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『伝説のチャンピオン』。
ここ最近、「聴かない日はない」と言ってもいいくらいよく耳にする曲だ。
車やテレビのCMなどに使われているし、カヴァー・ヴァージョンもいくつかあるようだ。
この曲が収められているアルバムが、『世界に捧ぐ』である。
ぼくの同級生に「ヤヨイちゃん」という、ちょっと可愛いコがいた。クラスが違っていたのでほとんど話をしたことはなかったけれど、ヤヨイちゃんが自他ともに認めるクィーン・ファンだということはなんとなく知っていた。
その頃のロック好きな友達の間では、「○○君はストーンズが好きらしいぞ」とか、「△△さんはポール・マッカートニーのファンなんだって」なんていう話をしたりしてもいたから、たぶん誰かから「ヤヨイちゃんはクィーンのファンだ」ということを聞いていたのだろう。
その頃の洋楽では、エアロスミスとかキッス、イーグルスなどがよく聴かれていたが、ぼくもヤヨイちゃんと同じくクィーンがお気に入りだったし、廊下ですれ違う時など、ヤヨイちゃんが恥ずかしそうにニッコリしてくれたことも何回かあったから、よけい気になっていたのだと思う。
ある日、教室の入り口で誰かがぼくを呼ぶ声かした。なんだろう、と思って行ってみると、ヤヨイちゃんがモジモジしながら友だちと立っている。可愛いコがそんな風にしてぼくを呼びにきたら、誰だってちょっとは期待するじゃない?
その時のぼくも「もしかして」なんて思ったんだけど、ヤヨイちゃんは恥ずかしそうに、「MINAGIくん、クィーンの『世界に捧ぐ』、聴いた?どうだった?」とぼくに訊ねただけだった。内心ちょっとガッカリしたけれど、ひとしきりクィーンについてあれこれと話してみた。
思えば、ヤヨイちゃんと会話らしい会話をしたのは、それが初めて最後だったと思う。彼女とは、何年か経って、街のレコード店で偶然会ったきりで、それからは今に至るまで二度と会う機会がない。「ヤヨイちゃんはMINAGIくんのこと気に入ってたみたい」ということを聞いたのも、だいぶあとになってからのことだ。
『世界に捧ぐ』を聴くと、こんなことが思い出される
フレディ・マーキュリー(vo,pf) ブライアン・メイ(g)
クィーンの『シアー・ハート・アタック』、『オペラ座の夜』、『華麗なるレース』の3枚には好きな曲がぎっしり詰まっていたので、『世界に捧ぐ』が発売された時、ぼくはまっしぐらにお店に走り、乏しい小遣いをはたいたものだった。
クィーンは、『華麗なるレース』までは、華やかなギター・オーケストレイションとクラシカルなコーラス・ワークを前面に出して、イギリスのバンドらしい重厚さを出していたので、ぼくは、『世界に捧ぐ』にもその路線を期待していた。
しかし聴いてみると、なるほど『伝説のチャンピオン』や『永遠の翼』などの曲はたしかに従来のクィーンらしさに満ちているように思ったが、全体的には異質な感じがして、正直言ってちょっとあてが外れたような気分だった。1曲目の『ウィ・ウィル・ロック・ユー』からして、今までとは全く雰囲気の違う曲だったから。
その異質さは、きっとクィーンの見せた新たな面から感じたものだと思う。
パンクっぽいハード・ロックの『シアー・ハート・アタック』や『秘めたる炎』、また、それまでのクィーンにはない新しい感覚のヘヴィ・ロックである『ウィ・ウィル・ロック・ユー』や『ゲット・ダウン・メイク・ラヴ』などの曲では、当時破竹の勢いだったニュー・ウェイヴに敏感に反応しながら、豪快にROCKしている。
今このアルバムを聴いてみると、これらのサウンドは、さらに進化しようとするクィーンの意欲の表れのように受け取ることもできる。
『ウィ・アー・ザ・チャンピオンズ(伝説のチャンピオン)』や、挑戦的な『ウィ・ウィル・ロック・ユー』といった曲のタイトルからも、クィーンの4人の自信に満ちた様子が窺えるではないか。
ロックが本来持っているパワーを存分に見せつけながらも、南欧風味の『恋のゆくえ』、ブルース・ナンバーの『うつろな人生』、シンプルだけれど美しいバラード『オール・デッド』、正統派ハード・ロックの『イッツ・レイト』、スタンダード・ジャズのような雰囲気を持つ『マイ・メランコリー・ブルース』など、相変わらず多彩な内容でクィーン・ワールドを形作っている。
ジョン・ディーコン(b) ロジャー・テイラー(drs)
このアルバムの中でとくにぼくの好きな曲は、『伝説のチャンピオン』『イッツ・レイト』『オール・デッド』などだろうか。
ただ、最初は違和感を覚えた『ウィ・ウィル・ロック・ユー』は、今では結構好きな曲となっている。そういえばこの曲、ジャズ・シンガーのケイコ・リーもカヴァーして、ちょっとした話題になってたっけ。
今夜は『世界に捧ぐ』を聴きながら、ヤヨイちゃんのことをもう少し思い出してみるのもいいかもしれない。
◆世界に捧ぐ [News Of The World]
■歌・演奏
クイーン/Queen
■リリース
イギリス1977年10月28日、日本1977年11月25日
■プロデュース
クイーン、マイク・ストーン/Queen, Mike Stone
■録音メンバー
【Queen】
フレディ・マーキュリー/Freddie Mercury (piano, vocal①~⑤,⑦,⑨~⑪, cowbell⑨)
ブライアン・メイ/Brian May (guitar, vocal④⑧, maracas⑨)
ジョン・ディーコン/John Deacon (bass, acoustic-guitar⑨)
ロジャー・テイラー/Roger Taylor (drums, vocal⑥, bass③⑥, guitar③⑥)
■収録曲
[Side-A]
① ウィー・ウィル・ロック・ユー/We Will Rock You (May)
② 伝説のチャンピオン/We Are The Champions (Mercury) ☆全米4位、全英2位
③ シアー・ハート・アタック/Sheer Heart Attack (Taylor)
④ オール・デッド/All Dead, All Dead (May)
⑤ 永遠の翼/Spread Your Wings (Deacon) ☆全英34位
⑥ 秘めたる炎/Fight From The Inside (Taylor)
[Side-B]
⑦ ゲット・ダウン・メイク・ラヴ/Get Down, Make Love (Mercury)
⑧ うつろな人生/Sleeping On The Sidewalk (May)
⑨ 恋のゆくえ/Who Needs YOu (Deacon)
⑩ イッツ・レイト/It's Late (May) ☆全米74位
⑪ マイ・メランコリー・ブルース/My Melancholy Blues (Mercury)
☆=シングル・カット
■チャート最高位
1977年週間チャート アメリカ(ビルボード)3位、イギリス4位、日本2位
1978年年間チャート アメリカ(ビルボード)29位、日本(オリコン)47位
>Somebody To Love
この曲、ぼくもすごく好きでした。あんな素晴らしいコーラスがロックで聴くことができるなんて!(^^)
テスト前の「伝説のチャンピオン」、結構リラックスできるかも。スケールの大きさも感じる曲だから、テスト前にうまくテンションをあげるのにちょうど良いのかもしれないですね。
曲から特定の人やその時代を思い出すってこと、すごくありますよね。Queenのアルバムは1枚しか持っていませんが、伝説のチャンピオンは大好きです。この曲はテスト当日の朝、自分を鼓舞するためにかけていました。Somebody to Loveも中学生だったか合唱で歌ったので知っていましたが、クラッシック曲じゃなくてQueenだったと随分と後から知って驚きでした。思い出がいっぱいです。
ヤヨイちゃんとまた再会できるといいですね
ヤヨイちゃんとのこの話、ほんとに清らかでしょ?(笑)。今だったら、「脈あり」と思ったら絶対に放っておかないもんな~(;^ω^)
ヤヨイちゃんは、高校を出てすぐくらいに結婚した、という話を風の便りに聞いたことがあります。幸せでいてくれるといいな~(^^)
でも、ギター小僧なんかは結構ブライアン・メイのプレイに驚愕していて、わりと抵抗なくクィーンを聴いてたみたいです。
>男の見栄
オンナが騒ぐようなバンドはロックじゃねえよ、みたいな風潮、ありましたありました。なにせポール・マッカートニーのファンでさえ「ヤワ」に思われてましたからね~(;^ω^) ゴメンね、ポール。。。
なんだかプラトニックで、かわいいお話ですね^^こんなこと書いたら失礼かもしれませんが^^;
ちょっといい話、聞かせてもらいました^^
最近、その頃の仲間に会うと、やはり実はみんなクィーンが好きだったことが判明。男の見栄というのはイカンですなぁ~。