杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

静岡伊勢丹しずフェス「札ノ辻縁日」ご案内

2018-05-18 09:00:29 | しずおか地酒研究会

 来る5月30日(水)から6月4日(月)までの6日間、静岡伊勢丹の8階催事場で開催する「しずフェス」(静岡県の食物産展)で、地酒イベントを開催することになりました。伊勢丹ではちょうど10年前の2008年6月、8階催事場で吟醸バーをやらせていただいて以来です!(10年前のこちらこちらの記事をぜひ)。

 

 タイトルはずばり

 しずおか自慢の酒と食 札ノ縁日

 

 

 伊勢丹の催事担当者から相談を受けたのは今年1月末。まだ父の葬儀の後始末でバタバタしていたときでしたが、友人の珈琲専門店くれあーるの内田氏より、伊勢丹のヒット催事「パンと珈琲展」の功労者である催事担当者S氏の相談に乗ってやってくれと依頼され、今回の催事で静岡の酒のプロモーション方法についてアドバイスすることに。10年前当時の吟醸バーのことをS氏は詳しく知らなかったようですが、若い世代の意欲的なS氏にまっさらな状態で一から企画提案したところ、「スズキさんに全面的にお願いしたい」ということに。

 10年前と違い、今では松坂屋やパルコでも地酒イベントの実績があるため、伊勢丹らしさをアピールする必要があると考えて提案したのが「札ノ辻縁日」というキーワードです。

 

 江戸時代から昭和20年まで、呉服町と七間町の交差点付近には「札ノ辻町」がありました。東海道の道筋にもあたることから立ち並ぶ商家を訪れる人達で賑わっていた場所です。

 今回、静岡伊勢丹しずフェス会場の一角を、当時のにぎわいを彷彿とさせる商店街の縁日のようなフロアにし、毎年この時期に静岡全域から美味しい酒とつまみが集う、オトナのための縁日にできたらなと考えました。

 縁日の主役は「人」です。食の催事で大切なのは、作り手や売り手のメッセージ。北海道や九州の物産ならまだしも、地元静岡のものならば、ただ商品を並べるだけでは地元のお客様は特段の希少性も付加価値も感じませんし、振り向いてもくれません。

 でも静岡に住む人も訪れる人も自慢にしたくなる美味しい地酒や地元食材は、確実にあります。それを伝える工夫が今までの手法では十分ではないというのがS氏の課題だったよう。私に期待されたのは、とにかく「メッセージを伝えることのできる作り手や売り手を集めること」だろうと思い、縁日らしいにぎわい&リピート増を演出する方法を考えました。

 当初の提案では、単なる物販フロアではなく、酒談義や食談義の花が咲くようなお祭り縁日の雰囲気を演出し、作り手・売り手・買い手のご縁を結ぶ佳き日に・・・と思ったのですが、予算の確保が難しく、特別なフロア演出はなし。それでもとにかく「人」のパワーで賑やさを演出出来たら、と奔走しました。

 

 会場の8階催事場プロモーションスペースは、催事本会場とは別に、エスカレーター横・レストラン街麻布茶房前の横長のフロア。北海道展ではソフトクリーム、京都展ではイノダコーヒーのカフェが出店しているところ、といったらわかるかな?

 そこで、「札ノ辻酒場」と称して、10年前と同じときわストア後藤英和さんにご尽力いただいて、静岡の地酒の有料試飲を行います。時間はレストラン街と同じ11時~21時。本催事場は19時に終了しますが、その後もゆっくりお楽しみいただけます。

 基本的に後藤さんの店で扱う銘柄をひととおり揃えていただく予定ですが、「札ノ辻縁日」というコンセプトのもと、旧東海道筋の酒蔵5社に日替わりで来店していただきます。

 来店蔵元は以下のとおり。各日18時より蔵元トークショーを開催する予定です。

 5月30日(水) 正雪

 5月31日(木) 君盃

 6月1日(金) 初亀

 6月2日(土) 白隠正宗

 6月3日(日) 喜久醉 (この日のみトークショーは15時より)

 

 

 また特別トークゲストとして、

 5月30日(水) 羽根田陽亮さん(浮月楼「浮殿」 名誉唎酒師)

 6月3日(日) 里見美香さん(dancyu元編集長・静岡市七間町出身)

をお招きし、担当蔵元とトークセッションをお願いする予定です。

 

 百貨店の催事場イートインで21時まで通しで地酒が飲める&百貨店では通常取扱のない専門店銘柄に出合えるスペシャル感をお楽しみいただければ、と思っています。

 

 

  今回は「縁日」ですから、おつまみもいろいろ取り揃えました。お願いしたのは、平野斗紀子さんが経営するボタニカ食堂(こちらを参照)。静岡新聞編集者として出版業務をはじめ、静岡新聞朝刊の農林水産紙面担当していた平野さんは、オクシズからしずまえまで幅広い生産者&料理人ネットワークを持っています。そんな平野さんの盟友&料理人の鈴木康子さんが、静岡の地域生産者の食材で庶民の台所を再現。かつて札ノ辻の商家や屋台で売られたおでん、煮物、漬物などをご用意します。

 目玉は、康子さんのルートで特別に仕入れる近海マグロの卵巣煮付け。こだわり居酒屋でもなかなか出てこない「あて」だと思います。平野さんのあくび庵のガレージセールでいつも売り切れてしまう康子さんの静岡おでんも、もちろんご用意します。

 

 また、今回S氏の希望で、丁子屋(東海道五十三次に登場する名物とろろ店)&たがた(地域在来食材にこだわる蕎麦の名店)が特製とろろそばを提供することになり、当初は札ノ辻縁日でお願いしようと思っていましたが、本催事場のイートインでの出店に“昇格”。美味しい地酒を味わった後は、丁子屋&たがたのとろろそば、というかつてない贅沢を味わうことができます!

 

 肝心のS氏は、4月の人事異動で催事担当から外れてしまい、ちょっとバタバタしちゃいましたが、後任の担当者がこちらの要求に必死に対応してくれています。S氏が思い描いたような、百貨店の食の催事の観念を変える企画になれたら、と願っています。

 

 しずおか自慢の酒と食 札ノ縁日

◆期間

2018年5月30日(水)~6月4日(月) 11時~21時

◆会場

静岡伊勢丹8階催事場 プロモーションスペース(エスカレーター左側 麻布茶房前)

 

 私、平野さん、後藤さんは6日間、会場におりますので、ぜひお立ち寄りくださいませ!