原題:THE BOY IN THE STRIPED PYJAMAS
第二次大戦下のドイツ──
フェンス越しに生まれた禁じられた友情。
「どうして君は、昼でもパジャマを着ているの?」
8月29日から公開されました。結局8月中には記事をアップ出来ませんでした。
衝撃の結末はこういう事だったのですね。ひょっとしたらそうではないかなんて思ってたら、やっぱりそうだった・・・・。
リアルな描写でないので、ショックを受けることは少なかったです。とはいっても後味が悪いのはもちろんですが・・・・。
舞台は第二次世界大戦下のドイツ。主人公となる8歳の少年ブルーノ、そして父はナチスの将校。要するにナチスドイツ側の目線で捉えられているわけです。もちろんブルーノは戦争でどんなことが起きているのかはまったく知りません。父がしている仕事の内容さえも・・・。
仲の良い友達たちと戦闘機の真似をしながら街中駆け回るブルーノ。
無邪気に走りまわるブルーノと友達たちの姿。この場面は微笑ましさを感じるなあ~!
友達たちと別れて、帰宅するブルーノ、家の中は父の昇進を祝うパーティの準備中。
軍服を身に付けた父の父の姿に誇らしく思うブルーノだったが・・・・。
母役にはヴェラ・ファーミガ 。ナチス将校・父役にはデヴィッド・シューリス
思いがけない発表がある!それは父の仕事の都合で、この家から引っ越しをするということだった。仲良しの友達たちと別れなければならなくなる。彼にとっては、辛いところだ。さて引っ越した先は?
引っ越した場所で目にしたのは今まで出会ったことのないところ。もちろん友達なんていない。周りには父の部下がいるという子供にとっては違和感のある状況。姉グレーテルは父の部下でハンサムだが冷たい印象のコトラー中尉に夢中でブルーノには見向きもしない。
コトラー中尉(ルパート・フレンド )
毎日が暇でしょうがないブルーノがある日見つけた光景は、自分の部屋から見える不思議な建物だった。そこには“縞模様のパジャマ”を着た人たちが働いていた。
母に尋ねてみると、「その場所のことは気にしてはいけないし、絶対近づいてはいけない」と言われる。
退屈な日々を過ごすブルーノは庭のブランコから落下。いつもキッチンで芋の皮むきをしている“縞模様のパジャマ”を着た初老の男に助けられる。彼の名前はパヴェル(デヴィッド・ヘイマン)。慣れた手つきで手当てをしてくれた。「かって自分は医者だった」と告げる。医者なのに、なぜ昼間からパジャマを着てキッチンの手伝いをするのか?疑問に思う。
ついにブルーノは母の目を盗み、禁じられた裏庭の向こうへ探検に・・・・。森を抜けてあの建物の近くまで行く。驚いたことにフェンスの向こう側には、ブルーノと同じ年頃の男の子が座っていた。少年の名前はシュムエルといった。年齢もブルーノと同じ8歳。やっと一緒に遊べると喜ぶも、何とシュムエルもパヴェルと同じあのパジャマを着ているのだ。ブルーノには、フェンスの向こう側の生活がどんなものか、また彼らの未来にどんな運命が待っているのかなど知るよしもなかった。
翌日から母の目を盗み、裏庭を抜けてシュムエルのもとへ通うブルーノ。ボールを持っていったり、お腹を空かせている彼のために食べ物を運んだり・・・・。次第に二人の心は近づいていく。しかし二人の間には大きなフェンスが立ちふさがっていた。
シュムエルからユダヤ人だと告げられる。しかしブルーノはユダヤ人の事を知らないし、彼が着ているパジャマに刺繍されてる番号ですら何かのゲームのためのものだと思っていた。
家庭教師のリスト先生に尋ねる。ユダヤ人はドイツ人にとって有害な存在だと教えられる。しかしどう考えてもユダヤ人が有害な存在だとは信じることは出来なかった。シュムエルはブルーノにとってかけがえのない存在であり、親友だったから・・・・。
ブルーノのシュムエルへの思いはだんだん強くなっていく。そんなある日、シュムエルが目の前に!!ガラス食器を磨く彼の姿が・・・。空腹なことを知ると、ケーキを差し出す。むさぼりつくシュムエル。しかし運悪く、食べているところをコトラー中尉に見つかってしまう。恐怖のあまり嘘をつくブルーノ。
ブルーノ少年役にはエイサ・バターフィールド。
数百人の中から監督によって抜擢されたそうです。イギリス、ロンドン生まれ。
ユダヤ人シュムエル役にはジャック・スキャンロン。彼もイギリス、ケント生まれ、エイサ少年と同じくオーディションで数百人の中から抜擢された。
ブルーノはシュムエルを裏切ったことを謝ろうと何度もフェンスの場所へ訪れるが、姿を見せなかった。何日か経ってようやく姿を見せたシュムエルの顔には、痛ましい傷跡が刻まれていた。益々罪悪感が深まっいくブルーノ。心から謝るブルーノを許すシュムエル。二人は固い握手をするのだった。そしてシュムエルは、父親が行方不明だということを告げた。
この後訪れる家族の不協和音。そしてシュムエルとの別れも近づいていた。しかし運命はこの後意外な方向へと進む・・・・。
ということで、ネタばれとなるのでここから先ははぜひシアターでご覧頂きたいと思います。
感想です。
最後の最後まで、結構冷静に観ることができました。ある側面で見れば、こんな辛くて悲しい物語はないのかもしれません。でも私は共感できませんでした。ホロコーストの真実を寓話的に描いたとされているようですが、その雰囲気が今一つ感じられませんでした。フェンスの向こうの、収容所の様子もサラっとしか描かれていないし、その実態がはっきり見えないように思いました。芋の皮をむくパヴェルがワインを注ぐ際、誤って溢しちゃうシーンでコトラー中尉に殴られるんですよね。これもナチスのユダヤ人へのGYAKUTAI的なものなのか?って考えるとちょっと微妙な気もするんですよ。ブルーノ少年の目線での描き方にしても、ホロコーストへの真実がさほど伝わってこないような感じがします。
収容所の存在もそこまでリアルに映しだされていないし・・・・。どうも中途半端な描き方とも思えるのです。ブルーノ少年の運命は大きく変わります。この結末を見たら、ショックを受ける人も多いでしょう。でも少年の運命が、収容所のユダヤ人たち以上に大きな代償になるという描き方はどうも納得できませんでした。
ホロコーストによって数えきれないユダヤ人たちが犠牲になっていること、そして命が粗末に扱われていることの重大さをもっと伝えるべきではなかなあと思います。
ところで、ドイツが舞台なのですが、英語バージョンというのもどうかな?なんて・・・・。最近そういうパターンが多いですよね。
そういえば、マーク・ハーマン 監督はイギリス人ですね。また原作本を書いたジョン・ボインはアイルランド人だそうで。う~んこの辺が微妙なところかも??
ユダヤ人パヴェルを演じたデヴィッド・ヘイマンは何処かウルリッヒ・ミューエに似ているような?
ホロコーストの悲劇を無邪気な少年の視点から綴ったジョン・ボインの世界的ベストセラーを「ブラス!」のマーク・ハーマン監督が映画化したヒューマン・ドラマ。強制収容所で働くナチス将校を父に持つ少年が、収容所の実情を知らぬまま、偶然出会った同い年のユダヤ人少年と禁じられたフェンス越しの友情を築いていく姿を感動的かつ衝撃的に描き出す。
メディア | 映画 |
上映時間 | 95分 |
製作国 | イギリス/アメリカ |
公開情報 | 劇場公開(ディズニー) |
初公開年月 | 2009/08/08 |
ジャンル | ドラマ |
映倫 | PG-12 |
オフィシャル・サイト
http://www.thefilmfactory.co.uk/boy/ (英語)
オフィシャル・サイト
http://www.movies.co.jp/pyjamas/
なるほど確かにブルーノの目線ではホロコーストの真実は伝わってこないですよね。でも逆にそれが狙いなんだと思ってました。つまりブルーのであろうがユダヤ人の少年であろうが、両方ともホロコーストの真実は解ってないし、そもそも強制収容所だという認識もなかったんじゃないかと。
そう考えると、ユダヤ人だろうがドイツ人だろうがまったく同じだよって言いたかったんじゃないかなと思うのです。
戦って多くの人が悲惨な姿で死んでいくシーンの多い戦争映画において、そういうシーンが全く無いというのも、ある意味新鮮なかんじがしました。
これなら子供に見せてもいいし、子供目線で鉄条網の向こうで何が起こっているか、なぜパジャマの人は殴られるのか?考えて知るきっかけになるといいなぁーと思ってます。
まだ息子には見せていないですけど、来年は是非ともアウシュビッツへ連れて行こうと思っています。
こういう目線のは、ちょっとなかったなあとも。
なもんで、mezzotintさんの言わんとすることもわかりますわ。
収容所の実態とか、甘い描き方だなあとも思ったのですが、その辺はディズニー配給だと思ってたら、想定外の終わり方でした・・・。
戦争の生み出した不条理の描き方は、うまいなあと思いました。
一切、戦闘シーンなどないけど、悲劇を描いたものは数ありますが、あたしが印象深いのは「アンナとロッテ」かなあ。
これは素晴らしかった。