12月1日 NHK海外ネットワーク
東京ドーム約1700個分の広大な平野に点在する2500余の仏塔。
ミャンマーにある仏教遺跡バガンである。
11世紀から13世紀にかけてこの一帯を支配した王朝の遺跡である。
当時の信仰の様子を今に伝える世界有数の仏教遺跡。
今も国民の9割を占める仏教徒たちの心のよりどころとなっている。
ミャンマー政府はバガンを世界遺産に登録し文化や観光面での魅力をアピールしようとしている。
バガンはその歴史的な価値を高く評価されながらもいまだに世界遺産への登録は実現していない。
民主化が進み外国からの観光客が年間100万人も訪れるようになったミャンマー。
バガンが世界遺産に登録されれば観光客はさらに増えると期待されている。
(観光客)
「バガンは印象的で美しい。」
「ミャンマーで一番素晴らしい場所の1つ。」
貴重な仏教遺跡バガン。
かつての軍事政権は1996年世界遺産に加えるよう申請したが登録は見送られた。
遺跡の保存の仕方に問題があったのである。
遺跡の隣にゴルフ場を建設、
仏像の周りには派手な電飾が輝く。
床には現代的な模様のタイルが敷かれ遺跡そのものも手が加えられていた。
古く汚れた壁画より見栄えがいいとして石灰で塗り固められたものもある。
世界遺産の登録には少しでも多く元の状態が保たれていること。
そして万全の保護体制をとることが必要である。
しかし軍事政権のやり方は世界の基準からあまりにかけ離れていた。
そこでミャンマー政府は一昨年に方針を改め元の遺跡の姿を取り戻そうとしている。
ただ課題は技術の不足である。
そこで頼りにしているのが外国からの支援である。
日本からも高松塚古墳の壁画修復を手掛けた専門家を招いた。
壁画の修復に用いる薬剤の使い方も丁寧に指導する。
「カビができるかもしれない。
何も絵の無いところに塗って1年間様子を見る。」
「絵の無いところにですね。
塗ってみます。」
技術を学び取り本腰を入れて課題を克服しようとしている。
(修復の担当者)
「私たちには技術が必要。
日本の支援を大いに期待している。」
(東京文化財研究所 川野邉渉さん)
「ミャンマーの人たちは自分ができること手に入るもので何ができるか
一緒に考えてくれというのが第一歩。
非常に有望だと思う。」
しかし保護に向けて舵を切ったことで
ふだん遺跡を祈りの場にしている地元の人たちからは戸惑いの声が上がっている。
金箔を貼ると願い事がかなうとされている仏像。
しかし自由に貼ることはできなくなった。
人々が触って傷がつけばもとの形と変わってしまう恐れがあるからである。
(寺院の職員)
「首の下はいいんですが上は禁止しています。
傷がついて仏像の表情が変わってしまうからです。」
さらにすすで壁画が汚れないよう建物の中では線香をあげられない。
保護ばかり優先され信者の信仰心がないがしろにされているという批判が出ている。
(寺を訪れた人)
「信者たちも本当は仏像のそばで祈りたいと思っている。
もっと信者たちが自由に祈れるようになればいい。」
こうした批判にミャンマー政府は
(修復にあたる政府の責任者)
「ユネスコが世界遺産に求めるルールと仏教との考えは相反するかもしれない。
もっと情報を集めどう両立させるか考えることが必要だ。」
かつての遺跡の姿を取り戻しつつ信仰の場も同時に守っていく。
世界遺産の踏力に向けたミャンマー政府の模索は続いている。
東京ドーム約1700個分の広大な平野に点在する2500余の仏塔。
ミャンマーにある仏教遺跡バガンである。
11世紀から13世紀にかけてこの一帯を支配した王朝の遺跡である。
当時の信仰の様子を今に伝える世界有数の仏教遺跡。
今も国民の9割を占める仏教徒たちの心のよりどころとなっている。
ミャンマー政府はバガンを世界遺産に登録し文化や観光面での魅力をアピールしようとしている。
バガンはその歴史的な価値を高く評価されながらもいまだに世界遺産への登録は実現していない。
民主化が進み外国からの観光客が年間100万人も訪れるようになったミャンマー。
バガンが世界遺産に登録されれば観光客はさらに増えると期待されている。
(観光客)
「バガンは印象的で美しい。」
「ミャンマーで一番素晴らしい場所の1つ。」
貴重な仏教遺跡バガン。
かつての軍事政権は1996年世界遺産に加えるよう申請したが登録は見送られた。
遺跡の保存の仕方に問題があったのである。
遺跡の隣にゴルフ場を建設、
仏像の周りには派手な電飾が輝く。
床には現代的な模様のタイルが敷かれ遺跡そのものも手が加えられていた。
古く汚れた壁画より見栄えがいいとして石灰で塗り固められたものもある。
世界遺産の登録には少しでも多く元の状態が保たれていること。
そして万全の保護体制をとることが必要である。
しかし軍事政権のやり方は世界の基準からあまりにかけ離れていた。
そこでミャンマー政府は一昨年に方針を改め元の遺跡の姿を取り戻そうとしている。
ただ課題は技術の不足である。
そこで頼りにしているのが外国からの支援である。
日本からも高松塚古墳の壁画修復を手掛けた専門家を招いた。
壁画の修復に用いる薬剤の使い方も丁寧に指導する。
「カビができるかもしれない。
何も絵の無いところに塗って1年間様子を見る。」
「絵の無いところにですね。
塗ってみます。」
技術を学び取り本腰を入れて課題を克服しようとしている。
(修復の担当者)
「私たちには技術が必要。
日本の支援を大いに期待している。」
(東京文化財研究所 川野邉渉さん)
「ミャンマーの人たちは自分ができること手に入るもので何ができるか
一緒に考えてくれというのが第一歩。
非常に有望だと思う。」
しかし保護に向けて舵を切ったことで
ふだん遺跡を祈りの場にしている地元の人たちからは戸惑いの声が上がっている。
金箔を貼ると願い事がかなうとされている仏像。
しかし自由に貼ることはできなくなった。
人々が触って傷がつけばもとの形と変わってしまう恐れがあるからである。
(寺院の職員)
「首の下はいいんですが上は禁止しています。
傷がついて仏像の表情が変わってしまうからです。」
さらにすすで壁画が汚れないよう建物の中では線香をあげられない。
保護ばかり優先され信者の信仰心がないがしろにされているという批判が出ている。
(寺を訪れた人)
「信者たちも本当は仏像のそばで祈りたいと思っている。
もっと信者たちが自由に祈れるようになればいい。」
こうした批判にミャンマー政府は
(修復にあたる政府の責任者)
「ユネスコが世界遺産に求めるルールと仏教との考えは相反するかもしれない。
もっと情報を集めどう両立させるか考えることが必要だ。」
かつての遺跡の姿を取り戻しつつ信仰の場も同時に守っていく。
世界遺産の踏力に向けたミャンマー政府の模索は続いている。