6月9日 テレビ朝日「グッド!モーニング」 池上彰のニュース検定
ジェンナーが天然痘のワクチンを開発してから100年ほど経った1880年代に
フランスの科学者がワクチンを大きく発展させる。
ルイ・パスツール (1822~1895) である。
天然痘以外の病気にも応用が可能だと考え
さまざまなワクチンの開発に成功した。
ワクチンは細菌やウィルスの毒を弱くした薬である。
パスツールは
それを体の中に入れると免疫力ができて
細菌やウィルスと闘う力がアップすると考えた。
初めてウィルスに感染すると病気になるが
同時に体内には抗体がつくられる。
そして次に同じウィルスが体内に入ると
攻撃を始めるのである。
この体の仕組みが免疫で
それを利用したのが予防接種である。
パスツールが開発した中でも最も有名なのが
狂犬病のワクチン(1885)である。
狂犬病は当時フランスで流行っていた。
狂犬病ウィルスを持つ犬などにかまれると
ウィルスがその傷口から体内に侵入する。
強い不安感やけいれんなどの症状などが出たあと
呼吸障害などが起き
死に至る。
発祥すれば死亡率はほぼ100%という恐ろしい病気である。
1885年
ある少年がパスツールのもとを訪ねた。
“狂犬病ウィルスを持つ犬にかまれた”というのである。
発祥を抑えるため
パスツールはこのとき少年に狂犬病のワクチンを接種する。
犬の唾液からウィルスを培養して作ったもので
人への接種は初めてだった。
この少年はワクチンを接種した後 無事回復した。
パスツールは
狂犬病予防のためのパスツール研究所をパリに設立した。
そこで生涯研究を続け
近代医学創始者の1人となったのである。
ちなみに狂犬病ワクチンで助かった少年は
このパスツール研究所で守衛を務めたということである。