銅版画制作の日々

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アウェイ・フロム・ハー◎君を想う 

2008-10-07 | 映画:ミニシアター

「死ぬまでにしたい10のこと」の作品で注目された若手女優、サラ・ポーリー、短編で監督としての手腕を発揮してきた彼女が長編映画デビュー作となる、「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」を9月30日に鑑賞しました。

原作は、アリス・マンローという作家の短編、「クマが山を越えてきた」だそうで、サラ・ポーリー自ら脚本し、メガホンをとった大人のラブストーリーです。29歳のサラがこのような複雑な人間の心理を巧みに演出と映像表現することに驚きです。

人間は老いとともに、様々な病気を抱えることになります。この作品では認知症というテーマが取り上げられています。決して珍しくないけれど、その状況に遭遇したことによって、人間の心はどうのように変化、そしてそのことをどのように受け止めることが出来るものなのか?ということを夫婦の愛を通じて教えてくれている素晴らしい作品です。

お話

結婚生活44年目となる、グランド(ゴードン・ピンセント)とフィオーナ(ジュリー・クリスティ)は互いを深く愛し、身体的にも精神的にも満ち足りた生活を送っていた。グランドは大学で教鞭を取っていた。フィオーナーは彼の教え子のひとりで、18歳という若さで結婚する。20年前に退職したグランドはフィオーナーと現在住むアイスランドに移住し、彼女の祖父が建てたオンタリオ湖沿いの家で暮らしている。自然保護地区を散歩し、雪の季節はクロスカントリーを楽しむというのが常だった。

キッチンで二人仲良く立ち、夕食後はグランドがフィオーナに小説を朗読する。互いを思いやる温かさと笑いに満ちた生活だった。

ところが・・・・・。二人の生活に不調和が生じ始めるフィオーナにアルツハイマー型認知症の影が忍び寄っていた。

洗ったフライパンを冷蔵庫にしまったり、友人夫妻を招いた夕食の席でワインが何かを忘れてしまったり・・・・・。

ボトルを持ったまま、何をするのか忘れてしまう

そんなフィオーナを辛抱強く見守るグランド、彼女の失敗を訂正し続けていた。

ある日ひとりでフィオーナはクロスカントリーに行くが、帰る道が分からなくなる

 アウェイ・フロム・ハー 君を想う

夜になり、妻がいなくなったことに気づいたグランドは必死に捜索し惚けた表情で道端にたたずむフィオーナを発見する。

大事に至らなかったが、病気を無視してはいけないと気づいたフィオーナは老人介護施設に入所すること自ら決断する。

事前に見学するグランドだが、施設の主任、モンペリエ(ウェンディ・クルーソン)から「施設に馴染むため、入所後30日間は面会に電話連絡も禁止だ」というルールを聞かされ、妻の入所を躊躇する。しかし彼女の意思は変らなかった。

いよいよ施設入所の日を迎える。施設に向かう途中、自然保護区に咲いている黄色の水芭蕉のことを思い出す。と同時にグランドが大学の若い学生と浮気したときのことも思い出した。そのときのことが生々しく思い出されるのだ。

さて1ヵ月後、グランドは面会することに・・・・。フィオーナはグランドのことをまったく覚えておらず何と車椅子に乗ったオーブリー(マイケル・マーフィ)のことを非常に気にかけていることを知る

 フィオーナはグランドの気持ちなど知ることもなく。オーブリーは祖父が買い物をしていた金物店でバイトしていた青年で、フィオーナの初恋の相手だと、グランドに伝える。

記憶の混濁か?それとも真実?

愛妻に何とか自分を思い出してもらうと、施設に毎日のように訪ねるグランドだが、フィオーナとオーブリーの間に芽生えた愛情は日増しに深まっていく。そんな姿を見るグランドはいたたまれなくなるフィオーナのベッドの横にはオーブリーの描いた彼女の肖像画が貼られている。やるせない気持ちが増すばかりであったグランドの献身ぶりに心を打たれた看護師クリスティ(クリステン・トムソン)は彼を励ます率直で明るいクリスティに相談しているうちに、フィオーナのオーブリーに対する愛情は自分に対する罰なのではないか?と語る。夫婦円満に見える夫婦だったが、フィオーナに対する負い目があると考える理由があったのだ。(若き日のグランドの浮気だ)

そんなある日、オーブリーの妻、マリアン(オリンピア・デュカキス)が休暇から戻ると同時にオーブリーを自宅に連れて帰ってしまうそのことでフィオーナは深く落ち込むその後ベッドで寝たきりとなる。このままでは彼女の要介護度が上り、命すらも危うくなると心配したグランドは、マリアンを訪ねる。グランドが夫オーブリーを責めに来たと身構えるマリアンだったが・・・・・。グランドは意外な提案を口にする。

それは、オーブリーを施設に戻して欲しいという提案だった。フィオーナを元気にするためには、彼が必要だということだと思ったのです。いやあ~グランドの心の広さに驚きました。多分最初は自分の勝手な感情だけだったのでしょう。客観的なのかどうかは分かりませんが、きっとフィオーナの気持ちをメインに考えたのだろうと思います。

一方のオーブリー夫婦、重症な夫を抱えるマリアン、心も体もあせていたようですね。まさか?グランドにあのような要求をするとは驚きました。その条件をのむグランドも複雑だったと思います。すべてはフィオーナのためにというグランドの想いなんだと・・・・・・。愛は一途なものなんですね

 

オーブリーを車に乗せて、施設へと向かうグランド。

 

登場人物

 マリアン(オーブリーの妻)

 

 オーブリー(フィオーナの初恋相手)

 

 クリスティ(看護師)

 

 モンペリエ(施設主任)

 

 グランド・アンダーソン

 

 フィオーナ・アンダーソン

 

  

監督・脚本: サラ・ポーリー
若干29歳のサラ・ポーリー、人間の心理描写を見事に描いています

製作総指揮: アトム・エゴヤン
 

原作: アリス・マンロー
『クマが山を越えてきた』(新潮社刊『イラクサ』所収)

君を幸せにできるなら、
この孤独を受け入れようこんな大きい気持ちになれるかな

 

http://www.memory-catcher.net/ (英語) オフィシャル・サイト

 

 

 

 

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1 Comments

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TBありがとうございました。 (sakurai)
2008-10-08 08:23:33
ジュリー・クリスティが最高でしたね。
「ドクトル・ジバゴ」以来、あまり印象がないのですが、このジュリーは素晴らしかったです。
その役者の演技は素晴らしいと思ったのですが、物語は、ちょっとこちらの臨み方と違ってたもんで、肩すかしをくらってしまいました。
あの旦那は生理的にダメかも。
ちなみに「ドクトル・ジバゴ」、高校の時に京都に遊びに行った時、京都の映画館で観たのが初見です。
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