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ボリビア大統領選挙 選挙戦から見える“実情”

2019-11-11 09:00:12 | 報道/ニュース

10月18日 NHKBS1「国際報道2019」


南米大陸のほぼ中央に位置するボリビア。
10月20日に行われる大統領選挙の有力な候補は
現職のモラレス大統領と
野党のカルロス・メサ候補。
今回の選挙では
ボリビアのみならず中南米諸国の多くが抱えている
ある根深い社会問題が大きな焦点である。
2人の候補が力を入れていることは女性票の獲得である。
街のいたるところにある両候補の選挙看板は
いずれも女性と一緒に写っているものばかりである。
今回の選挙は女性への差別や暴力への取り組みが大きな争点になっているからである。
今年に入って男性の暴力により殺された女性は94人にのぼる。
地元の新聞には犠牲となった94人の名前が並んでいる。
記事では
“女性への差別や暴力をなくすことが新しい大統領に求められている”と訴えている。
2人の候補者も
“現状を変えられるのは自分だ”と訴えることで
女性票の獲得に躍起になっている。

ボリビアでいま注目の劇団。
女性差別を題材に
実際に被害者から聞いた話を上演している。
暴力にあったり
家事を強要されたり
若い女性の誘拐。
男性優位の伝統的な考え方が根強いボリビアでは
女性に対する暴力が日常化している。
(劇団代表)
「ボリビアでは女性への暴力や殺害事件が多く
 処罰されないケースもたくさんあります。
 私たちの演劇を通じて考える場を提供し
 社会に変化を起こしたいと思っています。」
被害女性の受け皿となっている支援団体。
運営するラジオ番組では
弁護士が毎日リスナーに女性差別の撲滅を訴えている。
(弁護士)
「リスナーの皆さんも
 ボリビアの全国民も
 この問題を強く懸念しています。」
ラジオを聴いて弁護士のもとに相談に来る女性も後を絶たない。
(相談に来た女性)
「いとこにレイプされました。」
「義理の父にレイプされました。
 でも家族は見て見ぬふりでした。」
今年に入って9月までに警察の寄せられた暴力事件は3万2,000件。
その90%が男性による暴力である。
警察も動き始めた。
11月から運用予定の女性専用の暴力通報アプリ。
暴力を振るわれた際アプリのボタンを押すと
パソコンに位置が表示され
近くにいる警察官が駆け付ける。
1日400件程度対応できる体制を整えているという。
(警察官)
「警察に駆け込んだ被害者にアプリを提供します。」
大統領選挙の代の焦点も英差別の問題である。
(モラレス大統領)
「20日の投票で足を見捨てないでほしい。」
再選を狙う現職のモラレス大統領。
今年8月 女性への暴力に抗議するデモ行進にモラレス大統領の姿があった。
さらにフェイスブックで動画を公開。
(モラレス大統領)
「両親は幼い頃から私に教えてくれた。
 女性を殴ってはいけないと。
 女性に対する暴力に終止符を打とう。」
モラレス大統領維持するエステルさん(38)。
2人の子どもを持つシングルマザーである。
いま一番あてにしているのが
モラレス大統領が推し進める貧しい女性向けの支援。
去年から無償の医療保険が始まり
母子家庭は付き、000円ほどの補助金がもらえるようになった。
(モラレス大統領の支持者 エステルさん)
「おかげで前向きに頑張れます。
 福祉や教育など
 家庭にとって最も大切な点で支援してくれるのです。」
一方 対する野党候補の選挙運動。
“モラレス大統領の貧困対策はばらまきだ”と批判するカルロス・メサ候補。
女性の社会進出こそ大事だとアピールしている。
(野党 カルロス・メサ候補)
「政治に参加し暴力や差別と戦い
 平等を築くために女性がいる。
 女性なくしてこの国の未来はない。」
メサ候補の支持者の大半は中間層以上の比較的服な人たちである。
ムリーリョさん(38)は大学卒業後みながあこがれる公務員になった。
しかし昇進できるのは男性ばかり。
待遇で差別を受けているという。
(メサ候補の支持者 ムリーリョさん)
「バラマキは解決になりません。
 新しい大統領には女性の主張や権利と真剣に向き合ってほしい。
 政治の世界や社会で能力のある女性が居場所を持てるようになってほしいのです。」

女性差別はボリビアに限らずう南米の国々で深刻な問題だが
特にボリビアはひどい。
ボリビアは中南米の中でも先住民族の割合が高く
地方中心に伝統的な慣習の中に男尊女卑の風潮が根強く残っているからである。
一方で国連によると
実はボリビアは世界で3番目に女性議員の多い国である。
大統領選挙と同時に行われている議会選挙でも半数が女性候補である。
女性差別が社会問題化するなかで
女性の候補を擁立すれば票が獲得しやすいという各政党の思惑が垣間見える。
それなのになぜ問題の解決につながらないかというと
旧態依然とした男性の意識の問題が大きい。
差別を取り締まる法律ができたとしてもあまり守る意識がないのが現状である。
しかし“女性差別の問題を放置するわけにはいかない”といった国内世論が今まで以上に盛り上がっているのは間違いない。
選挙戦を通して高まった差別解消に向けた機運を追い風に
ボリビアの女性たちを取り巻く環境が少しでも良くなっていくことを期待したい。






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