方面に配慮しながら肩に力を入れて書くので、個人ブログではついダラッと気を抜いて、その時々の自分の思いや、不特定ではなく、“今のこの思いを伝えたいあの人”を想定して書いてしまい、せっかく訪問してくださった方々を不快にさせてしまうこともありました。改めてお詫び申し上げます。

 

 職業ライターである以上、この習性は一朝一夕には修正できないと思いますが、“読んでくださる方を不快にせず、自分の思いや、思いを伝えたい相手に届く文章を書く”ことも、文章修業のひとつと肝に据え、新たな年も精進していきたいと思います。

 

 2010年に掲載した中で、アクセス件数の多かった日記を改めて読み返してみました。といっても『ブログ人』さんでは過去90日分のアクセスデータしか検索できないので、正確には2010年10月から12月までのページ別アクセス件数ということになります。

 トップは、もちろん「トップページ」・・・つまり最新更新ページですが、キーワード検索等で初訪問してくださった方が多いと、ページ別ランキングの上位に入ってくるんですね。自分で言うのも何ですが、ちょっと面白いランキングになりました。

 

 

 

 

① 御前崎総合病院コスモスだより ・・・屋上緑化に取り組む御前崎総合病院花の会の活動は、年に1~2回ぐらいしか紹介できないのですが、会の関係者の方が定期的に閲覧してくださるようです。会代表の塚本さんのお名前は『杯が乾くまで』の個人名検索ランクで歴代堂々一位です

 

② おむつゼロの計り知れないドラマ ・・・御前崎市の特別養護老人ホーム『灯光園』の入居者のおむつ着用率ゼロという質の高い介護についての取材秘話を紹介した2010年1月の日記ですが、未だに多くの方に読んでいただいています。自分自身も深く考えさせられた内容だけに、反響の多さにはナットクです。それにしても御前崎市の保健医療体制の充実ぶりは素晴らしい

 

③ しずおか吟醸伝スタート ・・・地酒関連のページはカテゴリー「吟醸王国しずおか」「しずおか地酒研究会」は上位に来ていますが、単独ページ別では第3位。・・・これって喜んでいいのか哀しんでいいのかフクザツな思いです(苦笑)

 

④ 朝鮮の茶母 ・・・お世話になっている京都高麗美術館の会報誌に掲載されていた朝鮮王朝時代の伝統的な茶の作法や「茶母」と呼ばれる女性の仕事についての論文を紹介した日記。2009年4月の掲載ですが、2010年下半期に急にアクセス件数が増えました。世界お茶まつりや韓流歴史ドラマの影響でしょうか???

 

⑤ 駿河酒造場復活ものがたり ・・・静岡市内に2010年4月に誕生した酒蔵の紹介。掛川にあった『曽我鶴萩の蔵』の蔵元の執念ともいえる復活劇は、酒造版プロジェクトXみたいなお話で、こういう記事が他の人気銘柄の紹介記事よりもアクセス件数が多かったというのは、ある意味、ライター冥利に尽きる話です

 

⑥ 長寿企業の条件 ・・・静岡県ニュービジネス協議会のセミナーで行政書士法人アスカ総合事務所の岸本理事長にうかがった“継続する企業の生き方”についてのお話。酒造業に重ねて考えてみると、非常にわかりやすく、経営本をまるごと1冊読んだくらいの勉強になりました

 

⑦ サッカー王国静岡その1 ・・・サッカーW杯開催時に、自分がその昔、編集執筆したサッカー雑誌の記事を引っ張り出して紹介しました。静岡県出身Jリーガーを育てた名指導者たちの対談の再掲です

 

⑧ 浜名湖たきや漁体験 ・・・2009年に取材でお世話になったNPO法人はまなこ里海の会の窪田事務局長にお誘いいただき、10年夏、伝統漁法たきやに挑戦したひと夏の思い出。不漁?にもかかわらず、ご一緒した人々との初対面とは思えない語らいの時間がホントに楽しかった

 

⑨ 中條峰雄先生の回顧展 ・・・駿河蒔絵師・中條峰雄先生の回顧展が10年秋に開かれました。2010年に鑑賞した美術展の中でも、ひときわ思い出深く、心に残る素晴らしい展覧会でした。主宰した奥様からブログ掲載に感謝のお手紙をいただき、ちょうど別の掲載記事に批判を受けていた時期だったので、とても有難く、改めてこんなブログでも喜んでくださる方がいる限り、書き続けようと決意しました

 

⑩ 静岡経済研究所SERIサロン例会 ・・・2009年12月の記事ですが、吟醸王国しずおかパイロット版上映とPR活動を紹介した記事の中では一番アクセス件数が多く、さすが静岡経研!と有難く感謝いたしました

 

 

 

 どんなページが多く読まれているかによって、時代の空気感というのか、世間の関心の動向が読めて、このランキングはとても興味深かった・・・!

 それにしてもジャンルがやたらバラバラで、広く浅く、中身の薄い記事ばかりでお恥ずかしい限り。・・・それでも、酒の検索で来た方が酒以外の地域の情報に触れ、福祉や経済や歴史のテーマで検索された方が、酒の情報に出会う可能性もあるわけで、自分はそんな、地域情報の橋渡し役になれたらと思っています。

  

 2011年もどうぞ杯が乾くまで、おつきあいくださいませ


今年の酒縁に感謝!

2010-12-29 10:57:34 | 吟醸王国しずおか

 28日、世間的に仕事納めの日、お世話になった何箇所かにご挨拶回りをしました。

 

 

 先週末に『喜久醉』の青島孝さんから「今がイチバン飲みごろ」というとびきりのお酒を送っていただきました。

 …実はWOWOWを契約されている方はご存知だと思いますが、1月2日15時から『銘酒誕生物語~岐阜・静岡 杜氏秘伝の技を訪ねて』という番組が放送されます。昨年からWOWOWで日本酒や焼酎の蔵元を紹介する1時間番組が年数回、放送されているんですが、いよいよ静岡の蔵元代表で青島酒造さんが登場します!

 今回はタイトルどおり杜氏の技の伝承というテーマだそうで、私が長年撮り溜めていた青島酒造前杜氏・富山初雄さんの写真を何点か提供させていただきました。実際に採用されるかどうかわかりませんが、そんなこんなで写真提供のお礼に、と青島さんがお気遣いくださったようです。

 

 

 27日に仕事で旧大井川町の戸塚豆腐店を再び訪ね、お豆腐を10丁ほど購入して、青島さんにお酒のお礼にお届けしました。青島家も戸塚豆腐店の大ファンだったんですね。大井川で復活し、KOマートで買えますよと教えたら、「今年、“はやぶさ”の帰還に匹敵するサプライズニュース!」と大喜びされ、搾りたての酒粕をお返しにいただきました。

 

Photo  

 28日はその酒粕を手土産にご挨拶まわり。『吟醸王国しずおか』のロゴ入りエプロンをご注文くださった大村屋酒造場さんを訪ねたときは、さすがに青島酒造の酒粕を持っていくわけにいかず、別途折菓子を持参したのですが、なんともタイミングよく、ちょうど蔵の中で餅つきが始まったのです! 

 

 

 お孫さんを抱いて嬉しそうに餅つきを見守る松永社長、つきたて餅を器用に丸める奥さまはじめ、蔵内のみなさん、ホントに楽しそう。毎年Photo_2 12月28日にこうして内輪で餅つきをされるそうで、長年この蔵ともおつきあいをしてきましたが、初めて知りました。折菓子のお礼にと、奥さまが鏡餅にしてくださったつきたて餅と搾りたて新酒をいただいてしまいました。

 

 

 その足で金谷の松井妙子先生のところへ。青島酒造の酒粕をお届けしたらやっぱりとても喜んでくださって、「帰りに青島さんのところへお届けして」と手土産を風呂敷一杯に包んでくださいました。大村屋さんのアツアツつきたて鏡餅も、せっかくならと先生に差し上げ、「お礼にうかがった先々で、おもらいさんしちゃって…」と苦笑いしたら、「マユミさんって福ノ神なのよ~」と感心?していただきました。

 

 

 帰りに松井先生のお礼の品を青島酒造に届けたら、今度は青島秀夫社長が「あんたにあげるもの、ないかな~」と土間に積まれた荷物の中から、大粒のみかん2個を取り出してくださいました。そのみかんをダウンジャケットの左右のポケットに入れたら、なんだかポケットを通してほんのり温かい“気”のようなものが体に伝わってきました。

 

 

 

 このみかんにたどりつくまでの、何人もの人々の笑顔―松井先生、松永社長、青島孝さん、戸塚豆腐店のご主人…はたまた5日の酒と匠の文化祭を支えてくれた人々や吟醸王国しずおかの制作を後押ししてくれた人々、その礎となった富山さんはじめ多くの杜氏さんや蔵元さんたちとの酒縁の連鎖が、やっぱり私の財産だな~って改めて思います。

 新しい年も、この連鎖を長く太くしていきたいですね。くれぐれも“疫病神”と思われないよう精進しなければ

 


奇跡のクリスマスディナー

2010-12-26 12:04:03 | 地酒

 急に真冬らしくなりました。暖房器具なしで頑張っていたのですが、とうとう電気ストーブを出し、昔買って、しばらく使っていなかったおひとりさまサイズの鉄鍋を引っ張り出して連日ひとり鍋して暖を取っています

 

 クリスマスの夜もわびしく一人鍋。…といっても、そこはワタシ流プチ贅沢。今年、某酒屋さんに、四合瓶の底にちょびっと残っていた『東鶴』(旧大井川町)をもらい、いつ飲もうか迷っていたのですが、先日の取材で戸塚豆腐店(旧大井川町)の国産木綿と生湯葉が静岡市内のPhoto KOマートでも入手できるとわかり、仕事帰りにさっそくゲット。大井川の水の恵みつながりで鍋とコラボさせてみました

 

 

 志太杜氏のお膝元・旧大井川町上新田で、なまこ壁の風格ある佇まいを残す多々良酒造場。1998年に出版した『地酒をもう一杯』で、「仕込んだ酒はなるべく手を加えず、生原酒で出す」と紹介したとおり、目の前の酒も鑑評会出品酒と銘打たれた大吟醸無濾過生。アルコール度数18~19℃の原酒です。製造年月日が書かれておらず、いつ造られたのかわかりませんが、多々良酒造が休業してけっこう経つはずですし、冷酒グラスに注ぐと酒の色がかなり黄ばみかかっていて相応の熟成酒であることが分かります。

 

 

 「生原酒がどこまで熟成に耐えられるのかしら…」と恐る恐る一口含んでみたら、ふわ~んととろけるような吟醸香。口中には高級ビターチョコレートのような味がほんのり残ります。「・・・こっこれが日本酒か?」とまるで初めてSAKEを口にした外国人みたいなリアクションを一人とってしまいました

 

 裏貼りには、「兵庫県山田錦50%精米、静岡酵母NEW-5、酸度Photo_2 1.3、日本酒度+12」とあります。日本酒度+12は数値的には超辛口ですが、これがしっかりとした骨格となり、酸度1.3という静岡流の低酸タイプながらボディを支え、適度な冷蔵管理によって過熟が抑えられたのでしょう。

 

 NEW-5のおだやかで品の良いフルーティーな香りを、私はよく10代20代の“薄化粧美人”にたとえて紹介するんですが、30代40代になって“美魔女”“美熟女”になった感じ。『地酒をもう一杯』で「一部の酒販店主や飲食店主からは、管理次第で凄い酒になると評判である」と書いたことが、12年越しで実体験できたわけです。・・・私的にも、まったく奇跡のような出来事です。

 

 さらに、コクのある戸塚さんの豆腐を加えたことで、格安キャベツ豚バラ鍋が、最高級のクリスマスディナーになりました。

 

 

 静岡酵母を使う蔵元や、県外に出荷先を多く持つ蔵元は、変化しやすい生原酒や長期熟成に躊躇されるでしょう。蔵元はその酒が造り手としてベストな状態だと判断した時点で出荷する・・・それでいいと思います。バトンを受けた酒販店や飲食店がお客さんにリレーするときに、蔵元の理想をストレートに伝えるのか、自分なりのアレンジを加えるのか、そこは売り手のプロとしての矜持の在り方だと思います。

 少なくとも、日本酒には、こういう“化け方”をする酒が存在するのですから、日本酒本来の味の深みや面白さを追求してほしいと、改めて思います。

 

 いやぁ、それにしても、日本酒の味にこんなに感動したの、久しぶりだなぁ… 熟成酒を隠し持っている酒販店さんや飲食店さん、こっそり開けるときは、こっそり連絡ください(笑)


季刊清水と清水西高記念誌

2010-12-22 08:50:14 | 本と雑誌

 地域限定の文化情報誌として愛読する『季刊清水』の最新号43号が発売になりました。郷土史の貴重な記憶として、あるいは地域の暮らしや営みを後世に伝える記録として実に読み応えのある雑誌で、清水Imgp3483に本店のある戸田書 店の鍋倉伸子さんが編集発行されています。

 

 

 

 私は清水で生まれましたが小学校に上がる時に静岡へ越してしまったので、入江鶴舞町の生家と幼稚園を往復した大曲界隈の記憶しかありません。

 ちびまる子ちゃんが漫画になったとき、そういえば生家のすぐ近くに駄菓子屋「みつや」があってよく通ったし、さくら幼稚園もも組だったな~と懐かしく思い出したものです。

 

 

 

 清水の町がグ~ンと身近に感じられたのは、平成3年に清水西高校の80周年記念誌「春風の夢」の編集をまるごとドーンとまかされたとき。同窓会長の山下冴子さん(元横浜監督山下大輔さんのお母様)はじめ、清水を知り尽くしたお歴々に“清水高女”と呼ばれた頃の歴史や恩師の思い出をうかがいました。

 

 私は清水西高の卒業生ではありませんが、80年分の学校史はそのまま清Imgp3485 水の町の歴史。…大変な重みがありました。

 1冊まるごと編集するという仕事も初めてだったので、パートナーのデザイナー池上直子さんに全面的に頼るしかありません。池上さんは自分の母校の先輩でもあったので、自分たちの同窓会誌を作るような感覚で取り組めました。

 

 

 西高生が通ったという手芸小物店『和泉屋』さん、万年筆の『愛林堂』さん、おでんの『みやじま』、甘味喫茶『甘寅』『あさひ屋』、そして『戸田書店』等を取材させてもらい、ひょっとしたら自分も経験したかもしれない清水の町の歩みを疑似体験できた編集作業・・・。表紙はご覧の通り、西高出身のさくらももこさん。

 

 

 

 Imgp3487 Imgp3489 私は編集の傍ら、本文のイラスト挿絵を描かせてもらって、気分だけはちびまる子ちゃんと共演!?

 

 

 

 

 

 西高同窓会誌の仕事が記憶から薄れかけていた数年前、NPO情報誌で鍋倉さんを取材したのがきっかけで時折お手紙やメールを交換させていただくようになり、私が清水出身だと知って、今年の夏ごろ、「季刊清水の“清水と私”というコラムに1本書いてみませんか?」と思いがけないお声掛け。嬉しくて舞い上がってしまいました。

 

 

 6歳までの記憶しかないけど生家周辺の思い出にするか、清水西高80周年記念誌の編集裏話にするか、朝鮮通信使にしようか、テーマ選びに悩みましたが、やっぱり落ち着いたのは『清水の地酒』。しずおか地酒研究会を立ち上げた頃、温かく支援してくださった三和酒造の元専務・小泉美登里さんのことを興津醸造場のスケッチ画を添えて紹介させてもらいました。

 

 43号のメイン特集は飯田地区。私の祖母の実家(味噌醸造店)があった高橋、夜景スポットでも知られる山原など近しい地名がたくさん出てきて、時間があると夢中で読んでいます。

 

 

 以前、『あかい奈良』紹介記事でも書きましたが、『季刊清水』のような上質で奥深い、しかも広告収入に頼らない地域情報誌を、このご時世に発刊し続けるって並大抵のことではないでしょう。編集者も寄稿者も無報酬で作っておられるようです(私は執筆料として図書カードをいただきました)。

 でも、地酒と同じで、“地誌”があるって、地域の豊かさの証明のような気がする・・・。とくにライターにとっては、「あの雑誌に書かせてもらえたら」と目標に出来る媒体が地域にあるって、本当に貴重なことですから、なんとしてでも続けていただきたいと願うばかりです。

 

 『季刊清水』は戸田書店で発売中。1冊500円です。清水にゆかりのある方も、そうでない方も、ぜひ一度は手に取っていただければ。よろしくお願いします


地産地消でプチぜいたく!

2010-12-20 22:06:22 | 地酒

 先日、飲み会で久しぶりに輸入ワインを飲んだとき、最初の一口で妙に薬品臭が鼻につき、「これ、酸化防止剤かなぁ」とつぶやいたら、ワインに詳しいお店のママさんに「さすがお酒の専門家」とビックリされ、こちらがビックリしてしまいました(苦笑)。自分はもしかしたら普通の人よりは少しばかりいい酒を試飲する機会に恵まれているかもしれないけど、きき酒の専門家ではないし、プロのきき酒能力のトンデモナイ凄さを目の当たりにしているので、自分ごときが他人に感心されるなんて予想もしていませんでした。

 ただ、思い当たるとしたら、ふだん、酸化防止剤のような人工添加物をいっさい使わない地酒しか飲まないので、添加物に敏感に反応した、ということかもしれません。これは特別鋭い味覚や臭覚がなくてもわかることでしょう。「・・・ふだん口にしているものって大事だな」って改めて思いました。

 

 

 思い返すと、日頃の食生活はホントに貧しい限りですが、調味料選びだけは結構ゼイタクしてるんですね。ちょっと点検してみたら、酒、味噌、醤油、塩、茶、ドレッシング、ジャム、みりんはすべて静岡県産。県外産モノは砂糖(ヨーグルトに添付されているもの)、マヨネーズ、七味唐辛子ぐらいでした。イレギュラーに買う生鮮食材(野菜、肉、魚、豆腐、鶏卵)もほぼ静岡県産。・・・私の地産地消率って表彰されていもいいくらい高いんじゃない!?ってニヤニヤしてしまいました。

 これはやっぱり、20数年、地元の農家や蔵元や食品加工業者さんを取材してきたローカルライターの、職業履歴といえるのかもしれませんね。こういうものが自分の味覚を鍛えてくれたとしたら、本当にかけがえのないものです。

 

 

 

 今日は、数年ぶりに懐かしい食材に再会できました。

 藤枝の旧商店街の一Imgp3481 角にあった『戸塚豆腐店』は、10数年前、各市町の昔ながらの豆腐屋さんを取材したとき見つけ、志太地区の酒蔵に行く時は店主自慢の「国産にがり&大豆の木綿豆腐」を手土産に買って行って喜ばれたものでした。ところが数年前、火事で店が焼失し、店は閉店。志太美酒を買って帰るたびに、戸塚さんの冷や奴があったらなぁとため息をついていました。

 

 

 

 今日、焼津(旧大井川町)の食品関連メーカーに取材に行った時、戸塚豆腐店の名前が出て、「大井川の近くにも戸塚さんってお豆腐屋があるんだ…」と思っていたら、藤枝の戸塚豆腐店が移転し新規開業されたと知ってビックリ!その足で訪ねてみたら、懐かしいご主人&奥さまが白衣姿でお元気そうに働いておられました。改めてご挨拶したら「取材の後もよく買いに来てくれてたねぇ、覚えているよ~」と笑顔で応えてくれて、「出来たての汲み豆腐、食べていくかい?」と言われて飛び上がってしまいました。

 店を失った後、いろいろご苦労があったと思いますが、KOマート(志太・榛原地区の食品スーパー)の支援を受けて、今はHACCPも取得しての立派な豆腐工房に。以前にも増して食材にこだわり、商品アイテムを増やし、焼津と大井川の合併記念に開発した「かつおドーナッツ」が話題になるなどエネImgp3479ルギッシュになった戸塚さん(詳しくはこちらを)。

 大井川での復活を今になって知って、自分のリサーチ不足がちょっぴり恥ずかしくなりましたが、それよりも何よりも、戸塚さんの国産木綿がまた食べられる喜びで胸一杯になりました。

 

 

 

 

 Imgp3477 作りたての戸塚さんの豆腐は、大豆の自然の甘みと天然にがりが引き出すコクが凝縮された、スイーツのような味わいでした。

 この旨味豆腐には新酒よりも熟成酒のほうが合うかな~なんてウキウキしながら、我が家の冷蔵庫の中で、志太美酒と戸塚さんの豆腐をふたたび並べることができた幸せをしみじみ噛みしめています。

 

 

 

 今年のクリスマスやお正月は「プチぜいたく」しようと、高級食材が結構売れてるみたいですね。…私のプチぜいたくは、地産地消率がまた少し上がった冷蔵庫。地元産の食材を買うのがぜいたくってのも、考えてみると妙な話ですが