10月25日 NHK[おはよう日本」
島根県の離島 隠岐の島町では
牛同士が激しくぶつかり合う伝統行事「牛突き」が開かれる。
鎌倉時代に隠岐に流された後鳥羽上皇を慰めようと始まったと言われるこの行事。
高齢化で担い手が少なくなるなか
19歳の男性が
牛の闘争心をあおる綱取りとして大会に出場した。
隠岐の島町伝統の牛突き。
最大1トンの牛が激突する。
島根半島から約70キロ沖合に浮かぶ離島で約800年にわたって続いてきた。
もともと牛突きは農耕用の牛を戦わせていた。
島にとっては数少ない楽しみのひとつだったという。
牛を綱1本で巧みに操る綱取の吉山元さん(19)。
高齢化が進む島で期待の若手である。
(吉山元さん)
「自分の好きなことですね 牛突きは。」
物心ついたときから牛が身近な存在だったという牛山さん。
小学6年生のとき初めて綱取りを務め
それから8年続けてきた。
(吉山元さん)
「牛と一緒に戦う綱取りがしたくて
ずっと小さいときから憧れて。
綱取りかっこいいなと思って。
そういうとこが好き。」
吉山さんの相棒「若疾風(わかはやて)1号」。
体重は820キロもある。
今回 吉山さんと若疾風1号は
隠岐で最も歴史が古いと言われ島が一番盛り上がる牛突き大会に出場する。
(吉山元さん)
「800年続く隠岐の伝統文化を自分の代で絶やしたくないので
隠岐全体が牛突きで盛り上がっていけるようにしたい。」
牛突き恒例の前夜祭が開かれた。
地区の住民約80人が吉山さんと若疾風1号の勝利を願った。
「元!
頑張れ!」
大会当日。
吉山さんには必勝の作戦があった。
(吉山元さん)
「相手の眉間を突いて痛い攻撃をする。
嫌がって逃げ出すのでそれで勝つ。」
「八朔牛突き大会」と呼ばれるこの大会。
今回は8番取り組みが行われる。
県内外から800人が訪れ
声援を送った。
いよいよ吉山さん・若疾風1号ペアの出番。
相手は体重770キロの天鳳1号。
綱取りの野津泰斗さんは吉山さんより7歳年上の先輩綱取りである。
序盤 一進一退の攻防が続く。
取り組み開始から6分だった。
吉山さんの作戦が見事に的中。
若疾風1号の角が相手の眉間をとらえたのである。
(吉山元さん)
「無事大役を終えてほっとしています。
ベテランの綱取りに負けないように
もっと鍛えて島で一番の綱取りになれるように頑張っていきたい。」