9月13日 おはよう日本
2008年9月
アメリカを代表する投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻。
株価は急落。
金融システムはマヒ状態に陥り
世界経済を奈落の底に突き落とした。
あれから10年。
成長を続けるアメリカ経済に死角はないのか。
ニューヨーク株式市場
株価は堅調である。
ダウ平均株価は今年1月に記録した最高値に迫る勢いである。
不動産市場も活性化している。
マンハッタン南西部の一角はニューヨークで最大の再開発が進んでいる。
商業施設やオフィスなど13棟のビルを建設する「ハドソンヤード・プロジェクト」。
10月完成予定の地上51階建てのビル。
企業からの引き合いが強く
家賃は2年前に完成した同じ区画内のビルと比べ3割上昇したと言う。
トランプ減税もあって
消費も順調である。
消費者の購買意欲を示す指標は17年10か月ぶりの高い水準。
宝飾品や高級ブランドなども軒並み業績は好調である。
住宅市場も好調である。
しかし危うさも見えてきた。
アトランタ郊外に住む リー・ヒックスさん(53)。
去年 念願のマイホームを購入した。
プール付きの100坪超の豪邸。
価格は1億4,000万円ほどだった。
(リー・ヒックスさん)
「50代になってプール付きの家を手に入れた。
まさに“ドリームハウス”だよ。」
オフィス家具メーカーに勤務していたヒックスさん。
リーマンショックによって解雇され
当時住んでいた住宅を差し押さえられてしまった。
その利益が残ったため
リーマンショック後に厳しい融資基準が課せられた銀行からは借りられなかった。
代わって住宅ローンを提供したのは銀行の免許を持たないノンバンク。
購入価格の8割の1億円超の融資を受けた。
ヒックスさんに融資したノンバンク。
リーマンショック後に創業。
急激に融資を増やしている。
銀行への規制が続く一方で
住宅ローン全体に占めるノンバンクの割合は今や50%近くに達している。
(ノンバンク エンジェルオーク シュレーニ・プラブCEO)
「われわれは“金融の申し子”だ。
危機後の規制のおかげで成長できた。
これからもっと住宅ローンを提供できるよ。」
ノンバンクを含む金融機関に対する当局の監督は
危機前より強化されると言われている。
そこにワシントンにあるシンクタンクがこんな疑問を投げかけた。
ノンバンクは銀行に比べて借り手の信用度が低いうえ
情報が十分開示されておらず
どれほどのリスクがあるのか不透明だと言うのである。
さらにウォール街でささやかれているのは社債をめぐる問題である。
社債というのは会社が発行する債務である。
リーマンショックから立ち直るためにいま金融緩和・低金利が続いている。
本来は業績が良くないのに金利が安い有利な条件で債券を発行している会社もある。
いまあらためて金融危機から何を学ぶべきなのか。
当時のニューヨーク連合銀行総裁でのちの財務長官も務めた ティモシー・ガイトナー氏。
ガイトナー氏はリーマン・ブラザーズが破綻する直前まで
FRB(連邦準備制度理事会)を代表する立場で
金融機関による賠償交渉をまとめようと奔走していた人物である。
(ガイトナー 元財務長官)
「金融は元来 危機で壊れやすいものだ。」
当時多くの金融機関を破綻瀬戸際から救ったのは
FRBが持っていた緊急にお金を貸す仕組みだった。
しかしその後の法律改正によって手続きが必要になり
迅速に対応することが難しくなったのである。
いわば“消火器がじょうろになった”ようなものである。
(ガイトナー 元財務長官)
「FRBは議会の承認を得なければ動けない。
急な危機に対応が遅れるリスクがある。」
「金融システムは非常にもろい。
破綻のリスクから人々を守るために強力は保護策が必要だ。
危機の記憶は永遠には残らない。
忘却は敵なのだ。」