12月9日 おはよう日本
コーヒーは
北緯25度南緯25度の
いわゆる“コーヒーベルト”と呼ばれる赤道中心のエリアで生産されるが
このすぐ北に位置している沖縄や奄美群島 小笠原諸島でも
ごくわずかだがコーヒーが生産されている。
鹿児島県徳之島では
大手企業が出資して
コーヒーの大規模栽培を進めようという新たなプロジェクトが始まった。
徳之島で行われたセレモニー。
島のコーヒー豆生産者や関係者などが出席した。
コーヒーの大規模栽培に向けたプロジェクトの幕開けである。
島でコーヒーを35年栽培している吉玉誠一さん。
大のコーヒー好きの吉玉さん。
大阪で工作機械を作る会社に就職していたが
36年前に会社を辞めて島に移住し
コーヒー栽培を始めた。
作っているのはアフリカ原産のモカ。
木を少しずつ増やし今では300本を超えた。
とれた豆はすべて自らが経営するカフェで提供している。
毎年数十キロほどのコーヒー豆がとれる。
まろやかですっきりした味で人気がある。
(吉玉誠一さん)
「1回目のコーヒーがしっかり大きくなった時に
徳之島でもしっかりやれるという感触は得ました。」
吉玉さんは規模を拡大しようと生産者グループを起ち上げ
島の外への出荷も考える。
ところが大きな壁に突き当たった。
台風である。
徳之島は台風の常襲地。
台風が来るたびに枝が折れたり実が落ちたりする被害に遭った。
風の影響を受けにくい場所に木を植え直すなどの対策をとってきたが
懸念は払しょくできない。
こうしたなか大手食品メーカーと大手商社が支援を行うことになった。
全日本コーヒー協会によると
大手企業がコーヒーの生産者に出資して大規模栽培を行うのは国内では初めてである。
コーヒーの需要が根強いなか
国内でも高い品質と一定の生産量が確保できるとして
吉玉さんたちの徳之島産コーヒーに注目したのである。
(味の素AGF 石川裕副社長)
「コーヒーをいろいろ楽しむ人が増えて
いろんな飲まれ方
エスプレッソ飲んだりミルク入り飲んだり
いろんなことをされてる中で
国産コーヒーがあったらいいなというのはひとつの選択肢だと思う。」
企業側は台風対策や苗木の栽培施設の整備について何度も検討を重ねた。
(コーヒー生産者)
「強風もあってハウスの骨組みの腐食も一番早い。
腐食しない素材のもので作った方がいい。」
(大手商社の担当者)
「特にコロンビアの苗が比較的いいのかなという感じがしている。」
風の被害を少しでも防ぐため
現在より1メートル以上も低く大人の背丈よりも低い木を
コロンビアやグアテマラなどから新たに取り寄せることにした。
丈夫な鉄骨の農業用ハウスも必要である。
企業側が資金を提供して新たにハウスを建設し苗木を育てる。
徳之島を国産コーヒーの一大産地に。
生産者と企業が思いをひとつにした。
(味の素AGF 石川裕副社長)
「大きなコーヒーの産地としてやっていけるような条件を見い出せるか
35年やっていて思いのある人と一緒になって手を組めば実現できるんじゃないか。」
(吉玉誠一さん)
「うれしい。
まさかここまで来るなんて思っていなかった。
正直 本当に思ってなかった。
目標はまずは1万本。
生豆で10トン。
お世話になってきた方がいっぱいいらっしゃるから
その人たちにもしっかりと徳之島コーヒーを提供できればいいなと考えている。」