9月15日 NHK海外ネットワーク
人類が次に目指す一歩は火星。
地球のすぐ外側を回っている火星は赤茶色の台地が広がっている。
かつてない機能を備えた最大の探査機キュリオシティが着陸。
活動を開始した。
キュリオシティは高さ2m、長さ3m、重さ900㎏。
10種類の観測機器が搭載されている。
ロボットアームの先にはサンプルを採集する装置と拡大鏡がある。
頭のような部分はレーザー光線を発射して成分を分析する装置である。
全体でカメラだけで17台。
好奇心を意味するキュリオシティという名前は愛称で
正式名称は
Mars Science Laboratory(火星科学実験室)という。
先月 火星への着陸に成功した探査機キュリオシティ。
NASAの管制室には毎日
火星での観測データや画像が送られてきている。
「キュリオシティからの最新のデータは
こちらのモニターに表示される。」
キュリオシティへの指令はキーボードで入力され
14分間かけて火星へ到達する。
キュリオシティが着陸したゲールクレーターの直径は150㎞を超える。
この中心に標高5500mのシャープ山がそびえている。
着陸地点の周囲360度のパノラマ画像には
なだらかな赤い大地が広がっている。
画面中央にはシャープ山の姿もはっきり見える。
レーザーで地面を照射し
そこから出る光の波長から岩石に含まれる成分を調べることもできる。
キュリオシティが自分の姿を写した自分撮りの映像も送られてきた。
送られてきたばかりの最新映像では車輪などに異常がないことが確認された。
今後 走行しながら岩石のサンプルを集めて詳しく分析する。
NASAのキュリオシティ運用チームの1人
アリゾナ大学 ウイリアム・ボイントン教授は
送られてきた写真やデータを詳細に分析した結果
ゲールクレーターに水が存在していたことは確実だとみている。
「水によって削られた岩石であることは間違いない。」
教授が着目しているのはシャープ山のふもとの地層。
上と下では地層の色と形が異なっていることがわかる。
下の地層には水の流れによって浸食された跡があるとみられる。
同じような跡は
アメリカ西部アリゾナ州の岩山にも残っている。
7500万年以上前は海の底だった場所で
火山活動で隆起した後
水の流れで岩肌が削られてできた地形である。
ゲールクレーターでもかつて同じように海や湖が広がっていたのではないかと
教授は考えている。
生命が火星に存在していたとすれば
その水際にこそ生命の痕跡が残っていると教授は推定している。
そこがシャープ山のふもとなのである。
キュリオシティは
今後1年間かけてシャープ山のふもとまで移動しながら
探査を進めていく計画である。
アリゾナ大学 ボイントン教授
「過去の状況がどうだったのか
生命は育まれていなかったか
キュリオシティはできるだけ細かく把握しようとしている。」