杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

静岡観光コンベンション協会賛助会員の集い2011

2011-07-29 10:00:45 | しずおか地酒研究会

 今月ももう終わり。20日に台風が接近して以降涼しくなって、なんだか梅雨に逆戻りしたような陽気が続きますね。

 20日といえば、ご報告が遅くなりましたが、ホテルセンチュリー静岡で(財)静岡観光コンベンション協会の賛助会員の集い・交流会が開かれ、しずおか地酒研究会(吟醸王国しずおか映像製作委員会)で3年連続、地酒テイスティングブースを出展しました。

 

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 3年前に賛助会員の集い・総会にて『吟醸王国しずおかパイロット版』を上映し、青島孝さん(青島酒造)・松下明弘さん[稲作農家)と3人でトークセッションをやらせていただいてからのお付き合い(こちらを参照)。観光コンベンション協会というのは、静岡を国内外にシティセールスしていく活動をされているので、地酒というニッチなテーマであっても協会の趣旨にマッチするとご判断いただいたのでした。

 

 今年は吟醸王国しずおか映像製作委員会斗瓶会員の後藤英和さん(ときわストア/地酒Bar イーハトーヴォ)神田えり子さん(フリーアナウンサー)にお手伝いをしていただきました。台風接近の悪天候の中でしたが、無事にブース開店することができました。お2人のご厚意に改めて感謝いたします。お2人のブログもぜひ参照してくださいね。

 

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 3年前は映像に登場する酒を中心に、昨年は静岡を代表する蔵の大吟醸を並べ、今年は静岡の酒の多様性をテーマに、幅広い地域の、いろいろなタイプの地酒を集めてみました。

 この会の参加者は、地酒イベントのようにコアな日本酒ファンというわけではありませんから、間口を広げる意味で、梅酒、発砲酒、焼酎、雑酒等もそろえてみました。後藤さんや神田さんが、とても上手にプレゼンしてくれて、何度もブースにやってくる女性のお客様も。終了Imgp4666
後に協会の女性スタッフにふるまったときも、梅酒は大好評でした。

 満寿一さんの梅酒「傳次郎」はアルコール度数7%ですっきり呑みやすく、志太泉さんの梅酒はアルコール度数12%と、ストレートならワイン感覚で飲めるし、オンザロックやサイダー割りにしてもイケます。日本酒ベースの梅酒の香味バランスの良さを、改めて実感できました!

 

 ご当地焼酎のオーダーメイドで人気の杉錦さんからは遠州産「はまこまち」というさつまいもをベースにした芋焼酎&雑酒を。こうして並べると、瓶やラベルの形状もさまざまで、「見ているだけで楽しい」と言ってくれる人もいました。見ているだけじゃなくて呑んでいただかないと・・・(苦笑)。

 

 

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 今回は東北被災地の銘柄も、という協会側の依頼で、私自身が震災後に蔵元と直接ご縁のあった浜千鳥(岩手・釜石)、日高見(宮城・石巻)、又兵衛(福島・いわき)を出品しました。

 

 

 静岡・東北ともに、造りや原料の違いや地域の特性がわかりやすいように純米~純米吟醸クラスでそろえてみたんですが、東北の純米酒は、常温かぬる燗にしたら、もっと深い味わいが楽しめたかも。・・・温度帯によっていろいろ楽しめるって、やっぱり日本酒は奥が深いなあと実感します。と同時に、東北の酒は東北の酒肴と一緒に味わえば、より一層うまくなると思いました。他県の酒を味わう時は、その県のつまみを一品でも用意しておくべきだったな、とちょっと反省です。

 

 静岡の酒は、その点、わりとクセのないバランスの良い“食中酒”が多いので、つまみを選ばず、気軽に飲めるんですね。中には他県の“個性派”に向うを張って香りや味を重くする蔵もありますが、「なでしこJAPAN」じゃないけどどんな相手(=どんな料理や他地域の酒)にも負けない勁さ、みたいなものが、静岡の酒にはあるような気がする。力技でグイグイ押すんじゃなくて、持ち前の技ときめ細やかなパスワークを活かすなでしこ流儀が、静岡の酒造りにもあるような気がします。

 

 

 会場では、静岡観光コンベンション協会の酒井公夫会長(静岡鉄道㈱社長)から映画の進捗状況を訊かれ、少々口ごもりながらも、「海外にも発信できる映像作品を目指してプロのアドバイスをいただいている最中です」とお応えしました。

 

 3年前の試写会のことをよく覚えていてくださった会長、「素晴らしい映像だから、ぜひ大切に、いい編集に仕上げてください」と激励してくださいました。

 

 

 

 協会賛助会員の方々は、静岡のインバウンド(外から静岡へやってくる方への)メニューを企画されています。・・・といっても、ありきたりの観光メニューでは、外の人の関心を引きよせるのは難しい。企画者自身が静岡の魅力を知り尽くし、外に伝えずにはいられないという熱意と、会社の利益もさることながら、地域を元気にしたいという高い志が必要なんだと思います。

 

 それは、酒を飲まない、関心のない人を振り向かせ、引きよせる難しさに通じているのかも。はからずも後藤さんが「いつもの地酒イベントなら、これだけの銘柄が揃っていればお客さんがワッと集まるのに、こういう会では難しいですね・・・」とつぶやかれたとおり。

・・・でもその難しさに無謀にも挑戦しているのが、吟醸王国しずおかプロジェクトです。「海外の人」を視野にいれるとなると、ますますハードルは高くなるかもしれませんが、酒類業者の利益だけが目的ではなく、高いレベルの酒を生み出す静岡という地域の価値を伝えたい―それこそが、第三者である自分がやる価値だと思うのです。

 

 

 後藤さん(酒販のプロ)や神田さん(口コミリーダー)のような同志がいて、酒井会長のような理解者がいることも事実。ホテルセンチュリー静岡のフロアスタッフの方の中にも、地酒ブースが気になってちょくちょく顔を出す方がいて、「勤務中でなければ・・・」と“試飲願望オーラ”をビンビン発信されていました(笑)。その方は、「地元の酒のこと、もっとちゃんと勉強したいです」と言ってくれました。・・・やりがいは大いにある、と改めて再認識した夜でした。


吉見書店長田店オープン

2011-07-28 05:56:52 | アート・文化

 私が時々広報のお手伝いをしているNPO法人活き生きネットワークで、長いこと緊急サポート事業(急病児の一時預かり事業)のコーディネーターとして活躍していた吉見佳奈子さんが、今月、退職され、実家である吉見書店に入社しました。

 吉見書店といえば、静岡市民にとっては“参考書の聖地”としてお馴染みの老舗書店。唐瀬街道沿いの竜南店と県立総合病院店は、私の家の近所でもあり、行きつけの本屋さんの一つです。

 

 

7月23日(土)、安倍川西沿いの川原通りに吉見書店長田店がオープンしました(場所はこちら)。昨日(27日)、新店でカウンター業務に就いている吉見さんを陣中見舞いに行ってきました。

 

 

 活き生きネットワークではずっと“裏方のコーディネーP1000001ター役”に徹していた吉見さんは、「接客やお金の扱いに慣れるまで大変で・・・」と苦笑い。どんな仕事でも一から始めるのはタイヘンだろうし、家業である以上、途中で抜け出すこともできないでしょうし、彼女のプレッシャーは相当なものだと思いますが、静岡を代表する老舗書店の看板を、いずれは彼女が背負ってくれるのかと思うと嬉しい限りです!

 

 

 

 

 ご承知の通り、今、街の本屋さんってどこも厳しいんですよね。私は職業柄、ヒマさえあれば本屋さんで時間つぶしをするのが習慣になっていますが、よく考えると、雑誌や週刊誌はコンビニで買うことが増え、必要な専門書はアマゾンで取り寄せることが多い。街の本屋さんは、ホントにただの時間つぶしの存在になっちゃってる・・・と、反省させられます。

 吉見さんから、吉見書店が東新田団地の近くに新店を出店すると聞いた時、あらためて、街の本屋さんのポジションというか、これからの可能性について考えてみました。

 

 これは街の酒屋さんにも通じることですが、個人専門店である以上、商品に対するプロ意識を持った店員さんに期待したい。コンビニやネットにはない、対面販売の良さとコーディネート能力。最近、店員さんおススメ本とか、自分はここに感動したというひとことメッセージ付きのPOPを見かけることが増えましたが、個人専門店ならば、もっともっと店員さんは遠慮せず、“ゴリおし”していいと思う。本はどこで買っても同じかもしれないけど、商品に対する愛情や思い入れのある店員さんから買いたいし、(ライターとしては)売ってもらいたい。

 

 また、街の本屋さんって敷居が低いから、私みたいに“時間つぶし”に来る客も少なくない。だったら有意義な時間つぶしになるよう、お店の一角に本を売る以外のスペースがあってもいいと思います。

 

 

 吉見書店はサーティーワンアイスクリームのショップを併設しています。カフェでもギャラリーでもいいし、雑貨販売や子どもを遊ばせるスペースでもいいんだけど、ワタシ的には「今週のおススメ本朗読会」みたいな講座を定期開催してくれると、その店の“行きつけ度”がグーンとUPするんじゃないかと思います。・・・やっぱり本屋は、活字を愛する人が憩える場所であってほしいですからね。

 

 たとえば、昼間は(親子向けに)絵本、夕方は(中高生向きに)青春ノベル本、夜は(大人向けに)ビジネス本やエッセイ本等など。作家別の解説講座でもいいし、その時々のニュースに応じた話題本の紹介でもいいし、新聞社とコラボして、新聞の文芸欄や書籍紹介コーナーに出ていた本の紹介でもいい。スーパーマーケットの試食コーナーみたいに、本屋さんならちょこっと解読体験できる場所があってもいいんじゃないでしょうか?

 

 先日、静岡新聞で「静岡酵母25年」の特集記事を書いた社会部の小林稔和記者に久しぶりに会い、社会部スタッフが手掛けたシリーズ記事「安倍・藁科川ものがたり」が本になったので、自ら本屋回りをして手売りしていると聞きました。

 書き手が地元にいるのが地域出版物の価値でもあります。こういう本を解説・紹介する機会を、地元の本屋さんがぜひ作ってほしいですね。

 

 

 吉見書店長田店、30日(土)にはサーティーワンアイスクリームショップも開店、完全オープンと相なります。この地区には大型書店がなく、近隣住民のみなさんが大いに期待されていると聞きます。ご近所のみなさん、お店を育てるのはスタッフばかりではなく、お客さんの力も必要です。ぜひ一緒にいい店に育ててあげてくださいね。

 


陶芸家と酒匠夫妻のチャリティー展示会

2011-07-26 09:29:37 | アート・文化

 前回記事のとおり、今週末30日には蔵元と陶芸家のチャリティーコラボイベントがありますが、先週17日(日)には、一足先にこちらで紹介したチャリティー展示会に行ってきました。

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 当ブログでも何度か紹介した伊豆の国市(旧大仁町)三福の山裾にある座禅堂・福厳院の安陪均さん&絹子さん(前回記事はこちら)。

 7月31日(日)まで、安陪さん&伊豆で創作活動中の陶芸作家のみなさんが作品を持ち寄り、売り上げの一部を東日本の被災地へImgp4656
送る活動をされています。

 

 5月に案内をいただいたとき、すぐにでも行きたかったのですが、お誘いした方々の都合をあわせるうちに、なんやかんやでギリギリになってしまいました。

 

 

 

 

 

 ・・・その代わり、料理人でもあるご夫婦がお住まいの藁ぶき屋根の母屋・無畏庵でふるまう盛夏らしい季節料理を、たっぷり味わえました。Imgp4657

 

 安陪夫妻はアンティークガラスのコレクターでもあり、涼しげな料理を、オークションものの由緒あるガラス食器でふるまってくださいImgp4658ました(食器の由来をうかがったんですが、料理に感動してしまって忘れてしまいました、ごめんなさい)。

 

 

 押し鮨は安陪さんご自慢の大皿にこんな感じで大胆盛り付け。静岡県の女性酒匠第一号である絹子さんがセレクトしてくれた「白隠正宗」と「英君」を、安陪さんの盃でしみじみ味わいました。真夏の昼間の冷酒・・・ききますね~

 

 

 食後に、作品展示会場になっている座禅堂でコーヒーをいただきながら、じっくり鑑賞しました。茶碗、カップ、皿、花瓶等など、自分にも手の届きそうな価格が揃っていて、ホッとした(苦笑)。売り上げの半額を義援金にされるとうかがい、一目で気に入ったこちらの安陪さん作のImgp4661_2
三島茶碗を購入しました。

 

 

 

 

 

 春は桜、夏は緑、秋は紅葉と、茅葺屋根の母屋Imgp4659の周囲は季節の色彩が満ち溢れていました。こういう環境でスローライフを実践する安陪夫妻。
 暮らしぶりは実に質素ですが、財力とは別次元の豊かさをお二人の笑顔から感じます・・・。

 

 作家のお仲間たちとのコラボ展示会は今月末までですが(こちらを再チェック)、安陪さんの作品ならびに創作料理はいつでも味わえます(要予約)ので、ぜひごひいきに!


杉錦・英君の蔵元&京都今宵堂の窯元コラボ

2011-07-25 09:37:31 | 地酒

 今週は酒の会のお知らせから。今週土曜日に、静岡市内で東日本大震災の被災地の蔵元支援『日本酒義援金プロジェクト』の参加蔵と、京都の陶芸家夫妻がコラボする素敵な酒の会があります。いつもしずおか地酒研究会でお世話になっている呉服町のMANDOさんの主催イベントです。
 7月30日(土)17時から19時ぐらいまで。当日は安倍川花火大会がありますが、この時間なら間に合います!ほろ酔い気分になったところで、西の夜空を見上げれば、ちょうど花火の大輪が拝めます。お一人でも多くの方のご参加を!

 

 

Heartで酌する盃の夜~「杉錦」「英君」「今宵堂の酒器」を楽しむ会~

 

 京都の陶芸家である「今宵堂」の上原夫妻が、特製酒器を持って来静されます。なんと参加者全員に盃をプレゼントという太っ腹!
 東日本大震災の被災地の蔵元支援『日本酒義援金プロジェクト』の参加蔵元である「杉錦」の杉井社長、「英君」の望月社長が、義援金付きの日本酒を提供します。冷酒・冷や(常温)・お燗など温度の違いによる味の豊かさを酒器とともに楽しみながら、MANDO自慢の地産地消食材による酒肴で一杯!
 窯元や蔵元、参加者のみなさんで「差しつ差されつ」する貴重な時間を楽しみましょう!

 

◇日時 7月30日(土)16時30分開場、17時スタート(2時間程度)

◇会場 Neo Japanesque  bar  MANDO 2階ホール(静岡市葵区呉服町2丁目4‐6)

◇会費 5500円(コース料理・酒代・盃代込み)

◇定員 40名

◇申込 MANDO 平井さん・太田さんまで TEL 054-221-5103   
             beck@hirai@gmail.com


家康公の洋時計・舶来400年

2011-07-24 11:07:40 | 歴史

 7月16日(土)夜は、静岡市産学交流センターB-nestで、『しずおか時の会』第1回勉強会に参加しました。…いやはや長い一日で、なかなか17日以降の記事にたどり着けないまま1週間過ぎてしまった(苦笑)。

 

 『しずおか時の会』というのは、新聞記事等でご承知のかたもいらっしゃると思いますが、久能山東照宮に所蔵された家康公の洋時計を静岡の街のシンボルにして、その音色を街中に響かせようと、街頭からくり時計を設置する運動を始めた「駿府静岡からくり時計実現会議」 主催のセミナー。発起人には郷土史家の黒沢修先生や、日ごろお世話になっている上川陽子さんが名を連ねていることから、私も会員になりました。

 

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 第1回の勉強会は、当初、時計のプロフェショナルである㈱安心堂の金子厚生さんが講師を務める予定でしたが、「初回の講師はぜひこの人に」と金子さんが急きょ、久能山東照宮の落合偉洲宮司をお呼びくださって、“家康公の洋時計”についての基礎講座となりました。

 

 

 私は映像作品『朝鮮通信使~駿府発二十一世紀の使行録』制作時に東照宮の博物館に何度か通っていろいろ勉強したつもりでしたが、洋時計のことは、「家康大御所時代は、鎖国のイメージはなく、南蛮船が活発に往来していた時代」の証拠の一つ、ぐらいにしか認識がありませんでした。いやはや、こんな大事な歴史秘話を知らずにいたなんて、歴史好きを公言する資格はありません(恥)・・・

 

 

 詳しくは、黒沢先生が編集されたこちらのサイトをじっくりご覧いただくとして、かいつまんで紹介すると、

 

●世界史で習う大航海時代の、ちょうど今から400年前の1610年、スペイン領だったフィリピンの提督ドン・ロドリゴが、同じくスペイン領メキシコへ戻るとき、遭難して、千葉県御宿海岸に流れ着く。

 

●彼が乗ったサンフランシスコ号には373人の乗組員がいたが、御宿の漁民総勢300人の懸命の救助の甲斐があって、317人が助かった。海女さんたちが乗組員たちを抱いて自分の体温で温めて救ったという逸話も残る。

 

●ドン・ロドリゴ提督は地元城主の案内で江戸城の2代将軍秀忠のもとへお礼に行き、駿府の大御所家康のもとにもお礼に行く。家康の命で、当時、伊東で三浦按針が製造していた帆船で彼をアカプルコまで送り届ける。

 

●翌1611年、メキシコから答礼使がやってきて、スペイン国王から託された王室御用達の時計職人ハンス・デ・イヴァロ作の洋時計を家康に贈る。

 

●家康は1616年4月11日に亡くなるが、その直前まで手元に置いて、大名お抱えの時計師に見せたりしていた。それがきっかけで日本でも「からくり歯車」の仕掛けが発明され、からくり人形が誕生した。幕末には長崎で田中久重がゼンマイ時計を発明する。

 

●家康没後、洋時計は東照宮の蔵の中に収まり、日の目を見ることがなかったが、『広辞苑』の編者で知られる国語学者の新村出氏(父は初代静岡県知事関口隆吉)の叔父が、久能山東照宮の宮司だったことから、新村氏が母校・東京大学の歴史編纂所で洋時計のことを調べて注目される。

 

●ハンス・デ・イヴァロの同型の時計がスペイン王室にも残っているが、音が出ないため、「時計の音を送ってくれ」と依頼がくる。そこでNHKが収録してスペインに送った。そんなことが話題になった後、久能山東照宮から洋時計が盗まれるという事件が起きる。

 

●毎日新聞に静岡市内の小学生が犯人に宛てた投稿文が掲載された。「壊さないでそっと返してください、見つかったら僕が一緒に謝ってあげるから」という内容。その記事を読んだ犯人が新聞紙に洋時計を包んで返却し、犯人は逮捕された。

 

●投稿した小学生というのは、静岡市の老舗珈琲店リッツの息子さんだった。後に犯人とも面会した。

 

●千葉県御宿海岸には、メキシコ大使もやってきて、記念レリーフが造られた。御宿の地酒「岩の井」の蔵元・岩瀬酒造には、サンフランシスコ号の帆柱が天井の梁に使われている。

 

 お話をうかがった印象では、300人の漁民が317人の乗組員を救った御宿こそ、洋時計を贈られる価値があるような気もしないでもありませんが(苦笑)、母国スペインでは音が鳴らなくなった400年前の時計が、ここではちゃんと鳴るってことは、東照宮の蔵の中の保存状態が素晴らしかった=家康公の手元にあったということに価値があるわけですね。

 

 

 現在、洋時計は重要文化財ですが、久能山東照宮では「国宝」指定を目指して尽力中。古い洋時計の価値を判断できる専門家が日本にいないため、大英博物館に“鑑定”を依頼することにしたそうです。

 個人的には「岩の井」の酒蔵の梁を見てみたいという衝動にかられた勉強会でした。