今月ももう終わり。20日に台風が接近して以降涼しくなって、なんだか梅雨に逆戻りしたような陽気が続きますね。
20日といえば、ご報告が遅くなりましたが、ホテルセンチュリー静岡で(財)静岡観光コンベンション協会の賛助会員の集い・交流会が開かれ、しずおか地酒研究会(吟醸王国しずおか映像製作委員会)で3年連続、地酒テイスティングブースを出展しました。
3年前に賛助会員の集い・総会にて『吟醸王国しずおかパイロット版』を上映し、青島孝さん(青島酒造)・松下明弘さん[稲作農家)と3人でトークセッションをやらせていただいてからのお付き合い(こちらを参照)。観光コンベンション協会というのは、静岡を国内外にシティセールスしていく活動をされているので、地酒というニッチなテーマであっても協会の趣旨にマッチするとご判断いただいたのでした。
今年は吟醸王国しずおか映像製作委員会斗瓶会員の後藤英和さん(ときわストア/地酒Bar イーハトーヴォ)、神田えり子さん(フリーアナウンサー)にお手伝いをしていただきました。台風接近の悪天候の中でしたが、無事にブース開店することができました。お2人のご厚意に改めて感謝いたします。お2人のブログもぜひ参照してくださいね。
3年前は映像に登場する酒を中心に、昨年は静岡を代表する蔵の大吟醸を並べ、今年は静岡の酒の多様性をテーマに、幅広い地域の、いろいろなタイプの地酒を集めてみました。
この会の参加者は、地酒イベントのようにコアな日本酒ファンというわけではありませんから、間口を広げる意味で、梅酒、発砲酒、焼酎、雑酒等もそろえてみました。後藤さんや神田さんが、とても上手にプレゼンしてくれて、何度もブースにやってくる女性のお客様も。終了
後に協会の女性スタッフにふるまったときも、梅酒は大好評でした。
満寿一さんの梅酒「傳次郎」はアルコール度数7%ですっきり呑みやすく、志太泉さんの梅酒はアルコール度数12%と、ストレートならワイン感覚で飲めるし、オンザロックやサイダー割りにしてもイケます。日本酒ベースの梅酒の香味バランスの良さを、改めて実感できました!
ご当地焼酎のオーダーメイドで人気の杉錦さんからは遠州産「はまこまち」というさつまいもをベースにした芋焼酎&雑酒を。こうして並べると、瓶やラベルの形状もさまざまで、「見ているだけで楽しい」と言ってくれる人もいました。見ているだけじゃなくて呑んでいただかないと・・・(苦笑)。
今回は東北被災地の銘柄も、という協会側の依頼で、私自身が震災後に蔵元と直接ご縁のあった浜千鳥(岩手・釜石)、日高見(宮城・石巻)、又兵衛(福島・いわき)を出品しました。
静岡・東北ともに、造りや原料の違いや地域の特性がわかりやすいように純米~純米吟醸クラスでそろえてみたんですが、東北の純米酒は、常温かぬる燗にしたら、もっと深い味わいが楽しめたかも。・・・温度帯によっていろいろ楽しめるって、やっぱり日本酒は奥が深いなあと実感します。と同時に、東北の酒は東北の酒肴と一緒に味わえば、より一層うまくなると思いました。他県の酒を味わう時は、その県のつまみを一品でも用意しておくべきだったな、とちょっと反省です。
静岡の酒は、その点、わりとクセのないバランスの良い“食中酒”が多いので、つまみを選ばず、気軽に飲めるんですね。中には他県の“個性派”に向うを張って香りや味を重くする蔵もありますが、「なでしこJAPAN」じゃないけどどんな相手(=どんな料理や他地域の酒)にも負けない勁さ、みたいなものが、静岡の酒にはあるような気がする。力技でグイグイ押すんじゃなくて、持ち前の技ときめ細やかなパスワークを活かすなでしこ流儀が、静岡の酒造りにもあるような気がします。
会場では、静岡観光コンベンション協会の酒井公夫会長(静岡鉄道㈱社長)から映画の進捗状況を訊かれ、少々口ごもりながらも、「海外にも発信できる映像作品を目指してプロのアドバイスをいただいている最中です」とお応えしました。
3年前の試写会のことをよく覚えていてくださった会長、「素晴らしい映像だから、ぜひ大切に、いい編集に仕上げてください」と激励してくださいました。
協会賛助会員の方々は、静岡のインバウンド(外から静岡へやってくる方への)メニューを企画されています。・・・といっても、ありきたりの観光メニューでは、外の人の関心を引きよせるのは難しい。企画者自身が静岡の魅力を知り尽くし、外に伝えずにはいられないという熱意と、会社の利益もさることながら、地域を元気にしたいという高い志が必要なんだと思います。
それは、酒を飲まない、関心のない人を振り向かせ、引きよせる難しさに通じているのかも。はからずも後藤さんが「いつもの地酒イベントなら、これだけの銘柄が揃っていればお客さんがワッと集まるのに、こういう会では難しいですね・・・」とつぶやかれたとおり。
・・・でもその難しさに無謀にも挑戦しているのが、吟醸王国しずおかプロジェクトです。「海外の人」を視野にいれるとなると、ますますハードルは高くなるかもしれませんが、酒類業者の利益だけが目的ではなく、高いレベルの酒を生み出す静岡という地域の価値を伝えたい―それこそが、第三者である自分がやる価値だと思うのです。
後藤さん(酒販のプロ)や神田さん(口コミリーダー)のような同志がいて、酒井会長のような理解者がいることも事実。ホテルセンチュリー静岡のフロアスタッフの方の中にも、地酒ブースが気になってちょくちょく顔を出す方がいて、「勤務中でなければ・・・」と“試飲願望オーラ”をビンビン発信されていました(笑)。その方は、「地元の酒のこと、もっとちゃんと勉強したいです」と言ってくれました。・・・やりがいは大いにある、と改めて再認識した夜でした。