2021年2月3日 NHK「おはよう日本」
芋焼酎などの本格焼酎は
一時“ブーム”と言われた時期もあったが
ここ10年ほどは消費量が減少傾向である。
そこで鹿児島の蔵元では
あえて芋らしさを捨てるという作戦に出た。
バナナのような香りがする芋焼酎に
ぶどうの香りを思わせる芋焼酎。
しかし香りづけをしているわけではない。
原料はどちらも芋。
製造工程を変えて香りを引き出した。
いま鹿児島では果物のような香りがする芋焼酎が次々と発売されている。
その1つを開発した創業150年を超える蔵元。
社長の濱田さんは焼酎離れが進む状況に一石を投じたいという。
(濱田酒造 濱田社長)
「新しい飲み口というか
新しい切り口の味わい・香り
素人の方でも違いが分かる
はっきりとした特性を持った焼酎が作れないかと。」
目をつけたのが果物の風味のお酒。
年々増えて人気が高まっている。
芋焼酎でもフルーティな香りを出すことができないか。
この蔵元では焼酎の香りを大きく左右する芋の熟成に注目した。
熟成温度・湿度・期間を100回以上見直したのである。
その結果完成したのがライチのような華やかな香りがする芋焼酎。
3年前に発売したこの焼酎は国際的なお酒の品評会で最高賞に選ばれるなど人気を博している。
熟成方法を変えると芋焼酎の香りが変わることは職人の間では広く知られていたが
それを商品化しようという発想がなかった。
(商品開発研究室長 原さん)
「我々の視点だと固定観念で“芋焼酎らしくない香り”としていたが
全然焼酎の香りを知らない人が『いい香りがする』というところでも
私も発想を変えた。」
蔵元では消費者のすそ野を広げる取り組みも進めている。
フルーツの香りの芋焼酎を使ったカクテルの開発である。
レシピづくりに協力しているバーテンダーは
海外でも広がる可能性があるという。
(バーテンダー 南雲さん)
「非常にユニークで
カクテルに向いている香りがたくさんある。
この数年でグローバルで通用する酒にどんどん変わっていくんじゃないか。」
色々なの見方を提示し焼酎との接点を増やしていきたいと蔵元では考えている。
(濱田酒造 濱田社長)
「カクテルから入っていって
本体の本格焼酎そのものに市場が開かれていく。
こういう手順も必要ではないか。」