15日 NHK海外ネットワーク
ヨーロッパの信用不安が始まったのは2年前のギリシャ。
巨額の財政赤字が発覚して債務不履行の危機に陥り、
ユーロ圏諸国(17カ国)とIMF(国際通貨基金)が金融支援に乗り出した。
ギリシャではその後も賃金カットや年金改革に反対する公務員のストライキやデモが頻発し、
財政再建は思うように進まず、
ユーロ圏諸国の足並みの乱れもあって危機は深刻化した。
値下がりしたギリシャ国際を保有するヨーロッパの金融機関は大きな損失を被り、
今月10日にはフランスとベルギーに拠点を置く金融大手デクシアが経営破綻した。
さらにイタリアとスペインの財政が悪化し国債の格付けが相次いで引き下げられた。
こうしたヨーロッパの信用不安の拡大を抑えるために打ち出されたのが、
ヨーロッパ金融安定化基金で、
この基金を強化して融資能力をこれまでの
2,500億ユーロから4,400億ユーロに増やして
財政悪化した国の国債を買い支え、
銀行への公的資金注入に充てることに決めた。
実現には17カ国全ての承認が必要だがバキアが拡充策を否決した。
スロバキアはGDP約660億ユーロ(2010年)
ギリシャはGDP約2,300億ユーロ(2010年)とギリシャの3分の1もない。
77億ユーロの負担を求められたことに、
貧しいスロバキアが自分たちより豊かなギリシャを支援するのはおかしいと
不満の声が上がったのである。
2度目の採決でなんとか可決し、
拡充策は合意から3ヶ月たってようやく発効することになった。
これにより経営が悪化した銀行に基金を利用して公的資金を導入することが可能になるが
具体的な方法はまだ決まっていない。
ギリシャに対しては6回目となる80億ユーロの融資が来月にも行なわれる見通しで
当面の債務不履行は避けられそうである。
しかしギリシャが抱える借金が巨額で
緊縮財政を進めても返済できないのではないかという見方もある。
ギリシャが債務不履行となった場合、
ユーロへの信用不安がさらに強まってイタリアやスペインに危機が広がりかねない。