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イラン 苦境に立つ犬の保護施設

2021-02-02 07:06:02 | 報道/ニュース

2021年1月18日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


中東のイランでは近年
犬を飼うことが富裕層のステータスとなっている。
10年ほど前と比べ飼育されている犬の数は5倍に急増したとも伝えられている。
ただ保守的なイスラム教徒の間では長年
“犬は不浄な生きもので接触は避けるべき存在”と受け止められている。
こうしたなか今苦境に立たされているのが犬の保護施設である。
保護活動に批判的な市民からの声だけでなく
アメリカによる経済制裁が活動をより困難にしている。

首都テヘランから車で1時間余のアルボルズ州カラジにある大規模な犬の保護施設。
イラン全土から1千頭以上の犬が集められ保護されている。
有志などの市民グループが15年ほど前に立ち上げたこちらの施設。
年々保護する犬の数が増え
今では1万平方メートルの敷地に約1,300頭ほどの犬が集まっている。
木箱の上で遊んだり
お友だちと一緒にソファーでお昼寝したり
犬たちは思い思いの時間を過ごしている。
午後3時半
食事の時間になるとエサに突進する。
しかしイランでは犬を取り巻く環境は極めて厳しいのが実情である。
施設のマネージャー アザリさん。
10年以上この施設で働いている。
「この子は前足がない。
 あっちの子も足がないですね。
 みんな道路での事故です。」
保護している犬はイラン全土で引き取り手がないまま道路上でけがをしていた犬などである。
野良犬のほか飼い主に捨てられた犬も多く含まれている。
イランでは保守的なイスラム教徒を中心に犬を飼うことに批判的な人が少なくない。
地域によっては
犬を車で連れ出しドライブに行ったら罰金を科されたという報道もある。
最高指導者のハメネイ師が
“番犬はいいが西洋的な飼育は避けるべきだ”と発言したと伝えられている。
(市民)
「犬を飼うことに全く賛成できないし
 同じ建物にもいたくありません。
 衛生的にも宗教的にも犬を飼うことは誤りです。」
アザリさんたちの保護活動にも周辺住民から批判が寄せられることもあるという。
(アザリさん)
「批判はありますが仕事を続けるしかありません。」
さらに活動を難しくしているのがアメリカによる経済制裁である。
1日に必要なエサの量は2トン。
鶏肉・人参・ほうれん草などを盛り込む。
しかし制裁による通貨の暴落であらゆるものの価格が高騰。
1年前と比べエサ代は倍以上となり
市民からの寄付で賄われる活動資金を圧迫している。
医薬品も高騰している。
この日 獣医が診察にやってきた。
診察はボランティアで無償だが
医薬品は購入しなければならない。
(獣医)
「この点滴液の価格は1年前と比べ2倍以上になっています。」
この施設では狂犬病などのワクチンの入手が困難になり
これまでしていたすべての犬への接種を断念することになった。
(獣医)
「制裁で医薬品の輸入が難しいです。
 医薬品が貴重になり価格が高騰しています。」
多くの保護団体がインターネットなどで活動を広め海外からも寄付を募っているが
制裁でイランの銀行が国際的な金融ネットワークから遮断されているため
海外の支援者から寄付を受けられない団体もあるという。
この施設でも資金面での難しさから
原則 新たな犬の受け入れを1年ほど前から停止している。
(施設マネージャー アザリさん)
「食品も医薬品もスタッフの給料など
 あらゆるコストが高くなっています。
 これ以上の犬は受け入れられません。
 不可能です。」
それでもアザリさんたちは
保護された犬たちに幸せな時間を過ごしてもらえるよう全力を尽くしたい考えである。
(施設マネージャー アザリさん)
「少なくとも
 ここの犬たちが良い環境で一生を送れるようにしたいです。」


 


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