9月16日 編集手帳
日ペンの美子(みこ)ちゃん、
は不思議な魅力に満ちた漫画だ。
ボールペン習字の広告で、
昔よく雑誌の裏表紙に載っていた。
1972年から幾度かの中断を経て、
現在もツイッターで新作が更新されている。
心配事や身の回りのちょっとした騒動を文字の美しさという特技で美子ちゃんが解決する。
わずか数コマ、
ドタバタの中、
手書きの手紙や書類がどれほど人の心に響くかが描かれる。
80年代に転機があった。
速くて正確といったワープロの利点を唱えるライバル、
マイコの登場だ。
思えば新聞記者がワープロを使い始めたのも同じ頃だ。
職場から鉛筆や原稿用紙が少しずつ消え、
キーをたたく音だけが響く日常がやって来た。
昨今は手書きVSタイピングすら過去になりつつあるようだ。
キーボードが打てない若者が増えていると、
本紙の記事にあった。
パソコンは使わずにスマホだけでリポートを書く学生もいるらしい。
「冷たいメカの手紙には心を込めて書いた手紙一通で十分よ!」。
そんなセリフとともにマイコを負かした美子ちゃんは今、
AIやインスタ映えとも対決する。
スマホ命の世代にさて、
どう訴える?