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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

スティーグ・ラーソン「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」

2012-02-06 22:20:45 | 読書のススメ
やっと更新。
読書は少し再開ぎみですが、アップするのがおっくうで、結局ほったらかしでした。
今更ぼくがおすすめする必要もないほど有名になった「ミレニアム」シリーズの第一作です。
もちろん、デヴィッド・フィンチャーで映画化するからこの本を手に取りました。
前評判や予備知識を一切排して原作から読み始めました。
オリジナル映画版もまだ見ていない状態です。

▼以下はネタバレあり▼

話としては良くあるパターンの一つと言える。
ミステリ好きとしてはそれほど目新しさはなく、きっとふつうに楽しめるレベルの安定感さえある。
これが処女作だということには驚きだけれども、おもしろいのは複合的な要素。
一つ一つのテーマはありきたりでも、これほど複合して様々な要素が絡んでくると物語が一気に壮大になる。

女性への暴力が最も根底に流れており、その狂気がそのまま大企業のスキャンダルへとつながる。
復讐譚としてのおもしろさと痛快さ、重さも持っている。
魅力的な「キャラもの」としてのおもしろさもある。

中でもリスベットの弱さと強さ、えげつなさを兼ね備えたヒロインとして素直にあこがれを抱く。
非常にバランスがとれた作品だろう。

と、まあ誰でも書けることは一般論として。
おもしろいのは映画化を見越したかのようなカット割のような短い場面切り替えだ。
やめられないという書評がたくさんあるのはこのためだろう。
つまり、本当にやめられないのだ。この本。
やめてしまうと場面がぶちぶちになってしまって、全くおもしろくない。
だから一気に映画のように味わってしまわなければ楽しめないのだ。
連続する短いカット割は、「じりじりと待つ」ことが苦手な現代人の思考に会わせたかのような素早い展開だ。

ジャーナリストだという作者の気質が良くあらわれている。

オリジナル、リメイクとあまり時間をおかずに公開されることもあり、それぞれを比較して楽しむという方法もあるだろう、と思い原作から手に取った。
僕の予想ではそれほど違和感なく映画化を楽しめるのではないかと踏んでいる。
なぜなら以上のような、映像化を期待して書かれている作品だからだ。

フィンチャー版の予告編を見る限り、ほとんどのシーンを網羅しているように見えるが、果たしてどうだろうか。


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