2021年4月20日 NHK「おはよう日本」
スポーツの現場で
ITを利用して選手の疲労度や筋肉の状態などをデータ化することで
最高のコンディションで試合を迎えようという動きが広がっている。
3月に行われたフェンシングの世界大会。
相手の一瞬の隙を見つけて剣を突くことで得点するフェンシング。
瞬時の判断が求められるため
全身に疲労がない状態で臨めるかがカギである。
今回 日本代表は2位になって11年ぶりにメダルを獲得した。
その原動力のひとつが代表チームのスタッフが利用しているソフトウェア。
試合までの選手の疲労を詳細に把握していた。
選手は毎朝
起床した時に全身の筋肉痛や腕のハリなど11項目を入力する。
代表選手11人のすべてのデータをスタッフが分析する。
最も重視しているのが疲労度のグラフ。
試合の2週間前
練習量を4割ほど減らすことで疲労度を大幅に抑えることができた。
その結果
最高のコンディションで試合に臨むことができた。
(日本フェンシング協会 強化本部 千葉アナリスト兼監督補佐)
「経験則から導かないといけなかった検討課題・答えといったものが
データを使うことで新しい視点を手に入れた。
今回このような結果を引き寄せた大きな要因ではないかなと。」
このソフトを開発したのが東京のIT企業。
疲労度などの詳細なデータを把握することで
適切な練習量を見極めケガを防ぐこともできる。
現在
ラグビー日本代表やプロ野球 福岡ソフトバンクホークスなど
1,700のチームがこのソフトを利用しているという。
(ユーフォリア 冨田代表取締役)
「数値・グラフの形でみんなが見られるデータが共通言語のように使えるようになった。
それが本番に役立ったと言ってもらえることが本当に一番うれしい。」
ソフトを通じて集められたデータはビジネスにも活用されている。
アスリート向けの低周波治療器を開発した会社。
パットを太ももやひざなどに貼って
電気による刺激で痛みを緩和する。
どこに貼ればより効果を高められるのかを調べるためにこのソフトを利用している。
治療器を女子サッカーチームなどで使ってもらって
筋肉のはりや痛みなどをデータ化し分析を続けてきた。
「ふくらはぎの方だと有意な差が出た。」
練習が終わって1時間以内にふくらはぎに貼ると効果が高いことが分かってきたという。
そこでパッドをふくらはぎに貼りやすい形に改良した。
(オムロンヘルスケア 商品企画課 片山さん)
「データが見えなかったものを見える化してくれた。
“こんなタイミングでこんなふうに使うといいですよ“というような
より丁寧なコミュニケーションができるんじゃないか。」