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遊牧民の伝統 手織りの「ギャッベ」

2014-05-30 07:00:00 | 海外ネットワーク
5月25日 海外ネットワーク


絹で織られた伝統的なペルシャ絨毯。
約300万円。
同じペルシャ絨毯でもモダンなデザインが特徴の絨毯ギャッベ
羊毛で織られていて約30万円。
手ごろ感があって日本国内でも取り扱う店が増えてきている。
「手作りというのは感覚として伝わる。
 一つだけというところが貴重な感じ。」
「絵柄とか色合いがすごく好き。」
“ギャッベ”はペルシャ語で“分厚くあらっぽい”という意味。
価格の手ごろ感に加えて厚みのある手触りも人気である。
(IDC大塚家具 日色敬行さん)
「30代前後から年配の方まで幅広く好評です。
 肌触りがすごく気持ちよくて売り場で寝転んで試す人も多い。」
ギャッベはイランの遊牧民が始めて代々受け継がれてきたものである。

イランと首都テヘランから南へ約1000キロ。
標高2000mを超える山々が連なる。
ザグロス山脈でギャッベは作られている。
山岳地帯に暮らす少数民族のカシュガイの人たち。
18世紀にトルコとの国境付近から移り住んできたとされている。
今も昔ながらの遊牧生活を続けている。
カシュガイの人たちは自分たちで育てた羊の毛でギャッベを手で1枚1枚織り上げる。
座布団ほどの大きさのギャッベを1枚織るのに約2週間かかる。
その技術は母から子へそして孫へと数百年にわたって受け継がれてきた。
丈夫で持ち運びしやすく寒さをしのぐこともできるギャッベ。
厳しい遊牧生活を送るカシュガイの人たちにとって欠かせないものである。
「子どものころからずっと織っている。」
絨毯商人のハミッド・ゾランバリーさん(43)。
ハミッドっさんの父親はギャッペ市場拡大に力を尽くし“ギャッベの父”と呼ばれている。
一家は60年にわたってギャッペを専門にあつかってきた。
ハミッドさんはより多くの人にギャッベを使ってもらおうと様々な取り組みを進めてきた。
もともとは限られた色の毛糸しか使われていなかったギャッベ。
カシュガイの人たちを訪ね消費者の好む色やデザインを取り入れるよう依頼した。
今では色とりどりのギャッベが作られるようになった。
(ギャッベ織りの責任者)
「私たちはもともと自分の生活のためだけにギャッベを織ってきた。
 しかし注文を受けて新しい色を取り入れるようになった。」
素材にもこだわった。
ハミッドさんはカシュガイの人たちがつむいだ毛糸をザクロなどの天然素材で染めて織ってもらっている。
ギャッベの素朴なぬくもりを引立てるための工夫である。
さらに出来上がったギャッペは念入りにチェックし無駄な糸などを取り除いている。
こうしてカシュガイの人たちと二人三脚でギャッベの品質と価値を高め各国に売り込んできた。
今年3月には北欧にも販路を広げようとドイツ ハンブルグの店を大幅に拡張した。
海外での売り上げは30年余りで10倍近くに伸びたがさらに増やしたいと考えている。
春の大移動を終えたカシュガイの人たち。
今年もギャッペを織る季節がやってきた。
「今年の羊毛はとてもいい。」
「みんな昔からギャッペを編み私も受け継いだ。
 編むことに誇りを持っている。」
ハミッドさんもギャッペの出来上がりを楽しみに待っている。
(ハミッドさん)
「カシュガイの人たちは長い歴史と伝統を持っている。
 彼らの文化を大切にしながら新しいデザインや色を取り入れたい。」

ギャッベは最近はイラン国内でも新婚家庭を中心に人気が高い。
イランの遊牧民に受け継がれてきた絨毯作りの技はユネスコの世界無形文化遺産に登録されている。
手織りの技術や使う道具などが時代が変わってもそのまま受け継がれたことが評価されたということである。








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