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ほかに生きがいの感じられる道が幾らでも見つかる

2014-10-12 07:41:14 | 編集手帳

10月9日 編集手帳

 

江戸が舞台の小説や芝居には、
しばしば「桂庵(けいあん)」が登場する。
〈江戸と云(い)ふ所は桂庵と云ふものがあって、
 奉公人の世話をするそうだ…〉(三遊亭円朝『塩原多助一代記』)。
口入れ屋、
いまでいう職業紹介業である。

その伝統でもあるまいが、
東京には奇っ怪な桂庵があるらしい。
〈勤務地シリア 詳細店番まで〉。
千代田区内の古書店に貼られていた求人広告だという。

広告を見てイスラム過激派組織「イスラム国」の戦闘員になろうとした北海道大学の男子学生(26)が、
私戦予備・陰謀の容疑で警視庁の事情聴取を受けている。

「この世界が嫌で 死にたい。
 シリアで死んでもいい」。
学生は周囲にそう話していたという。
社会に不満や絶望を抱く若者たちをテロリストの予備軍として支配下に収めていくイ スラム国の脅威は、
ひとごとではない。

それにしても、
である。
処刑の映像を流すような残忍な組織の“奉公人”に成り下がる覚悟があるのなら、
ほかに生きがいの感じられる道が幾らでも見つかるだろう。
にわか桂庵となり、
〈勤務地=見渡せば、そう捨てたものでもないこの世の中〉
とつぶやいてみる。


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