8月10日 おはよう日本
ジョギングをしている人の心拍数がスマートフォンに表示される。
これはスポーツ用品メーカーが開発した特殊なウェアである。
生地の裏側に取り付けられたセンサーで心拍数を感知する仕組みである。
鼻あての部分が目の動きを感知するセンサーになっているメガネ。
瞬きの回数や黒目の動きなどから脳の状態を分析するものである。
いま人の健康状態の変化をリアルタイムに計測できる機械が次々と開発されている。
こうした機械が病気を未然に防ぐことにつながるのではないかと期待が寄せられている。
(日本未病システム学会 福生吉裕理事長)
「自分の体の情報を自分が早くキャッチできる。
努力の一歩一歩が高齢社会、健康寿命を延ばす。」
NTTドコモ先進技術研究所。
計測しているのは脂肪の燃焼度合。
(NTTドコモ新新技術研究所 山田祐樹さん)
「皮膚から出てくるアセトンというガスを測定するもので
アセトンを測定することで脂肪が燃えているかどうかを判定する。」
アセトンはマニキュアの除光液などに使われていて
あぶらを取り除くという性質がある。
アセトンは人間の体内でも作られている。
肝臓で脂肪が燃焼して分解されるとアセトンが生成される。
アセトンは血液中をめぐり皮膚から気体となって排出される。
この研究所ではごく微量のアセトンでも測定できる特殊なセンサーを開発した。
人は特に運動していなくても1分間に1cm³あたり30~80pgのアセトンを排出している。
運動などによって脂肪が燃焼するとアセトンの排出は増える。
しかしこの研究所では30pg以下になると
脂肪の燃焼が少なくなり体内に蓄積されるとしている。
この状態を未病ではないかと考えている。
このセンサーはまだ市販されていないが
研究グループでは
運動や食事の度に脂肪の燃焼の度合いを見ることに役立ててほしいと考えている。
(NTTドコモ先進技術研究所 山田祐樹さん)
「ウエアラブル端末だと1日ずっと健康状態を計測できるので
些細な変化に気付くことが可能な端末だと考えている。
生活習慣を変えていって健康になってもらえるサービスを実現できれば。」
今まで数値で表すことが難しかった病気も計測しようという試みが始まっている。
7月に公開されたばかりのアプリ。
(利用者)
「自分の“元気圧”心の浮き沈みの状態を示してくれるアプリ。」
このアプリは会話の音声から元気圧というものを測定する。
元気圧が低くなるとストレスがたまっていてリラックスが必要な状態だと教えてくれる。
(利用者)
「振り返ってみると確かにストレスがかかっていた。
声にも表れていると後で気づき発見できたのはよかった。」
このアプリを開発したのは東京大学大学院医学系研究科 特任講師 光吉俊二さん。
光吉さんは人の声から脳の状態を分析していた。
感情をつかさどる大脳辺縁系は神経で声帯と直接つながっている。
リラックスした状態では声帯は緩む。
それに伴い周波数は低くなる。
一方で緊張した状態では声帯は固くなる。
周波数は高くなる。
声の周波数がどう変化するのか
そのパターンを分析し
その人が元気な状態かどうかを割り出そうとしている。
光吉さんはこのアプリを自分の心の状態を知るために活用してほしいと考えている。
(東京大学大学院医学系研究科 光吉俊二特任講師)
「元気が落ちてきたら
ちょっと休もうとかリフレッシュしようという癖をつければ
重篤な状況になる前にストレスにならなければいろいろな病気にならなくなる。
病気になる前に未病の段階で察知する。」
光吉さんの研究を未病対策に取り入れようという自治体も出てきた。
神奈川県は未病に関する技術を認定する制度を今年から始めた。
こうした技術を後押しすることで県民の意識を高めようとしている。
「未病の概念を打ち出すことによって
自分で健康を管理してモニタリングする社会に変わっていくだろうと想定。」
(神奈川県 首藤健治理事)
「人生の終末期を迎えるまで社会で活動し続ける形を作っていけないか。
未病コンセプトからつながる神奈川の目指していく社会の形。」