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リーマンショックから6年 米住宅市場は今

2014-10-17 07:15:00 | 報道/ニュース

10月8日 キャッチ!

 

カリフォルニア州のストックトン。
人口30万人の町である。
好調なIT企業が多いサンフランシスコに通勤する人が多く住宅販売は急速に回復している。
(住宅販売員)
「こちらが主寝室です。
 キングサイズでも余裕で置けますよ。」
新築のモデルルームの広さは180㎡。
価格は日本で約3,400万円。
「7月の販売開始からもう10軒も売れました。
 今朝もここが売れたのでマークを外しますね。」
実はこのストックトンはリーマンショックの直後はサブプライムローンの打撃を最も受けた町として全米に知られていた。
2009年にはこの町には軒先に“売り物件”を示す看板がいたる所で見られた。
銀行に家を差し押さえられた家は5,000軒を超え町を離れる人が続出した。
不動産仲介業のステファニー・ロドリゲスさん。
この5年間で町の不動産は予想以上のスピードで改善したと言う。
(ステファニー・ロドリゲスさん)
「芝生が枯れ窓ガラスは割れて
 当時は本当にひどい状態でした。
 今 状況はとても良くなりました。
 物件の差し押さえ問題はもう起きないでしょう。」
なぜ住宅市場は急速に回復できたのか。
要因の一つが政府が始めたアブプライムローンの利用者を対象にした救済策である。
アメリカ政府は750億ドル(約8兆円)の公的資金を投じローンを返済できない世帯を支援。
さらに政府系の住宅機関を通じて低金利ローンへの借り換えを勧めた。
さらにFRB連邦準備制度理事会による6年に及ぶ金融緩和も大きな役割を果たした。
大量に供給されたマネーが市場に広くいきわたり住宅市場の回復を後押ししたのである。
こうしたことからかつては荒んだこの町にも再び受託を求める人が増えてきた。
差し押さえ件数は5年前の10分の1に減ったと言う。
「賃貸と違い家を買えば子供に残せるからね。
 ママの幸せは一家の幸せさ。」
全米で好調な住宅販売。
しかし一部の地域では過熱する現象も見られている。
テキサス州ヒューストン郊外の住宅開発の現場。
荒野に巨大な人工の湖を造りそれを囲むように3,000軒もの家が建設されている。
住宅の間をカヌーで行き来する人も。
大手石油会社に勤めている男性は去年1億円で住宅を購入した。
2階には趣味の映画を観るためのホームシアターを完備。
離れて住む息子や娘が来ても泊まれるようにとゲストルームをいくつも用意した。
「バスルームは4つ以上あります。
 住むのは私たち夫婦だけですけどね。」
この住宅地では7年前に販売を始めてから平均価格はすでに40%も値上がりしたと言う。
(住宅開発会社 K・パケットさん)
「販売は好調です。
 毎年のように価格が上がっています。
 この傾向は少なくとも5年間は続くでしょう。」
さまざまな政策を打ち急回復を成し遂げたアメリカの住宅市場。
しかしそのスピードは新たな弊害を起こしつつあると指摘する専門家もいる。
(住宅ローン相談所 L・サンチェスさん)
「所得の増加よりも早いペースで住宅価格が上昇し影響が出ています。
 長期的に値上がりは続くかもしれません。
 住宅を投機対象とする投資家の売り方次第ですが。」

日本ではバブルがはじけてから地価が上昇に転じるのに16年もかかったが
アメリカはわずか5年で回復した。
バブルがはじけたあと政府が救済策など速やかに政策をフル動員して止血にあたったことが大きい。
躊躇なく公的資金を注入したことはまさに日本の失敗から学んだ。
またアメリカでは今でもサブプライムローンを作った金融機関への風当たりは相当強いものがある。
大手金融機関が司法省など当局に兆円単位の和解金を支払わされていて
そのお金の一部が住宅ローンの減額などサブプライムローンの利用者の救済にも回されている。
とはいえ早い回復につながった大きな理由はアメリカ経済自体が着実に回復してきたためである。
リーマンショックのあとにダウ平均株価は6,547ドルまで落ち込んだが
今はその2,5倍の17,000ドル近くに回復している。
アメリカは日本より個人で株を保有する人がずっと多く株価の上昇は個人の資産に直結する。
2009年は9%台だった失業率も
9月は5,9%に回復し
人々の資産や所得が増えたことが大きな改善につながっていると言える。
銀行は過去の失敗から学び融資の態度をかなり厳しくしていることを強調している。
(住宅ローン専門 銀行 D・ジェイコブさん)
「かつては収入の確認もなく無職の人でも借りられました。
 今では融資のための基準が厳しくなりました。
 返済のお金の出所までお客に聞いています。」
急速な不動産価格の上昇は所得の伸びよりはるかに上回っていると弊害が指摘されているように
最近問題となっているのは不動産価格や賃料が高くなり
大学を出て仕事に就いたばかりの若い世代が家を買えなくなっているということである。
アメリカ人は一生に平均で5回家を引っ越すと言われ
若い時に小さな家を買って
子どもが生まれてから大きい家に買い替えるというパターンがよくあるが
初めての家という小さなアメリカンドリームが実現しにくくなっていると言われている。
こうしたところにもアメリカで最近再び注目されている格差の問題が現れている。
FRB連邦準備制度理事会も注意深くみている。
不動産価格の急上昇はまだ一部の限定的な話で
全体的に見ると2006年ごろのような急な上昇ペースではないという見方が今では一般的である。
FRBのイエレン議長も住宅市場についてはまだバブルとはみなしてはいない。
しかし一方では自動車路0ンで異常な低金利で貸し出すローン会社なども出ていて
あふれたマネーが新たなリスクを招くのではないかという見方も広がっている。
このためFRBは来年の半ばにもゼロ金利政策を解除する方向で議論している。
いずれにしてもアメリカの住宅バブルがはじけてリーマンショックが起き
世界の金融市場を混乱に陥らせてからまだ6年しか経っていない。
世界経済はヨーロッパや中国は先行きに懸念が広がり
日本も景気回復にもたつきが目立っていて
好調なアメリカだけが頼みの綱という今の状況である。
住宅市場の動向は経済全体に与える影響が大きいだけにFRBなど政策当局には適切なかじ取りが求められる。




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