2021年4月21日 読売新聞「編集手帳」
かつて「こどもの詩」欄に、
小学2年生の算数の詩が載ったことがある。
<わたしはひき算がとくい
たし算のもんだいでも
まちがえて
ひき算してしまう…
ひき算なら百てんなのに>
当時の選者、
詩人の長田弘さんの評がうなずける。
<どっちかじゃなく、
どっちも大事。
大きな数を小さくする引き算も。
小さな数を大きくする足し算も>
大人の世界でも大事なことだろう。
酒類大手各社は缶製品を中心にアルコールの量を「グラム」で示す取り組みを始める。
要は「足し算」で、
飲み過ぎに注意してもらう試みである。
厚生労働省によると、
糖尿病や高血圧のリスクが高まるアルコール摂取量は
「1日につき男性で40グラム、
女性で20グラム以上」だという。
この値を目安にして各社公表の数字を足していけばいいので、
「%」表示より分かりやすい。
もう一方の「引き算」はぜひ、
健康診断の要注意値を減らす楽しみに。
若い頃からかなりお酒を召し上がったというダジャレ名人、
高田文夫さんに自戒の響きもある作品がある。
<とうにょうだよ
おっかさん>。
心配してくれる家族をまぶたに描く予防法もある。