2021年4月21日 NHKBS1「国際報道2021」
EVの販売台数が最も多いのが中国。
中国国内で50社以上が競い合う“WV戦国時代”とも言われる状況である。
4月 上海モーターショー
(上汽通用五菱 担当者)
「我々のミニEVは超人気商品で
新エネルギー車の代表です。」
会場でひときわ注目を浴びたメーカーは上汽通用五菱。
去年販売を始めたモデルがヒットして
中国のEV販売台数でトップに立っている。
最大の売りは日本円で約48万円という超低価格である。
安さの秘訣は機能を最小限にとどめたことである。
バッテリーは低価格の国産品を採用し
走行距離は1回の充電で120キロと短めで
急速充電には対応していない。
最も安いモデルには冷房はない。
去年7月の発売以来
販売台数は27万台を突破。
中国で最も売れているEVで供給が追い付かないほどだという。
(工場責任者)
「需要がとても多いので生産ラインをさらに拡大させる計画です。」
格安EV路線に突き進む裏付けとなったのは徹底した市場調査だった。
2017年に2人乗りのEVを初めて投入した際
3,000台の試乗車をユーザーに無料で提供。
9か月にわたって1日の走行距離や行き先などの膨大なデータを集め
ユーザーが求める必要最低限の装備を見極めたうえで
新車の開発に着手した。
その結果
いわゆる“街乗り”のニーズを見い出し
自転車代わりに市民の足となるEVを世に送り出したのである。
上海に住む家族は
2台目の自家用車として買い物や子どもの習い事の送り迎え用にとEVの購入を決めた。
(購入を決めた客)
「デザインがいい。
お買い得なので決めました。」
格安EVの人気をさらに高めたのがデコレーションだった。
若い世代に人気の飲食店などとタイアップしたモデルをモーターショーに出展したことがSNS上で大きな話題となったのである。
その結果
格安EVのオーナーたちが愛車に思い思いのデコレーションを施して楽しむことが流行に。
(購入者)
「カスタムしたのは座席やハンドルなど
見えるところは全部です。
とっても萌えな感じでかわいいですよね。
見た目も車内も気に入っています。」
メーカーの戦略は的中。
オーナーの6割を20代の女性が占めるようになり
これまで車を所有する割合が比較的低かった層を取り込むことができたとしている。
(上汽通用五菱 マーケティング担当者)
「小型EVは脱炭素をめぐる国の政策と合致しています。
さらに力を入れて
市場を発展させていきたいです。」
一方 購買層を富裕層をターゲットに
使い心地を追求する“ラグジュアリー路線”を打ち出したメーカーもある。
去年導入したのは
車とバッテリーを切り離した販売方式である。
日本円で約700万円からのモデル。
バッテリーの価格を除いた車体の価格である。
バッテリーの容量が少なくなったら専用設備でバッテリーごと交換。
作業は最短で3分と
自宅での急速充電で2時間半かかるのと比べると大幅に時間を節約できるとしている。
月々約1万6,000円で何度でもバッテリーを交換することができる。
3年前にこの車を買った投資家の張さん。
(車のオーナー 張さん)
「バッテリー交換の時間はいつでも
場所もどこでも設定できる。」
交換の施設は国内70都市余 約200か所に設置。
さらには
オーナーの都合の良い時間と場所を指定して出張してバッテリーの充電や修理のサービスも追加料金で提供している。
操作性でもユーザー目線を追求した。
ハーイ
(ドライバー)
「バッテリー交換ステーションを探して。」
バッテリー交換ステーションをご案内します
スマートスピーカーを標準装備し
音声で社内設備を操作。
自動駐車などの機能も充実させている。
さらに力を入れるのがブランドイメージの向上である。
販売店にはオーナーだけが利用できるカフェを併設。
(車のオーナー 張さん)
「この服もNIO製さ。」
世界的なデザイナーと組んで
服から家電製品にいたるまでオリジナルグッズを販売している。
車のみならず生活全般にわたってブランド力を高めてファンの獲得を目指している。
(車のオーナー 張さん)
「コーヒーもお茶も無料。
このメーカーはサービスが良いよ。」
出荷を開始して3年。
去年の販売台数は4万台と
前年から倍増した。
(NIO 北京支社 社長)
「ユーザーのための企業でありたいです。
世界で最もユーザー満足度が高い企業を目指します。」