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昭和と平成の紫煙によせて

2012-02-11 14:49:57 | 編集手帳



  2月6日付 読売新聞編集手帳


  公開中の映画「ALWAYS三丁目の夕日’64」は
  五輪開催に沸き立つ昭和39年の東京が舞台だ。
  ご近所の目を集めるカラーテレビ、
  氷屋の軒先に登場した自動販売機。時代の転換点を写す小道具に
  「あの頃」を懐かしむ人は多かろう。

  その中には、
  愛煙家もいるにちがいない。
  家庭で職場で街角で、
  誰に気兼ねすることなく一服できた何ともおおらかな時代よ――。
  日本たばこ(JT)の調査で喫煙率のピークは昭和41年、
  成年男性で83・7%だった。

  世の中の軸足が<成長>から<環境>や<健康>へと移り、
  男性の喫煙率は昨年、
  33・7%まで低下した。
  厚労省は「喫煙率目標」の導入を目指すというから、
  スモーカーの肩身は狭くなる一方である。

  そんな喫煙者の間で話題を集めているのが、
  今月発売された「ザ・ピース」だ。
  材料や製法に技術の粋を尽くし、
  20本入り1箱千円はJT史上で最も高い。

  昭和21年にデビューしたピースは「平和」という名に終戦直後の匂いが立ちこめる。
  昭和の紫煙は、
  流行歌の中で孤独と挫折、苛立(いらだ)ちやためらいの場面も演出してきた。
  さて<平成のピース>の運命やいかに。

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