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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

シュリンク「朗読者」

2010-07-12 20:56:01 | 読書のススメ
新潮社の文庫100冊を毎年チェックするようにしている。
何となく時代や流れをつかむのに便利だからというのと、二冊読むと何かをもらえるというのに惹かれるからだ。
新潮社の売り出したい本ということもあって、気にするようにしている。
何年か前からずっとその中にあったのが、「朗読者」だった。
話の筋はほとんど知らなかったが、戦争ものということだけは知っていた。
そこで、反戦のような、お説教くさい話だろうという先入観から、今まで手に取ることはなかった。

やはりというか、必然的にというか。
映画化されることを期に、この映画のテーマ性を知ることになった。
映画批評を書くためという意味合いもあるが、愛の物語ということを知って、読むことにした。

37歳の女性と、15歳の少年が恋に落ちる。
そこに横たわるナチスドイツという影は、ともすれば反戦的要素が強くなり、思想性が全面に押し出されてしまうモティーフだった。
だが、この作品が描こうとしているところのものは、どこまでも引き裂かれた愛である。
普遍性あるテーマとも言えるだろう。

新潮の100冊といえば、中学生、高校生にもターゲットしているものなのに、こんな作品でいいんですか? という印象もある。
けれども、今の中学生はオマセさんが多いみたいだから、これくらいでちょうど良いのかもしれない。

とにかくおもしろい文学作品だ。
日本の反戦一辺倒の物語よりも、よほど中身がある。

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