11月26日 NHKBS1「国際報道2019」
ストラップやマンホールの情報が描かれたカード。
地域ごとのデザインを施したご当地マンホール。
今ひそかなブームになっていて
町おこしにもひと役かっている。
日本のマンホール文化に触発された国がある。
古くから漁業が盛んなタイ東部のチョンブリ県。
11月 県の庁舎前に新たなマンホールのふたが設置された。
そこに描かれているのは
「港に日が沈む景色をデザインしました。」
製造したのはプリタットさん(34)。
地元の金属加工工場の2代目である。
色やデザインにこだわり
去年から“ご当地マンホール”を手掛けている。
きっかけは観光旅行で日本を訪れた際に目にしたマンホール。
マンホールのふたには消火栓の場所を示す消防車が描かれ
その実用性に驚いたそうである。
(プリタットさん)
「日本には光る塗料で塗られたマンホールのふたがあり
火災や停電の時に光るんです。
私たちのマンホールも日本のように進化させたいのです。」
プリタットさんは
1年をかけて耐久性に優れた30色の専用の塗料を開発し
ふたを作っている。
(プリタットさん)
「タイにある観光名所をマンホールに描くことで
より魅力的に見せることが出来ます。」
一方 首都バンコクでは別の目的で色つきマンホールの導入が始まった。
バンコクでは財政難から価格の安いコンクリートのふたが主流だが
鉄の素材に比べてもろく
劣化が進んでいる。
今年6月には老朽化したふたを踏み抜いて落下したり
段差につまづいて転倒したりする事故が相次いだ。
マンホールに関する苦情は
今年9月までの1年間に2,300件以上寄せられた。
事態を重く見た行政当局は
マンホールを回収するにあたり
日本を参考に
目立ちやすい色つきのふたを試験的に導入することにした。
(バンコク都知事)
「事故を減らすのに役立つことが第1.
次が見た目です。」
こうしたなか
プリタットさんのマンホールのふたもバンコク中心部に設置されることになった。
場所は繁華街のサイアム。
目の前にはこの地域の名物で若者に人気のスイーツの屋台がある。
そこでふたには
このスイーツを頬ばる女性や麺を食べる少年など
街角の風景を描いた。
(市民)
「これは街に仕掛けられた1種のアートです。」
(プリタットさん)
「マンホールのデザインでタイのアイデンティティーを作りたい。
事故の減少にもつながればと思います。」
タイで広がりを見せる日本由来の“ご当地マンホール”。
タイならではのデザインと
その役割が期待されている。