2021年5月11日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」
タラ科の魚 スケソウダラ。
スケソウダラ漁はロシア極東で盛んに行なわれているが
新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて
ロシアの漁業者は苦境に立たされている。
日本海やオホーツク海をはじめ豊かな漁場を抱えるロシア極東。
漁業は基幹産業のひとつである。
主力はスケソウダラ。
世界でダントツの水揚げ量を誇っている。
ロシアでとれるスケソウダラの9割がロシア極東産である。
そのスケソウダラが新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け
いま苦境に立たされている。
冷凍室には中国へ輸出されるはずのスケソウダラが高く積み上げられている。
(冷凍倉庫の社長)
「これだけの量と数はめったにないと言えます。」
9,000トンを収容できる倉庫に空きはない。
なぜ輸出されずにロシア国内に留め置かれているのか。
ロシアでとれるスケソウダラは
水揚げされるとほとんどの場合 洋上で頭部と内臓を取り除き冷凍する。
その7割はそのまま中国へ運ばれる。
そして中国の工場で加工され
おもにヨーロッパに輸出されるのである。
しかし感染拡大で中国側は輸入品の検疫を強化。
いまではほぼすべての魚の受け入れを停止している。
ロシア側は受け入れを再開するよう求めているが
見通しは立っていない。
50年にわたって漁業に携わってきたチェンスキーさん。
今年も乗組員30人がスケソウダラ漁に出た。
(漁業者 チェンスキーさん)
「しっかり準備をして予定どおり漁に出ましたが
洋上にいる時に中国が国境を封鎖したと知りました。」
とった魚をどうにかして売るしかない。
チェンスキーさんはロシア国内の市場に出すことにした。
しかし販売価格は安く
2,000万円近くの損失が出たという。
(漁業者 チェンスキーさん)
「スケソウダラの価格は一気に下落し
大きな赤字を出してしまいました。」
漁業者を救おうと漁業組合も動き出している。
60年の長い歴史を誇る地元の漁業組合の代表 ブルコワさん。
これまでに経験のない困難な状況について聞き取りを行っている。
漁を終えて帰ってきた船の乗組員はこの先の生活に対する不安を訴えた。
(漁業組合代表 ブルコワさん)
「売り先がなく厳しい状況ですが
みなさんは給料をもらえていますか?」
(乗組員)
「みな給料に満足していません。」
ロシア極東の漁業に大きな影響を及ぼしている中国の受け入れ停止。
ブルコワさんは
今こそ中国に依存した漁業から脱却するべきだと考えている。
(漁業組合代表 ブルコワさん)
「私たちは今回起きたことを教訓に
加工施設を建設して製品を生産し冷凍施設も建設していきたいです。」